第2話
【放課後】
「あのさ、○○さん。これから時間ある」
俺は勇気を振り絞って彼女に話しかけた
「ごめんね、今日は予定があるの」
「そっか、分かった」
これで俺と彼女の会話は終わってしまった
「くそー、またダメか」
俺は嘉弥と帰りながら先ほどのことを話していた
「当たり前でしょ、あんなかわいい子があんたなんか相手にするわけないじゃない」
失礼だな
「なんでかわいいってわかるんだ。もしかしてあの場にいたのか?」
「そ、そんなわけないじゃない」
嘘だな
「まあそれはいいさ。ただ、なんだか彼女の様子が朝と違ってすごく怖かったんだけど」
「確かにね。でもそれだけじゃないわよ」
「なんでわかるんだ」
「女の勘」
そうですか
「はあ、ラブコメにならないな」
「なんでそんなにラブコメにこだわるのよ」
「それは小学生の時にのことだ。」
「キモ」
ひどい
「ひどい。人がせっかく話そうとしてるのに・・・」
「わかったわよ」
「話すぞ。俺は小学生の頃からラブコメ作品が大好きだった。まあ何年も一緒にいる嘉弥は知ってたと思うけど。それで六年生の時にさ、ある時机の中に一枚の紙が入ってたんだ。その紙には英語で『falls divine punishment』って書いてあった。それを読んだ時は喜んだ。英語なんて意味分かんないけどラブコメにハマってた俺からしたら告白だろうと期待してたんだ。でもな、家に帰って調べてみるとその意味は『天罰が下れ』だったんだよ。笑っちゃうだろ」
俺は茶化して彼女に言う
「笑えないわよ・・・」
悲しそうに言う
「もう気にしてないよ。確かにその時は本当に落ち込んだ。ラブコメなんて空想のものだと思ったよ」
「ならどうしてラブコメがしたいの?」
当然の疑問だ
「確かに落ち込んだ。もう机がトラウマだったよ・・・・でも、チョコによって変わった。バレンタインデーのときに机の中にチョコが一個入ってたんだ。それでそのことなんてもうどうでも良くなった。初めてのチョコだったからな。ラブコメなんて空想だと思ったけど、これこそラブコメみたいだと思った。だからラブコメがしたいんだ。単純だけど」
話を聞き終えると彼女は突然顔を赤くする
「どうしたんだ」
「なんでもないわよ!・・・それでそのチョコは美味しかったの?」
「ああ、めっっちゃうまかった!」
「ふ〜ん」
「今思うと一体誰だったんだ?」
「誰だったら嬉しいの?」
うーん
「そりゃその頃のアイドルだった明奈さん!」
バン!
突然背中をカバンで叩かれる
「わるかったわね!明奈ちゃんじゃなくて‼︎」
?
・・・・・
「も、もしかしてあのチョコって嘉弥さんが?」
「そうよ!」
ヤケクソ気味に彼女が言う
あちゃ~
悪いことをしたな
「ほんとごめん。まさか嘉弥だったとは」
「ふん!!明奈ちゃんの方がよかったでしょ」
彼女は歩くスピードを上げる
「そんなことない!すごくうれしかった、それに本当に救われたんだ。ありがとう。お礼もかねて今からカフェにでも行かないか」
彼女の歩きが遅くなる
「はあ、仕方ないから斗真の相手をしてあげるわよ」
「俺はいい幼なじみを持ったな」
「(いつか幼なじみじゃない呼び方させるんだから覚悟しときなさい)」
「なにかいったか?」
「なんでもないわ。ほら行きましょう」
彼女は笑いながら俺を引っ張る
「わかったよ」
俺たちは一緒にカフェへと向かうのだった
ラブコメ脳の俺は毒舌な幼なじみでもラブコメにはならない 青甘(あおあま) @seiama
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
僕とウミガメ/青甘(あおあま)
★9 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます