グロ耐性がない俺が異世界で暗部の構成員になったら

ちーずけーき

第1話 暗部の幹部がグロ耐性ないってマジ?




世の中が纏まってるのは叡智なる統治者や権力者がいるからか?

それは違う

どの様な『知』や『武』があっても必ず統治者の尻拭い、もとい汚れ仕事を行う人物が必要になる

わざわざ血統や高貴などを鼻にかける権力者達がするわけ無い

彼等は己の手を汚すことがなにより嫌うからだ

色ボケた貴族共の尻拭いや国が崩壊せぬように支えるべく古から王に仕えてきた暗部『呪蛇』

呪のように追いかけてきて獲物を死ぬまで追いかける蛇のような執着の強さ

貴族の代わりに裏では皆に恐れられ嫌われる存在

肝心な彼等はそれをどう感じているのだろうか?


― ― ―


唐突だが自己紹介をさせて欲しい

俺の名はアルファ

名前の由来はアルファベットを短縮して付けられた

暗部『呪蛇』の構成員で汚れ仕事をしている苦労人だ

俺には生まれたときから両親もいなかった

前世の記憶があった俺はスラム街に生まれて神を恨んだが暗部に拾われ晴れて就職した俺は幼少期からブラックな世界に入ったのである

年は10,12位になった

正確な年齢は知らないが暗部では訳アリが多いので俺みたいなやつは山程いる

もっと酷いヤツなんて戦争に巻き込まれて片腕と片足無いとか洒落にならない冗談と思うほど部位がないとかいるしな

同情する気にはならないが

足元を見ると今さっき始末した輩から溢れ出す新鮮な血が溜まり場を作っていた



「ぎゃー!俺グロ耐性無いからこういうのキツイんだって!」



そこに映るのが稚げな灰色の髪と灰色の瞳

まるで灰を被ったような少年が映っていた

無表情で表情筋がいつ見ても死んでる顔



「なにこれ、俺お化け屋敷で働けそうなぐらい顔怖いんだけど」



顔は整ってるが灰色で昔はスラム街でよく貶されこき使われまさにシンデレラの男版だった

暗部で活躍すると二つ名が自然と付く

俺の二つ名は周りと比べて一段と酷かった

【灰纏いの鴉】

マジ辞めて欲しい

基本俺は鴉に特段といい印象はない

前世で焼きトウモロコシ公園で学校サボって食ってたら鴉にトウモロコシ奪われたぐらいかな

あと灰纏いってなんだよ?灰纏いって?

せめてもっとかっこいい名前にしてよね?

灰で作ったバットを消して灰に戻す

兄元にバットだった灰がサラサラとこぼれ落ちた

黒いローブを深く被り輩の死骸から背を向けた

背を向けた状態で跪き俺は人を殺したら抗えない儀式(?)が発動した



「おぇぇぇぇ」



そう、ゲボである

グロ耐性のない俺は吐くのはしょうがないと思う

だって怖いんだもん!

心の中で子供のような言い訳(いや子供だし)をしながら予備のハンカチで口からぼたぼたと垂れる是非とも虹色のモザイクを掛けたい液をふく

これ部下に見られたら絶対こういうんだろうなぁ



『暗部の幹部がグロ耐性無いのってマジ?』



うーん、絶対言うに決まってる

このことは死守しなければ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

グロ耐性がない俺が異世界で暗部の構成員になったら ちーずけーき @04110411

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