第11話(1)
太宰たちの目の前で、神原が血を吐いた。
剣が神原の腹部を貫いたのだ。
「きさ、ま・・・・・・」ゆっくりと後ろを見た。「何、を・・・・・・?」
「何を、と聞かれましてもねぇ・・・・・・」
刺したのは、鴉のリーダーだった。
「お前の目的は・・・・・・ポートマフィアへの復讐、のはず、だ・・・・・・」
「ええ、そうですとも。私たちの目的はポートマフィアへの復讐です。それは今でも変わりませんよ」鴉面の下には笑みが浮かんでいた。「正しくは“過去のポートマフィアへの復讐”なんですがね」
「なん、だと・・・・・・」
「まだ分からないのですか? あなたも復讐対象の一人ということなんですよ。神原ぁぁ!!」声を荒らげ、剣を更に深く突き刺した。
神原の苦しむ声が漏れ出た。
「私たちはあなたが元ポートマフィアと知ったうえで誘いに乗ったんです。私たち鴉は、ポートマフィアのとある部隊に潰されましてね。その復讐こそが、私たちの本当の目的なんですよ」
「──まさか、その部隊というのは・・・・・・」太宰が何かに気づいた。
「さすが幹部候補殿。気づいたようですね。そう。鴉を潰したのは神原さん、あなたの部隊なんですよ」
「な・・・・・・んだ、と・・・・・・」
「せっかくですから教えて差し上げましょう。私たちが殺したのは全員、あなたの部隊にいた構成員たちなんですよ。しかし、自分の部下だった者達の顔も覚えていないとは・・・・・・。あなたにとって同盟の同志たちは所詮、あなた自身の目的遂行の為の駒に過ぎなかったのでしょう。ですがあなた方こそが、私たちの復讐の為の駒に過ぎなかったのですよ」剣を引き抜いた。
神原が倒れた。
「ずっと待っていたんですよ。あなたを殺せるこの日をね」
室内に笑い声が響いた。
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