第4話 お前はもしてして……ロリコンなのか?

 扉が開いた先は大きな広間が存在していた。

 

 壁という壁には名工による彫刻が刻まれており、それだけで美術品として後世に残るような逸品だ。


 天井は見上げるほどの高さがあり、帝国建国時の物語が精緻な壁画で埋め尽くされている。

 

 毛深い真紅の絨毯が敷き詰められた謁見の間には既に数百人の武官・文官が片膝をついた状態で頭を下にさげて整列していた。

 

 その中央部をウィリアムとソフィアの二人はゆっくりと歩いていく。

 そして最前列を通り抜けると先は床が段上に高くなっており、その頂きには豪華な椅子に一人の男性が座っていた。

 


 アルグレン帝国第十九代皇帝 オルフェイン・アルグレン

 帝国の最高権力者にしてウィリアムとソフィアの父親である。

 燃えるような赤色の髪を背中まで伸ばした、まだ若々しい見た目の偉丈夫が二人を見下ろす形でそこにいた。


 

 ウィリアムとソフィアは階段の前でお互いの手を離し、深く礼をすると頭を下げたまま片膝を着く。


「ウィリアム、ソフィア。よくぞ参った。そして二人とも息災そうで何よりだ」


 ウィリアム達の頭上から威厳ある声が謁見の間に響き渡った。


「皇帝陛下におかれましては本日の喜ばしき儀、皇室の末席に身を連ねる者として言祝ことほぎ申し上げます」


 ウィリアムは落ち着いた、しかし周りへと響く声で皇帝へと言葉を返す。

 

「アルフレッド殿下の生誕されました日を共にお祝い出来ます事、恐悦至極にございましゅ」


 ソフィアも年相応の可愛らしい声を上げるが、残念。最後を噛んでしまったようだ。


「はっはっは。二人ともそう畏まるな。顔を上げて、こちらに来なさい」 


 二人ともゆっくりと立ち上がるとウィリアムは横目でソフィアを見る。

 先程の肝心な部分で噛んでしまった事が相当恥ずかしかったのかソフィアの顔は真っ赤になっていた。

 目はバッテンになっていて、あうあうと小さく声が漏れている。


 その様子にウィリアムは小さく笑い、ソフィアの手を取って壇上へと登る。

 

 そして皇帝の前までたどり着いた二人をオルフェインは椅子から立ち上がり待っていた。


「おぉ、ソフィア。我が愛しき娘よ。立派な挨拶であったぞ。……さぁ、その可愛らしい顔を父に見せておくれ」


 まだ恥ずかしそうにしていたソフィアは顔は真っ赤なまま、皇帝の前で綺麗なカーテシーをする。

 そんな彼女の頭にオルフェインは大きな手を乗せ、二、三度撫でると、その手をソフィアの頬まで下ろし、愛おしそうに頬を撫でる。

 

「母親の若い時分にそっくりだ。母親に劣らず美しく育っておるな」


 末娘の成長を喜ぶオルフェインの顔は皇帝としてのそれではなく、市井の父親同様の顔をしていた。

  

「ウィリアム。貴様、遅れた上にこのように可憐な花を独占していたなど万死に値するぞ」


 次いで、横にいるウィリアムに向かってニヤリと意地の悪い笑顔を向ける。 


「レディはいつも準備に時間がかかるものですよ。それを待つのも紳士の大切な役割です、陛下」 


 すまし顔で応えるウィリアムに、皇帝は左手で拳を作ると笑いながら彼の胸をトンと小突く。

 

「口ばかり達者になりおって、この愚息が」 



  

 お互いに口の端を上げて微笑んでいると、そこに美しい女性の声が聞こえてくる。

  

「陛下、そろそろ。臣下が陛下のお言葉を待っております」


 皇帝の椅子の右隣から女性の声が聞こえてくる。

 そこにはソフィアとよく似た顔立ちの女性が控えていた。

 

 セシリア・アルグレン皇后

 この帝国において女性の世界でトップに君臨する存在であった。


「ウィリアム、ソフィア、また後で話そう」

 オルフェインが名残惜しそうにソフィアの頬から手を離すと、ウィリアムとソフィアは深く礼をし、玉座の左側に歩いていく。


 

 そこには三名の男性と一人の少女が並んでいた。


 皇帝の最も近くに控えていたのは第一皇子のアルフレッド・アルグレン 

 オルフェイン皇帝と同じ色の燃えるような赤髪のアルフレッド皇子は本日の主役である三十五歳。

 帝国議会の議長を務め、帝国の舵取りを任された重鎮は、その職責に不釣り合いな程に優しそうな微笑みを顔に湛えた美丈夫であった。


  

 次に控えていたのは第二皇子のコンラッド・アルグレン

 神経質そうな顔立ちに銀縁のスクエア型の眼鏡を掛けた男性が目を瞑って立っていた。

 夜の闇を体現したような漆黒の髪を持ち、パリッとした髪色と同様のスーツを着こなした細身のこの男は、若干三十一歳にして帝国の財政を取り仕切る官僚のトップに立つ能吏でもある。


 

 その次に立っていたのは第四皇子のマクシミリアン・アルグレン

 がっしりとした肩幅に厚い胸板、筋肉質な体つきに茶色の髪の毛を短く刈り込んだ偉丈夫は、真一文字に口を結び、古代の戦神を彷彿とさせる厳つい顔をしていた。

 ただし、彼は軍人などでは無い。

 文化事業を展開している企業グループを帝都を中心に多数展開しており、帝国の文化面をリードする多才な才人だった。

 

「おっ、ウィリアム氏。久しぶりでござるな、デュフフ」

 

 顔に似合わない高い声の彼は、本人曰く二十九歳のただの凝り性オタクだと言う。


 

 マクシミリアン皇子の横にすっと入ったウィリアムがチラッと横を見ると一人の少女が立っていた。


 第三皇女クローディア・アルグレン。

 コンラッドと同じ烏の濡れ羽色の艶やかな黒髪を腰まで伸ばした十五歳の美しい少女。

 髪色と同様の大人びた黒を基調としたドレスを着た姿はビスクドールのような愛らしさを湛えていた。

 若干眠たそうに見える顔からは表情が読みづらいが、ウィリアムの方を向くと少し頬を紅潮させ、ほんの僅か口角を上げている所を見ると機嫌がいいようだ。


 それを見たウィリアムもクローディアへ微笑みかけると、彼女は焦った様子で顔を逸らして若干下を向いてしまった。


 


 ソフィアがクローディアを通り過ぎ一番端に立つとオルフェイン皇帝が前を向き、威厳ある声を眼前にひざまずいた貴族達へ投げかけた。

 

「今日は我が息子、アルフレッドの三十五回目の生誕日を我が帝国を支える諸君と祝える事を嬉しく思う」


 深みのある皇帝の声は、音の広がりを計算されて設計した壁や天井に反響し、謁見の間中に響いている。

 跪いている貴族は皇帝の声を聞くと更に深く頭を垂れ、中には感激のあまり体を震わせている者もいる。


 この時、帝都各地では各所に設置された立体映像装置ホログラフィックディスプレイに皇帝の姿が映し出され、謁見の間と同様に貴族達のみならず一般市民までもが手を止めてその場に跪き皇帝の声を聞いていた。

 

「アルグレン皇室が今日こんにちまで連綿とその命脈を保つ事が出来たのは諸君や諸君の先達の献身があってこそと確信しており、感謝の念に絶えない」


 オルフェインはそこで一旦言葉を切ると満足気に臣下を見渡して、更に言葉を続ける。

 

「また、本日は皆に対してもう一つ素晴らしき報告をするとしよう……アルフレッドよ前に出なさい」


 呼ばれたアルフレッドが一歩前に出ると深くその頭を垂れる。

 

「アルグレン帝国第十九代皇帝オルフェインの名において、アルフレッド・アルグレンを皇太子へと指名する事をここに宣言する」


 その瞬間、謁見の間にざわめきが拡がっていく。


「な、なんと……」

「アルフレッド殿下が……これは喜ばしい事だ」

「皇帝陛下もついにお決めあそばされたか。これで帝国は安泰だ」


 皇帝の言葉が続いている中で声を上げる事は最大の不敬に当たるが、オルフェインはそれを微笑みを持って流してアルフレッドに挨拶をするように促す。

 

「アルフレッド・アルグレンは本日、この時より皇太子として、更なる帝国の発展に全力で務める事をここに宣言する。諸君のこれまでと変わらぬ帝国への献身を期待する」

 

 アルフレッドの、父親である皇帝に負けず劣らずな威厳ある声が謁見の間に響くと、最前列にいる一人の老人、アルバート・ウエストミンツ公爵が声を上げる。


「帝国万歳! オルフェイン皇帝陛下万歳! アルフレッド皇太子殿下万歳! 偉大なる帝国よ永遠なれ!」


「「「帝国万歳! オルフェイン皇帝陛下万歳! アルフレッド皇太子殿下万歳! 偉大なる帝国よ永遠なれ!」」」


 その声はすぐにその他の参列者に広がっていき、部屋中は熱気ある数百名の声に埋め尽くされた。


 それだけでは無い。

 帝都だけでなく惑星ソルベリア中で帝国を讃える歓声が上がり、もちろんそれは同じ映像が中継されていた帝国領の有人惑星全てで「帝国万歳」の声が上がった。


  

 ひとしきり歓声が続くとオルフェインは手をすっと上げる。

 すると人々の声は潮が引くように収まり、また謁見の間は静かになる。

  

「我が立太子の決定に異論ある者は誰でも良い、申し立てよ」


 そう言って大きく左から右に向かってオルフェイン皇帝が臣下を見渡すが、全員再び頭を垂れ異論を唱える者は誰もいない。

 

 その様子に皇帝はもう一度見渡してから、満足気に大きく一つ頷く。

 

 さらにもう一度見渡してから、大きく一つ頷く。


 

 さらにさらに念の為にもう一度だけ見渡してから無表情になると、今度は皇子達へ向かい「お前達の中でアルフレッドの立太子に反対の者はいるか?」と聞いた。


 第二皇子のコンラッドが正面を無いたまま声を上げる。

 

「アルフレッド殿下の実力、人望はまさに次期皇帝に相応しい物であります。兄上が帝国を継ぐのが一番よろしいかと愚考致します」

 

「では――」

 そして皇帝が声を出す前に

 

「拙者も右に同じくでござる!」

 と、マクシミリアン。

「右に同じく」

 と、更にウィリアムが声を重ねた。


 なぜか皇帝の額に青筋が浮かぶが、そのまま謁見の間は熱気に包まれたまま、アルフレッド第一皇子の生誕祭と立太子宣言は終わった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「てかさ! なんで誰も反対しねーの? 反対しろよ、面白くねぇ」


 式典の後、皇帝の私室に集まった皇族が円卓に座った中、発せられた第一声がこれである。


「自分には父上が何を言っているのか理解できません。兄上の皇太子就任がみんなに祝福されて良かったではありませんか」

 

 コンラッドが紅茶の入ったティーカップを傾けながら、ウンザリした様子で皇帝に返す。


「あらあら、陛下は昔から憧れてたのよね。皇子達から『反対!』と言われるのを」

「そうだよ! そこで俺が言うんだよ! 『異論あるなら自分の実力を示せ! 何も功績なき口だけの者に皇太子の資格なし!』ってね」

 

 セシリア皇后はコロコロ笑い、オルフェイン皇帝はプンプンと「もう、ほんとにみんな空気読めねーよな」と怒っていた。


「父上の無茶振りが天元突破したでござるな、デュフフ」

「昔からですからね。私はもう諦めました」

「お。ウィリアム氏は大人ですな」

 

 これが四大列強国に数えられる帝国のトップ、皇帝オルフェインの素の姿である。

 公の場以外では非常に砕けた様子で威厳の欠けらも無い。


 

「コンラッド、マクシミリアン、ウィリアム。お前達どうだ? 今からお前達が皇太子ならね?」

 

 そう続けたオルフェインに対して

 

「責任に比べてメリットが無さすぎてお話になりませんね。そんな暇があるなら自分は予算書を見ている方がよほど有意義ですよ」

 

「拙者、今期のアニメのチェックが忙しい故、お断りします。デュフ」

 

「私は近衛艦隊の司令官として帝国の盾となりアルフレッド兄上を護りますよ」

 

 皇子達は無惨に一刀の元に切り捨てた。


  

「何だよ何だよ、お前ら男の子だろ。男に生まれたからには色々な障壁を乗り越えてトップ獲ったらぁ! って気概見せて見ろよ、たく……」


 ブツブツ呟くオルフェインに、兄の寝首穫れや、とけしかけられたアルフレッドは苦笑いしながら質問をする。

 

「そ、そういえば父上は、確か皇位継承権四位でしたよね? やはり、父上は今の帝位をご自分の力で勝ち取ったのですか?」


 その言葉に、え?聞いちゃう?聞いちゃう?とウキウキしながらオルフェインは語り出す。

 

「おう! 王者の器を示した俺を兄上達は危険視してな。俺はそんな兄上達をちぎっては投げ、ちぎっては投げ……」

「くじ引きよ」


 自慢げに語る皇帝陛下にセシリアの横槍を入った。

 

「「「「……え?」」」」

「お、おい、セシリア……」

「だって皆、皇帝なんかやりたくないって言ってたもの。だから私の提案でくじ引きになったの」

 

 四人の皇子達の白い目にオルフェインはサッと目を逸らす。

 

 ちなみにこれは帝国がひた隠しにしている機密情報でもあった。

 しかしオルフェインの名誉の為に言っておくが、彼の皇帝としての才能は突出している。

 もちろん帝国の統治システムが優れている事もあるが、オルフェインの統治下で間違いなく帝国は発展し続けているのだ。


「………はい。この話は終わり! それと今日はもう一つ、皆に報告がある――クローディア」

「父上……」

「逃げましたね」

「逃げたでござる」

「逃げた」


 クローディアは美味しそうにクッキーをもぐもぐ食べているソフィアの頭を、眠たそうな目をしながら無表情で撫で続けていた。

 クローディアが「何?」と言った風に振り向く。


 男性陣の話を全く聞いていなかったクローディアは少しの間考えると、事前にオルフェインから伝えられていた事を思い出し、席を立って少し頭を下げた。

 

「はい。この度、婚約しておりました蓬莱ほうらい諸国家連合王国のアンツェン・リィ様との結婚式の日取りが決まりました」

 

 セシリアが「まぁ!」と驚きの声を上げて拍手したのを皮切りに皆から祝福の声が飛び交う。

 

 そのような中、苦虫を噛み潰したような表情の皇帝は

 

「…………なぁ、ウィリアム。お前んところの宇宙艦隊でリィ家の領地を惑星ごと消す事できねーか? 反応弾一ダースくらいなら皇室費で経費ごまかしてやるからさ。そうすりゃクローディアの輿入れ出来なくなるだろ?」


 驚きの提案をしてきた。


「……父上、リィ家は他国の、帝国で言うところの皇室ですよ? 無茶苦茶言わないで下さい」


 呆れたウィリアムの物言いにオルフェインはその場でひっくり返って手足をジタバタとし始める。

 その様子はマーケットでお菓子をねだる子供のようだが、それを五十歳を越えるオッサンがするのは、いっそ醜悪であった。

 

