第10話 トレアル国
クリスが旅の仲間になって、2人で居た時よりも騒がしくなった。
「マーヤさん!これ付けて見ませんか?」
クリスが赤色の髪留めをマヤに勧めて居る。
「絶対似合うと思うんですよね!」
「あ、ありがとう……」
「それと、このネックレスとかもどうですか?あと、この指輪と……ピアスなんかも付けて見てください!」
「あ、うん……」
クリスが倒れてた所から出発して、ずっとこの調子でマヤにアクセサリーや服を勧めてる、何でもマヤを追って居る時に似合いそうな物を見つけては買って居たらしい。
マヤがアクセサリーを大量に身に付けてる変な人みたいになってる。
そお言えばクリスは、マヤが魔族だと知って居るのだろうか、まぁこの感じだと知っても大丈夫だとは思うけど。
「クリス、マヤが魔族だと知ってるのか?」
「えぇ知ってるわ――私が魔族だと知って差別する様に見えるの?マヤさんは、マヤさんでしょ」
「クリス……」
世の中には魔族だと知って態度を急変させる様な奴も居るから、それなら良かった。
「……それで、私たちは何処へ向かってるの?」
「取り敢えず此処から近いトレアル国に行く。1人増えたからその分の補給が必要だからな」
トレアル国は中央国ヴェストリアに戦争で敗北して属国となった国、けどトレアルの王が国の統治を許されて居る珍しい国。
円形の形をして居て真ん中に王城がありそこから端に行く程身分も低くなり一番端まで行くとスラム街といい、仕事も持てない、身分も与えられない、奴隷以下の扱いを受けている。
国自体は豊かだが何故なのか分からない、特産物がある訳でもないし、人の往来も少ない。
「トレアルか、私あの国あまり好きじゃ無いのよね」
俺もあまり良い印象では無い。
トレアルの噂は何度か聞いた事がある、絶対王政の国で身分至上主義の国、身分や地位が高いと言うだけで下の者には何をやっても許されるという国。
俺も正直入国したくは無かったがトレアルに行かないと旅を続けるには難しくなるので行くだけ。
出来る事なら行きたくない。
「それに変な噂も耳にしたわ、何でもスラムの子供達が消えるらいしのよ」
「消えるの?」
「はい、昨日まで居た子供達が翌日何処にも居なかった、しかも一度に何人も。」
「人攫いかしら……」
子供達が攫われるとして目的は大体人身売買、だがヴェストリアは奴隷を禁止している、トレアルも属国にあるから噂が流れる程表立ってする事は無いと思うが。
トレアル国に向いながら、これから旅を共にするクリスがどれだけの強さなのか知っておきたかったから、手頃な魔獣を討伐してもらう事にした。
結果から言うと結構、腕は立つ。
俺の使ってる剣よりも、細身の剣を使っていて魔法もそれなりに扱える。
「どうよ、私の実力は!」
ローサーペントを三匹、討伐してドヤ顔してる。
魔獣は基本的に魔獣の持つ魔力量によって強さが変わる、多ければハイと名前に付き少なければローと付く、たまに特殊な個体も居てそう言う魔獣は、外見的特徴が名前になる、そして魔獣の魔力量は、体の大きさにも影響する。
ローサーペントは、それなりに大きい魔獣で成り立ての冒険者ではまず勝てないほど強い、そんな魔獣を無傷で倒せるんだから実力はあるんだろ。
「まぁいんじゃないか」
「なによ、いんじゃないかって――あんた、魔法使えるんでしょ、何使えるのよ」
言い方がちょっと気になるけど、文句言うと面倒くさそうだから流そ。
一緒に戦う時、お互いに何が出来るか知っておいた方がいいか……
「俺は、土と風と光も少し使える」
魔法には、種類があって火、水、土、風、光、闇の五種類あり、ほとんどの者たちは、五種類の魔法が使えるが適正があって適正でない魔法を使うと威力が全然出なかったり弱い魔法ですら大量の魔力を使うので、大抵使える魔法を誰かに言う時は適正の魔法を言う。
身体強化魔法は、魔力器官から魔力を身体中に流す事で出来るので、冒険者は扱えて当然と言われている。
「私は火と水を使うわ」
「私は全部よ!」
「流石マヤさん!!」
五種類とも適正な奴なんて勇者ぐらいしか聞いた事ない、
まあでもあの魔力量なら適正じゃ無くても魔力のゴリ押しでなんとか出来そうだからな。
正直マヤが居れば戦闘で苦労し無さそうではある。
そんな感じでトレアル国えと向かって行った。
トレアル国は円形に作られて居て周りがスラム街で覆われている、中央に向かうには北と南に2つ整備された道が作られて居て、国の兵士達が見張りをしている。まるで2つの道に近寄らせないかの様に。
「来るのは初めてだけど、ここまでとはね……」
これがこの国の在り方って事だろ。
どうしてヴェストリアは、この国に何もしないのだろうか、トレアルは属国で変えようと思えば変えられる筈だ、なのに何もしない。
ヴェストリアは豊かで良い国だど思う、だからこそ余計にトレアルには何かあると思ってしまう。
俺達がトレアルに入国しようと北側の街道に入ろうとする。
道の横に広がるスラム街、まともな家と呼べる物など所々にあるだけで後は瓦礫の山が広がっている、人もそれなりに見受けられる。
スラムの子供達がこちらに気付いたのか走って来る。
「ねぇ、お姉さん達は冒険者?」
「え、えぇそうだけど……」
黒髪の、マヤより少し背の低い男の子が話しかけて来て戸惑っているマヤ。
「お姉さん達にお願いしたい事があるんだけど……」
「何かかな?」
あまり深く関わらない方がいいと思うけど、そんな事言ったらマヤは、怒りそうだからそのままにしていよう。クリスもマヤのやる事なら全肯定するだろうし。
「このお金で食べ物買って来て欲しいんだけど……」
「お願い……」
そお言うと子供達がお金を手渡して来る。
「……良いよ! 買って来るからまってて!」
マヤがそお言うと子供達が笑顔で大喜びする。
スラムの子達は、まともに買い物すら出来ないのか――
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