第11話(2)

       ◆  ◆  ◆


「これで私たちの目的は達成されました」

 満足したのか、鴉は笑うのをやめた。「さて・・・・・・次はあなた方の番です」

 太宰たちに剣を向けた。

「なぜだ? お前たちの目的は過去のポートマフィアへの復讐のはずだ。目的が達成されたというのならなぜ、次は俺たちなんだ?」織田が銃を向けた。

「あなた方には感謝しています。お二人が神原と戦い、隙を作ってくれた。おかげで気づかれずに計画を実行できたのですから。しかし、それとこれとは話が違うのですよ」

「どういうことだ?」

「神原さんの部下だった構成員は全員、今でもポートマフィアに所属している。彼とその部下たちが復讐対象だったとはいえ、ポートマフィアの構成員たちを殺したことに変わりはない。『受けた攻撃は必ずそれ以上にして返すこと』この掟がある以上、いかなる理由があろうともポートマフィアに手を出した者に待っているのは苛烈な報復だ」太宰が口を開いた。「しかし、これからどうするつもりだい? 建物内は我々が占拠しているし、外はポートマフィアの武闘派が包囲している。たとえ運良くここから逃げることができたとしても、ポートマフィアの報復から逃れることはできない」

「そのとおりです。逃げたところでいずれ見つかる。ならば、あなた方と刺し違えて死ぬまで。それが今の私にできる、死んでいった仲間たちへの手向けです」

 神原を跨ぐと、剣を向けたまま太宰たちへと一歩近づいた。


「剣を撃ち落とします。その隙に奴を」

 織田は照準を剣に向けると、隣の太宰に聞こえるギリギリの声で伝えた。

「いや、撃たなくていい。銃を降ろせ」

「しかし、このままでは・・・・・・。あいつは自分たちを殺すつもりです。剣が無理なら腕を狙います。そうすれば──」

「いいから。銃を降ろすんだ」語気を強めた。

「何をコソコソと話しているんです?」二人の様子に気づいた鴉が口を開いた。「そちらから来ないのであれば、こちらから行かせてもらいますよ」

 剣を振り上げた。

 その瞬間──

 鴉の体を影の刃が貫いた。

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