第2話 月の女性の教え
『なぜ、君はここに居るんだ?』
女性の足首までを波が覆う。
纏っている衣はしたの方が、海に浸っているはずなのに、何故か濡れていない。
「村の人達が僕は〖要らない子〗だって、もう母親が居ないんだから出ていけって、、、ぅう゛、」
また辛いことを、思いだ居たのだろう。男童は、また口元を歪め嗚咽を漏らす。
『それは、辛かったな。でも、確かに、、、、その村は貧しかったか?』
女性は、ボロボロの衣を纏う男童を見れば一目瞭然なのに、分かりきったことを問う。
「多分。母様も、ご飯が少なくてずっと眠っちゃったんだ」
『そうか、、、じゃあ、君は人間が、食べなければ生きていけないことを知っているか?』
「、、、、そうなの?」
見たところ、男童は数え年4か5と見る。
(無知程恐ろしいものはないな)
『そう。人間は、食べ物を食べなければ生きていけないんだ。じゃないと〖死んでしまう〗。』
「ッ?!」
(あわれだな)
『だから、君の母親は遠くへ、、、、いや、死んでしまったんだよ。』
「嫌だ!絶対違う!母様は、連れていかれたんだ!死んでない!」
死んでない!そう男童は主張するが、話を聞く限りでは、男童の母親は村の飢饉で亡くなったのだろう。
(村の人達は、せめて若い男童だけでも生き延びれるように外の世界に出したのか、、、。)
『坊や。勿論君の母親は死んだとは決まってはいない。でも、可能性があるというこだ。』
「違う!」
『坊や、人はいずれ死ぬものだ。死ねば、全ての魂が一つの大いなる、輪廻の流れに戻り、また、世界に魂が一つ一つ振り分けられる。坊やも同じだよ。別に死んだって、本当に居なくなる訳じゃない。』
「、、、、でも、ぅ゛、、でも、僕は怖いよ。一人ぼっちなのが。誰も助けてくれないし、忘れられたみたいだよ。」
『坊や、君は1人じゃない。今の私が坊やのことを見てる。覚えてる。それに、坊やの母親もきっと何処かで見ていてくれているよ。魂が最も宿りやすいのは、海といわれている。きっと、坊やの母親は、海からずーっと坊やのことを見守って居てくれているはずだよ。』
そう言った、女性の表情は穏やかなものだった。
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