第11話 シャベル使いと愉快な仲間たち【1】
「……とりあえず、この穴から出ません?」
ここは地底……という程の深さはないものの、地上にそうやすやすと出られない程度の深さはある大穴。
土を集める為だけに俺が黙々と掘っていた穴なのだが、どういう訳か2人のプレイヤーがこの穴に落ちてきてしまった。
それも、同じ空間にいるとそれだけで面倒事が発生するタイプの2人が。
土集めを再開する為にも、今すぐに2人へ適当な場所に転移してもらいたい。
「ええ、そうですね。あ、その前に一つ相談があるのですが……よろしいでしょうか?」
「うむ、私でよければ力になろうではないか。……できれば、もう暴力は勘弁願いたいがな、ははは!」
「大丈夫ですよ、あんな事はもういたしませんので。それで、相談と言うのは……」
モルモさんは深呼吸し、何故か俺の方を見ながら言葉を放つ。
「私の……ダンジョン巡りを手伝って頂けないかと思いまして。お二人とも私と同じく初心者の様ですし、パーティーでやった方がお得だと思うのですが……どうでしょう?」
なるほど、確かに魅力的な提案だ。
1人より3人の方が早いのは当たり前だし、今の俺にはソロで戦える程の実力は無い。
パーティに入れて貰えるのは助かる。の、だが––––––––
相手が、この2人なんだよなあ。
別に2人とも悪い人ではないだろうし、嫌いなわけでもないが、何というか一緒に居て疲れる人達だ。
カプリスは人を振り回しながらも最後には最適解に着地して終わるタイプだが、この2人は人を振り回すだけ振り回して放置するタイプの様な気がする。
ただまあ、今日1日パーティーを組むくらいなら楽しくやれるだろう。
……多分。
「俺もダンジョンは全然クリア出来てないので、助かります。ダンプティ氏はどうですか?」
「ああ、私も同行しようじゃないか!……でも、キミ達は誤解しているぞ?私、初心者じゃないからね!?レベル60はあるからね!?」
「えっ、そうだったのですか?」
「いやいや、トカゲに咥えられて死にかけていたじゃないですか!?ここ、推奨レベルはせいぜい20か30位ですよ!?」
「それは……スキルの都合上、あの手の敵とは相性が悪いのだよ……」
この人、大丈夫か?
いくらスキルが弱かろうと、それだけのレベル差があればただ殴るだけでも勝てると思うのだが……ま、そういう事もあるか。
”効果のよく分からないスキルを使ったら自爆した”なんて、ゲームによっては定期的に起こるからな!
ひとまず、モルモさんから送られてきたパーティー申請を承認する。
……ダンプティ氏、本当にレベル高いな……
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