第6話・金切りは伊達ではない

片付けを終え掃除道具などを荷車に乗せ。何度目かのご馳走さまを言い・去るうとするのを押し留める。


草刈り鎌二丁目と水桶・箒が、欲しいとねだると案内宦官が、刃物ですから扱いには、注意してください。と苦笑しながらに娃鈴に渡してくれた。


これで雑草との戦いに勝てる。素手では、キツイ。ついでに鍬も欲しいと云えば上司に聞いてみますと言われた。畑作りには鍬がいる。


皆を見送り寝床の準備や気になる家具の配置を変えたら日が、傾き始めた。


夜は暗いし灯りは大事・疲れたからもう寝るかと思ったら娃鈴が、湯の入った桶を持って来た。


馳走した下働きが、釜に湯を沸かしてくれていた。ありがたくふたりで汗を拭き取りさっぱりして寝た。


娃鈴は乳母の娘で、わらわの乳姉妹。

寂しい冷宮生活もふたりなら生きていける。そう思いながら瞼を閉じた。


+++++++++


「戻りました。諒俊さま・貴姫さまからこれを賜りました」


蓋を開けると色とりどりの菓子にちまちきなどが、詰められていた。


「皆喜んだろう・量は足りたか?」


「種類も量も多く皆喜んで馳走になりました。貴姫さまには、保存食材も渡せ。諒俊さまの采配でしたか」


「いや…貴姫さまからのご注文で、銀粒ふたつと多かったが、保存食も渡せたか」

「銀粒ふたつ…阿久さまの耳に入らないよう致しましょう。あと鎌と掃除道具を所望され置いて参りました。あの方なら廃され儚く行く(自殺)事も無いでしょう。ドクダミを見つけ喜んでました。種を撒くとか…鍬も希望されましたが」


「お届けしてくれ。銀粒の話は、副厨房長とわたし達だけで内緒にな」


中級宦官長・阿久さまは、この旧地区(冷宮)を裏で支配し外の世界にも通じている。何も知らない貴姫などヒルに付かれたウサギの様に生き血を吸われるだろう。


下賜の話は、いつか阿久さまの耳に伝わるかも知れぬが、如何様にも誤魔化せよう。それよりも早くこちらの内情を伝えるべきかも知れぬ。


少し変わった貴姫が、来たものだ。癇癪持ちの金切り姫。揉め事の種にならぬと良いが、副厨房長・上等な素材を使っているな何時もの菓子より数段旨いぞ。


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案内宦官が、食事の礼にと荷をくくっていた荒縄縄と忠告をくれたので、枕元に中華鍋と荒縄を置いて疲れたのですぐ寝てしまった。


「ひめさま…」

囁き声の娃鈴に揺すられ目を覚ますと闇に紛れて何が、動いている。


娃鈴に耳を塞げと告げ。 ありったけの声を何かに向け張り上げる。重い何かが、ドサリと崩れ落ちる音が、2つする。


窓を開け月の明かりで部屋を照らし耳を押さえ倒れている何かの頭部を用意していた中華鍋を使いフルスイングでぶっ叩く。


娃鈴が、素早く明かりを付けると足元に中級宦官が、ふたり。手早く後ろ手に縛り雑巾で口を塞ぎついでに首と足首を繋ぎ強めの海老ぞりにして居の外に投げ捨てる。


気が付きそうになると金切り声で説教をお見舞い。結局夜通し不届き者達を見張り。


空が薄明くなった頃・外出札を持った娃鈴が、人を呼びに行く。


太陽が、昇り始めた暁紅時に警護人と見知った宦官達が、息を切らし走り込んで来る。遠くの居にウェルカム。


「なんと…」

案内宦官が、耳を押さえ言葉を失い 警護人は、笑いをこらえながら耳を塞ぎ・わらわを眺めてる。


箒で尻を叩き意識を戻す海老反り宦官の耳元に金切り声で説教を繰り返し気絶させるを繰り返すわらわを特製耳栓をしている娃鈴が、そっと押し留めるから終わりにした。


後日 新しい荒縄と褒美の屋根の修繕人を連れた。主宦官がやって来た。


あの海老ぞり達は、廃妃が来ると味見と忍び込んでいたららしい。

わらわ達が、終わったら従姉妹の居にも忍び込む予定を企てていた。


なかなかしっぽを出さず被害者も口をつぐむし何よりラスボスの取り巻きで厄介な相手だったが、現行犯では、逃れる事も出来ず即むち打ち50回の刑に

最低位に降格が、下された。


わらわの金切り声を長時間食らった後遺症で耳障りと難聴が、酷いらしいが、知らんがな。海老ぞり縛りもどうなのかと皺宦官が、言ったが、自業自得だと返したらまた皺が寄った。

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