第11話(2)

       ◆  ◆  ◆


 織田は走り出し、影の攻撃を避けながら撃ち続けた。

 神原は影で銃弾を防ぎ、銃撃が止むと防御を解いて影を伸ばした。しかし、そこにあったのは太宰の姿だった。

 影を消されまいと異能を解いた。直後、脚に銃弾が命中した。

 苦痛で顔を歪ませながら、銃弾の飛んできた方向を見た。そこには織田の姿があった。

 ──いつの間に?

 織田へ無数の影を伸ばした。

 しかし、その攻撃をすでに見ていた・・・・織田にとって避けるのは簡単だった。影を避けつつ数発撃った。

 二発が神原に当たった。

 神原が膝をついた。

「随分と辛そうだけど、大丈夫かい?」

「黙れ。敵である貴様たちの同情などいらん」膝をついたまま、痛みを堪えた。「なぜ、防御が間に合わない・・・・・・」

「あなたの異能力の弱点をついたのさ」

「弱点、だと・・・・・・」

「あなたの異能力は攻撃・防御の両方に優れている。しかし、それこそが弱点でもある」

「ふざけるな。私の異能力に弱点などない」影の刃を伸ばした。

「どんなものにも、必ず弱点はあるものだよ」影に触れて無効化した。「あなたの弱点は二つだ」指を立てた。

「まず一つ目は影による防御。あなたの防御は周囲を影で覆うことで、周りからの攻撃を防ぐ。しかし周囲を影で囲うことで、影の向こう側を把握できなくなる。現に、私と織田作が入れ替わったことに気づいていなかった。そして二つ目は、異能の発動に関係している。確かにあなたの異能は攻撃と防御に優れている。だけど、あなたはそれらを同時に行なうことができない・・・・・・・・・・・・・。攻撃と防御を切り替える際、僅かな隙が生まれる。防御しているにも関わらず、織田作の弾を受けているのがその証拠だ」

 神原は黙ったままだ。

 しばらくして、ふらふらと立ち上がった。

「弱点を教えるとは随分と余裕だな。だが私は、貴様らからまだ致命傷は受けていないぞ。油断するのもいい加減に・・・・・・」

 突如、神原が吐血した。

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