第18話 仲良し女学生
ツバの広いとんがり帽子。とんがりの先っぽは少しへたっている。
襟の大きなマント。裾は地面で擦れてボロボロ。
帽子もマントも外が黒で内側が真っ赤。
それを着ているのは茶色の芝犬。
口にはちょっと欠けた星飾りがついた魔法のステッキを咥えているぞ。
芝犬
メメさんの仕事は困っている人を助けること。
今日も困っている人がいないか
コートやダウンと暖かそうな格好をする人が目立ち始めました。
もうすっかり冬です。
メメさんのお毛々も換毛が終わりフワフワになりました。フワフワのフワッ!! フワッ!! です!! 魅惑のモフモフフワフワと化したメメさんは、またkawaiiの階段を駆け上がってしまいました。
自慢のモフモフ、フワッフワの毛並みを見せつけるように歩くメメさん。そこに忍び寄る怪しい影。
その影は尻尾にチョンチョン。ちょっかいをけかます。
振り返るメメさん。クリクリお目々できょとん顔です。
「ここで会ったが百年目!! お命頂戴
そう言ってメメさんの頬をグリグリと撫でる女学生。
メメさんは必死に抵抗を……いや、ちょっと心地良さそう……
「やめなさいよ」
女学生の
「イテッ。もー、これは挨拶なんだって。ねー」
そう言って、女学生はメメさん返答を求めます。
「ワン」
メメさんは一鳴きして、それに答えます。当然魔法のステッキは落ちてしまいます。
「そうなの? でも、やりすぎよ」
そう言ってメメさんと仲良しの女学生を
「あれ、この子、前にハロウィンイベントの宣伝してた子だよね。まだ仮装してるの?」
「チッチッチッ、柴太郎はこの格好がデフォなのだよ」
「へー、そうなんだ。ていうかこの子、柴太郎って言うんだ」
違います。メメさんです。
「まぁ、私がそう呼んでるだけだけどね」
「ふーん、柴太郎……」
そう言ってお友達は柴太r……いえ、メメさんの頬を撫でています。
「柴太郎ってどこの子だろうね。野良ではなさそうだし」
「さぁー、いつもこの辺散歩してるけど飼い主は見かけたことないねー」
「ふーん」
お友達はさっきからやりたい放題してます。頬をグリグリしたり、引っ張ったり、胸元をワシャワシャしたり。挙げ句の果てにお手まで!! 柴t……メメさんはちゃんとお手に応じてます。芸達者です。
それを見かねた女学生はお返しのチョップを繰り出します。
「イタッ」
「やりすぎ」
むーという表情でお友達は女学生を睨みます。負けじと女学生も睨み返します。
「そうだね。ごめんね柴太郎」
根負けしたお友達は柴太郎に謝ります。
そして落ちているステッキを拾って柴太郎に差し出します。
「はい、これ君のでしょ」
差し出された魔法のステッキを柴太郎は咥えます。
「ワン」
お礼に一鳴き。当然魔法のステッキは地面に落ちます。
「もー、しっかり咥えておきな」
再び差し出された魔法のステッキを咥え、ペコリとお辞儀する柴太郎。流石柴太郎。礼節をわきまえた一流の芝犬
「じゃあ、またね」
女学生二人組は柴太郎に手を振りながら歩き去っていきます。
柴太郎も魔法のステッキをブンブンと振り、それに応えます。あれ、これ願いこもってます? そんなにステッキ振って大丈夫ですか? 沢山願い叶えようとしてません? あー!! やめてー!! これ怒られ案件になりそう!! もうステッキを振らないでーーー!!!
ツバ広いとんがり帽子。襟の大きなマント。口にはちょっと欠けた星飾りの魔法のステッキ。
芝犬
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます