第6話「鍛冶屋のランドリュー」

「おはよう、エルシー」

「おはようにゃ、カナデ」

エルシーと挨拶を交わす、可愛い

軽く朝ご飯の麦粥を食べた

今日もお出かけをする

ギルド支部に行って挨拶をした

「おはようごさいます、二人とも」

「今日はどうですか?」

「そうそう、鍛冶屋のランドリューがね」

「鍛冶屋さん」

「エルシー以来でミスリルソードを打ってくれるって張り切ってるわ」

「わ、私のぶんってことですか」

「もちろんそういう意味よ、よかったわね」

「ありがとうございます」

「お礼はランじいに直接言ってね」

「は、はい」

「それで実はね、ミスリル鉱石がもうなくて」

「じゃあできないですね」

「山の廃坑跡の近くで今も取れるからお願いって」

「廃坑跡ですね」

「わかったにゃ、カナデのためにも行ってくるにゃ」

「そういうことで、今日もよろしく」

「はい、行ってきます」

「はいにゃ、行ってくるにゃ」

「ふふ、元気ね、行ってらっしゃい」

村を出て山を登っていく

廃坑跡はエルシーが知ってるそうだ

「エルシー大丈夫?」

「もちろん、平気にゃ」

「よかった」

「カナデこそ大丈夫かにゃ、けっこう登るにゃよ」

「あ、まぁ頑張ってみる」

「そのイキにゃ」

ずっと道が山の上に向かって続いてる

昔はもっと人通りがあったのだろう

広さからすれば馬車も通れそうだ

「ねえ、昔は村も鉱山が」

「うん、そうみたいにゃね」

「それで今は……」

「そうにゃね、でも僕の生まれる前の話にゃ」

「そっか」

「いつまでも昔の栄光にすがってられないにゃ」

村のすぐ横の小山の上にも廃城がある

昔は重要拠点とされていて兵士もいたんだってさ

「今のこぢんまりした村だって居心地いいにゃんよ」

「そうだよね、それは私も思う」

「村を気に入ってくれてうれしいにゃ」

「お世話になってるしね」

村の人々の顔を順番に思い浮かべる

ふふ、個性的な人も何人か

あとニワトリ君たち

「唐揚げ食べたいな」

「そうにゃね、美味しいもんにゃ」

だいぶ登ってきた

「見て村があんなに小さい」

マーサル村が遥か下に見える

山頂はもっと上だけどだいぶ近くなった

「ここにゃん」

「お、おう」

そこにはいくつかの小屋の残骸がある

昔は人がいたのだろう

鉱山の入り口がポッカリと開いていた

「足元をよく見るにゃ」

「あ、うん、それで?」

「キラッと銀色に光る石を探してにゃ」

「わかったわ」

光る石、光る石、と探していく

「あっあった、これ?」

「そうにゃね、小さいからもう何個か拾うにゃ」

「うん、頑張って探そう」

「にゃにゃ、発見にゃ」

私のより少し大きい

この銀色がミスリルなんだね

鉄は酸化して茶色や黒い鉱石だけど

ミスリルは金みたいにそのまま出るんだ

「ついでに多めに拾おうか」

「そうにゃね」

カバンいっぱいにミスリル鉱石を集めた

「重い」

ミスリルが軽金属だといっても重い

えっちら、おっちら山を降りた

「ランじい、ミスリルにゃよ」

「ランドリューさん、はじめまして」

「よいよい、ありがたや」

「よろしくお願いします」

「おおっ、これじゃ、この曇りなき輝きじゃわい」

「鉱石のことですか」

「ミスリルもじゃが、カナデの心のことじゃよ」

「そっそんな、私」

「ははは、照れんでもいいのに」

「やる気になった、やるぞ、やるぞ」

ミスリル鉱石を持って奥へ行ってしまった

それから数日後、私のミスリルソードが完成した

「にゃはは、よかったにゃね」

「はい、ありがとうございます」

その剣はずしりと重さはあるものの

不思議と手に馴染んだ

「これがミスリルソード」

それが永遠の銀色の輝きだという

続く……

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