第12話(3)
◆ ◆ ◆
「以上が、此度の報告になります」
首領執務室では、太宰と織田が報告をしていた。
「二人ともご苦労だったね」二人を労った。「しかし、なんとも後味の悪い結果だ」
「これで、先代の影響が完全に無くなればいいのですが・・・・・・」
「何はともあれ、早めに
「今回、随分と解決を急いだようですが何かあったんですか? 現幹部や幹部候補まで投入するなんて、余程のことだと思いますが・・・・・・」
「実は最近、この裏社会で良くない噂が流れていてね」
「良くない噂?」
「『そう遠くないうちに大きな抗争が起こるのでは?』との噂だよ。もし起これば、裏社会全体を巻き込む規模の抗争になる、と私は見ている。まだ噂の段階なのだが、用心に越したことはない。それに、他組織への牽制にもなった」
「ポートマフィアを
「すべては組織のため、だよ。報告ご苦労様。今日はゆっくり休んで構わないよ」
失礼します、と部屋を後にした。
「ありがとう。神原くん──」
◆ ◆ ◆
「さて。これでこの任務も終わり、君と僕の関係性も元に戻る」
「はい。短い間でしたが、ありがとうございました」
ロビーへと降りる昇降機内で、太宰と織田が話していた。
「これで元に戻る。戻るのだが・・・・・・」どうにも歯切れが悪い。「私としては、君との関係を続けていきたいと思っている。護衛兼相棒だったとか、組織内での立場なども関係なく、ね。だから、私と友達になってくれないか?」
突然の申し出に、織田は困惑した。
「その・・・・・・。自分なんかでよろしいのですか?」
「君のことが気に入ってね。それに今回、君と組んでいて楽しかった。だから、これからも君と良い関係でいたいんだ」笑みを浮かべた。
「自分などでよければ、よろしくお願いします」
「なら決まりだ。友達なのだから呼び捨てで構わない。もちろん、敬語も禁止だ」右手を差し出した。「これからもよろしく。織田作」
「こちらこそよろしく頼む。太宰」
握手を交わした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます