第9話(1)
「儂の相手は貴様達か。随分と好き勝手やってくれたな、花火野郎ども」
中庭では、裁縫針のような剛毛の男がバレットと睨み合っていた。色褪せてところどころ裂けた軍服に柔道の帯を巻き、高下駄を履いた男。ポートマフィア幹部の一人、通称『大佐』だ。
「ポートマフィアとはいえ、所詮は老いぼれた
「がっはっはっは。威勢が良いのう、若人ども。だが、爺を甘く見るなよ──」
突如地面が波打ち、バレットたちを飲み込もうと押し寄せてきた。
「な、何だ? 地面が急に・・・・・・」動揺が走った。
「これくらいのことで驚くとは情けない。さっきまでの威勢はどうした?」
「この異能力・・・・・・。この爺、ポートマフィアの幹部だ」一人が気づいた。
「儂を知っておるとは嬉しいわ。それには感謝したいところだが・・・・・・」
先程までよりもさらに大きく波打ち始めた。
「それとこれとは話が別だ」地面が勢いよく襲いかかった。「マフィアを敵にまわした恐ろしさ、身をもって思い知れ」
◆ ◆ ◆
「俺の相手は手前ェらか、GSS」
食堂と思しき部屋では、中原中也とGSS達がいた。
「これもあいつの差金か」
「ひ、『羊の王』中原中也!? まだ生きていやがっ・・・・・・」轟音とともに男が地面に押し倒された。
「──あァ?」怒りのこもった中也の声がした。「言葉に気をつけろ。俺は王でも何でもねぇ。それにな、今の俺はポートマフィアの中原中也だ」
地面を強く蹴った。床は大きく凹み、放射状に亀裂が入った。
「手前ェらにはあん時、随分と世話になったなぁ。あん時の礼、たっぷりとしてやるから感謝しやがれ。さぁて──」殺気のこもった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます