第12話(2)
◆ ◆ ◆
神原は目を覚ました。
今のは夢だったのか? それとも・・・・・・
神原にとってそれは懐かしく、とても大切なものだった。
倒れた瞬間。薄れゆく意識の中で腹部に影を纏わせ、かろうじて意識を保っていた。
しかし太宰達との戦闘で血を失いすぎており、体を起こそうとしたが思うように動かない。
わずかに顔を上げた。鴉が太宰達に剣を向けていた。
裏切り者に死を──
なんとか体を起こすと左手を伸ばし、意識を異能の発動に集中した。
鴉が剣を振り上げたその瞬間──
影の刃で鴉の体を貫いた。
鴉の手から剣が落ち、金属音が響き渡った。
「貴様も道連れ、だ・・・・・・」
さらに無数の影が貫いた。「受けた攻撃はそれ以上にして返す。それが、ポートマフィア、だ・・・・・・」
影が消え、鴉が倒れた。
「これが裏切り者の末路、というわけか。しかし、あれほどの傷を負いながらもまだ息があるとは。随分と悪運が強いんだね、神原さん」
「だが・・・・・・それもここまで・・・・・・のよう、だ」床に倒れ込んだ。「貴様らの行く末、あの世から見させてもらう、ぞ・・・・・・」
神原は動かなかった。「お疲れ様、シャドウ」小さな声で呟いた。
「これでこの抗争も終わったね」
「・・・・・・あの時自分に銃を降ろすように言ったのは、これを予期していたからですか?」
「まさか。いくら私でも、この展開は予想出来なかったよ」
「ではなぜ?」
「彼の傷だよ。シャドウを刺した時に見た彼はかなりの
「どういうこと・・・・・・」
遮るように無線機が鳴った。「儂だ。こちらは片づいておるぞ」
「こちらも終わった。ったく、人をアゴで使うのもいい加減にしろクソ太宰」
「こっちも終わったぞ」
大佐に続き、次々と報告が入って来た。
「お疲れ様です。こちらもたった今、終わりました。これで同盟は壊滅です」
「しっかし、張り合いの無い奴らだった。もう少し骨のある奴はいないのか?」
「何はともあれ、この騒動もようやく終わりじゃ。帰ってゆっくり寝るとするかのう」
太宰たちは洋館を後にした。
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