第10話(1)
神原から伸びた影が二人に襲いかかった。
太宰と織田は左右に分かれて避けると、神原に向かって走り出した。
駆けながら銃を撃った。急所は外し、腕を狙った。
影が神原を覆い、銃弾を防ぐ。直後、伸びた影が織田へと襲いかかった。
織田は床を蹴って避けると、二発撃った。
「くっ・・・・・・」
影が神原を覆う直前、一発の弾丸が腕に当たるのが見えた。影に向かい間髪入れず撃ち続けた。
引き金が空を叩いた。弾切れだ。──しまった。
鋭い影が襲いかかった。
──そのとき。
「織田作、受け取れ!」
織田へと何かを投げた。弾倉だ。「君の銃は把握してる。予備の弾倉を持って来ているから、遠慮なく使え」
壁を蹴って飛ぶと、影を避けて弾倉を受け取った。
着地と同時に床を転がりながら弾倉を装填し、右脇のホルスターからもう一つの拳銃を抜くと一発ずつ撃った。
「無事かい? 織田作」
「なんとか。奴の腕に一発打ち込むのがやっとです」
「このままじゃあ、らちが明ない」予備の弾倉を手渡した。「私が隙を作るから、そこを突け」
「いつ、俺の銃を把握したんです?」
「昨日、君の銃を撃ったときだ。さて、どうやらおしゃべりはここまでのようだ」
「作戦会議は終わりか?」神原が影を解いていた。
「ええ。おかげであなたを倒す算段がついたよ」神原へ向かって走り出した。
影の刃が太宰に襲いかかった。
「無駄だよ」刃に触れ、かき消した。
その隙を突き、織田が両手の銃を撃った。
とっさに影で防御するも、腕と脚に銃弾が命中した。
太宰は防御を無効化し、神原の懐に潜り込んだ。
直後、太宰が後ろに大きく飛ばされて地面を転がった。
神原の強烈な蹴りが、太宰の胴体に突き刺さったのだ。
「太宰さん!」
気を取られた隙に、影の刃が織田へと襲いかかった。
後方へ飛んで避けると、刃と壁に向かって数発撃った。
壁を跳ねた弾丸が頬をかすめ、神原の顔に赤い線を描いた。
着地すると、太宰の元へ駆け寄った。「ご無事ですか?」
「なんとかね」ゆっくりと体を起こした。「さすが先代首領派筆頭だっただけのことはある。体術も優れているとは予想外だった。異能以外にも注意しなきゃね」
「その事で、少々気になる事が──」
「君も気付いたみたいだね。おそらく“それ”が彼の弱点だ」笑みを浮かべた。「もう一度仕掛けるよ」
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