第4話(1)
辺りを眩しい紫色の光が包んだ。
広津の前で止まっていた銃弾が男たちの元へ飛んでいく。
短い悲鳴を上げながら男たちは次々と銃弾を受けて倒れた。
「我々に牙を向いたことを後悔するといい」そう云って小さく笑った。
広津の後ろで物音がした。
太宰がゆっくりと起き上がった。
「太宰殿、お怪我は?」
「見ての通り無事さ。まだ少しクラクラするけどね。彼が覆いかぶさってくれなければ、恐らく死んでいただろう。護衛役を任せて正解だった」広津の方へ歩いた。「それで? 襲撃者たちは?」
「こちらに」倒れている襲撃者達を指した。「急所は外しておりますので、死んではおりません。このあと本部へ連行し・・・・・・」
無数の足音が近づいて来た。
「ご無事ですか?」
足音は広津の部下達だった。
「先程襲撃を受け、四人がやられた。襲撃者はそこに倒れている。本部へ連行して情報を吐かせろ」
襲撃者達は次々と連行されていった。
「・・・・・・ん?」
倒れている襲撃者の影が一瞬動き、何かが飛び出していくのが見えた。
「どうかされましたか?」
「いや、なんでもない。ところで広津さん。彼等の格好、どこかで見覚えない?」
「太宰殿もお気づきでしたか」指示を出していた男の格好に広津は見覚えがあった。「あれはGSSのメンバーですな」
「それに、あとの四人は
「北辰會?」織田が二人に尋ねた。「すみません。失礼しました」
「構わないよ。君もこの件の当事者なのだから聞いておくべきだ。北辰會は以前、ポートマフィアと抗争をしていた組織の一つだよ。北辰とは北極星の異称でね。北極星が多くの星の中心であることにちなんで、裏社会の中心組織になることを画策していた。その過程で我々に抗争をしかけてくるも、組織は壊滅。先代首領の時のことだよ」
「北辰會の残党がGSSの傘下に入った、ということでしょうか?」広津が口を開いた。
「その可能性もあるけれど、まだ仮説の段階だ。詳しいことは、捕らえた襲撃者達に情報を吐き出させてからになるだろう。さて──」
広津と話を終えた太宰が、織田の方を向いた。
「先程の話が途中だったね。まぁ、君が何を言おうとしてたかは大体分かる。君の持つ危機察知能力とその正体について、だろう。その正体は君自身が持つ異能力によるものだね?」太宰は笑みを浮かべた。
「そのとおりです。自分の異能『天衣無縫』は──」
そこまで言った時、織田の脳裏に再び映像が流れた。
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