「嫌だ嫌だ! もう二人もお嫁に出したんだ! クローディアとソフィアは絶対お嫁なんかに出さないんだ!――げべらっ!!」


 あらあら、うふふと笑うセシリアは床でジタバタ暴れる夫に向かって、自身の右足を思い切り振り上げると――


 容赦なく、そのつま先を蹴りこんだ。


 

「あなた……リィ様は立派な貴公子ではありませんか。一体何がご不満で?」

「ゴフマンナイデス。オレ、クローディアノケッコンチョーウレシー」


 襟首を掴み、ガクガク揺する皇后の顔を見たオルフェインはストンと表情が抜け落ち、魂の籠っていない声を絞り出す。

 

「「「まぁ気持ちは分かりますよ」」でござる」


 そのような様子にアルフレッド、コンラッド、マクシミリアンは自分の娘の顔を思い出し、あと何年か後にこの無様な父親と同じ反応をしないとも限らない事に恐怖した。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

「ところでさぁ……ウィリアム」


 父親として醜態を晒していたオルフェインは急に皇帝としての顔になるとウィリアムの方を向いた。

 

「貴様はいつになったら結婚――というか婚約者を決めるのだ?」


 瞬間、ウィリアムの動きが止まる。

 

 実は第六皇子ウィリアムには未だに婚約者がいない。

 いない、というのは少し語弊がある。


 公爵家、侯爵家、伯爵家。皇族と婚姻ができる家からは今までも、そして今でも多くの婚約の話が舞い込んでいた。

 若干二十三歳にして近衛艦隊を率いる才色兼備のこの若者を欲する家は星の数ほどあり、身分差を問わねばその下の爵位の令嬢や果ては一般市民の女性からの熱い視線をウィリアムは受けていた。

 

「そうですね。相応しい女性が現れたら喜んで婚約しますよ」


 オルフェインから目線を逸らしたウィリアムの前にドカドカと詰め寄った皇帝はウィリアムの方を見てドスの効いた声を上げる。

 

「まさか貴族としての義務を忘れたわけではあるまいな?」

「……もちろんですよ」


 少しの間見つめ合う父親と息子。

 

 貴族の結婚と言うのは一般市民の結婚とは訳が違う。

 貴族の婚姻とは家同士の繋がりを強くし、帝国を更に強大にする為に行う側面が強い。


 一般市民のような恋愛結婚など言語道断であり、一般市民の娘が貴族に見初められるなどの物語のような結婚は貴族社会ではタブー視されてすらいた。


 例外はあるが、それでも正室(第一夫人)はもちろん、側室(第二夫人以降)にすらなれず妾(愛人)が精一杯だろう。


 極々一部にその例外を地で行っている者もいるが、ほぼ全ての貴族は当人同士の感情よりは家同士の繋がりを計算して婚姻を行う。


 その為に幼少の時から婚約者を決め、そのまま結婚をする事が半ば義務のように慣習化していた。

  


  

 ウィリアムは今年で二十三歳。

 普通の帝国貴族の男性であれば当然結婚している年齢であり、ましてやその年齢で婚約者すらいないというのは常識では考えられないのだ。


「……その事について、私からウィリアムに聞きたい事があります」


 睨み合う形になっている父子にアルフレッドが声をかける。

 表情は固くなっており、なにかの決意を秘めたその佇まいにオルフェインは、一旦ウィリアムに強い眼光を送ると自分の席に戻っていく。

 

「これは、そう、非常にデリケートな問題だ。取り扱い方を間違えると、何というか、全てが――私達家族がバラバラになるんだ」


 ウィリアムへと向いたアルフレッドは何か言いにくそうに言葉を紡いだ。

 そのような兄の様子に自然とウィリアムの方も体を強ばらせる。


 そして、ついに覚悟を決めたアルフレッドは以前から抱いている弟への懸念を口に出した。

 


 

「……ウィリアム……お前は、もしかして……小児○愛嗜好者ロリコンなのか?」




 

 その瞬間、部屋の中の空気が凍った。

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