三度目の生


 その次の生は、思い出したくもないものとなった。


 何色の毛を持って生まれたのかも覚えていない。飢餓と苦痛だけが、ミャンファに与えられる全てのものだった。

 気が付けばミャンファは暗く冷たい檻の中におり、同じ空間に何匹かの同胞がいたものの、ここがどこなのか知るものはなかった。


 同胞たちの詰め込まれた檻は、あまりにも狭すぎた。ミャンファは満足に体を動かすこともままならず、四肢の関節が曲がったまま固まってしまった。

 これでは海を探しに行けないし、海を渡ることも出来ない。悲しくてミャンファが鳴くと、ひとりの男が檻を開け、同胞たちのうち一匹を適当に掴み、堅い壁に叩き付けて殺した。

 それを見てからは、ミャンファは一声も鳴かないように心掛けた。



 男は常に怒っていた。ミャンファたちにではなく、何か別のものに対する憎しみを、体いっぱいに溜め込んでいた。

 それが彼の体からあふれ出るたびに、ミャンファは鋏で耳を切られ、尻尾を切られ、火で炙られるのだった。



 三度目の生が終わるまでに、それほど時間はかからなかった。

 ミャンファは下水を通り、川を流れ、とうとう焦がれていた海へとたどり着いたのだが、そのときにはもう、ただの腐肉になっていた。

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