第9話

 ここに彼女がいる。難しい判断になった。

 上の人間の判断で、義賊組織との全面対決になった。とはいえ、この組織がつぶれれば、いよいよ警察の暴走に歯止めが利かなくなる。


 いつものように前線部隊。若者ガキに経験を積ませる、という名目の。弾除け。


「行きます」


 爆発物セット。

 即爆発。とりあえずこれに巻き込ませて、自分を弾除けに使おうとしているやつらを引き剥がす。


 あとは個人。

 義賊組織の上だけつぶして、他を放置すれば。まだぎりぎり延命は可能だろうか。警察全勝ちを防がなければいけないぶん、任務としての質と難しさは一級品だった。この任務の正否で、警察の暴走具合が変わる。若者ガキになんてことやらせるんだ。


 いない。


 義賊組織の上の人間も、逃げ足が速いらしい。警察と同じだ。今頃、警察の上の人間もおおいに逃げ回っていることだろうよ。


 屋上に繋がる扉。


 やるか。


 爆発物セット。

 即爆発。


「おぉ。いたいた」


 彼女がいた。


「おい。泣くなって」


 泣いていた。


「違うし。寝起きなだけだし」


 あ。そうですか。


「焼きそばパンは無しだ」


「残念」


 さて。


「殺し合うか?」

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