第3話(2)

       ◆  ◆  ◆


「よいか。僅かな痕跡も見落とすな。ただし、各自警戒は怠るな。いつ襲撃を受けるか分からんぞ」

 広津の指示により、路地では襲撃に関する調査が黙々と行なわれていた。

 そのとき、広津の携帯が鳴り出した。

「私だ。どうした?」電話の相手は広津の部下だった。「分かった。ならば、ただちにこちらへ合流しろ」

「今の電話は?」

「他の現場からです。襲撃に使われた物と思われる破片を見つけた、とのことでした。そこの捜査を終えたとの事でしたので、こちらに合流するよう伝えました」部下たちからの報告を伝えた。

「ならば、こちらも何かしら見つけておかないとね」

 太宰は路地の奥へと歩き出した。

 その後ろを、護衛役の織田作之助と広津たちがついて歩いていた。

「太宰殿、あまり奥へ入られるのは危険です。お戻りください」

「君がいるから大丈夫。君の危機察知能力には期待しているよ」織田の静止を軽く流した。

「太宰殿。一つお伝えしたい事があります。先程からおっしゃっている危機察知能力ですが、あれは──」


 その瞬間、織田の脳裏にある映像が流れた──


 突然、強烈な光に襲われた。

 痛みを感じて胸に触れる。その手は赤く染まった。

 胸元を見ると、血が噴き出していた。

 周りを見渡す。地面や壁が砕け剥がれていた。

 後ろを振り返る。

 構成員たちが全員、血を流して倒れていた。

 誰かが背中に倒れてきた。

 血を流した太宰治だ。

 太宰を支えようと正面を向いた瞬間、銃弾が胸を貫通した。


 そこで映像は終わった。

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