第13話(3)

       ◆  ◆  ◆


「以上が、此度の報告になります」

 首領執務室では、太宰と織田が報告をしていた。

「二人ともご苦労だったね」二人を労った。「しかし、なんとも後味の悪い結果だ」

「これで、先代の影響が完全に無くなればいいのですが・・・・・・」

「何はともあれ、早めにかたがついて良かったよ」

「今回、随分と解決を急いだようですが何かあったんですか? 現幹部や幹部候補まで投入するなんて、余程のことだと思いますが・・・・・・」

「実は最近、この裏社会で良くない噂が流れていてね」

「良くない噂?」

「『そう遠くないうちに大きな抗争が起こるのでは?』との噂だよ。もし起これば、裏社会全体を巻き込む規模の抗争になる、と私は見ている。まだ噂の段階なのだが、用心に越したことはない。それに、他組織への牽制にもなった」

「ポートマフィアをなみする者がどれほど苛烈な攻撃で潰されるのか・・・・・・。なるほど。確かに良い見せしめになりましたね」

「すべては組織のため、だよ。報告ご苦労様。今日はゆっくり休んで構わないよ」

 失礼します、と部屋を後にした。

「ありがとう。神原くん──」



       ◆  ◆  ◆


「さて。これでこの任務も終わり、君と僕の関係性も元に戻る」

「はい。短い間でしたが、ありがとうございました」

 ロビーへと降りる昇降機内で、太宰と織田が話していた。

「これで元に戻る。戻るのだが・・・・・・」どうにも歯切れが悪い。「私としては、君との関係を続けていきたいと思っている。護衛兼相棒だったとか、組織内での立場なども関係なく、ね。だから、私と友達になってくれないか?」

 突然の申し出に、織田は困惑した。

「その・・・・・・。自分なんかでよろしいのですか?」

「君のことが気に入ってね。それに今回、君と組んでいて楽しかった。だから、これからも君と良い関係でいたいんだ」笑みを浮かべた。

「自分などでよければ、よろしくお願いします」

「なら決まりだ。友達なのだから呼び捨てで構わない。もちろん、敬語も禁止だ」右手を差し出した。「これからもよろしく。織田作」

「こちらこそよろしく頼む。太宰」

 握手を交わした。

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