第2話
春。入学の日。昨日制服がやってきてたから、これを着るだけ。荷物は魔法で亜空間にぶち込んでるから大丈夫。
「はぁ〜〜〜ーー…………めんどくさぁ…」
入学式やって…寮に入る手続き終わらせて…荷物直して……………もう面倒だし野宿じゃだめかな。でも屋根と壁あったほうがいい睡眠できるからいいか。先行投資ってやつか。
「じゃあ…まあ行ってきます」
だるい……
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2階から新入生が続々と体育館に入ってくる様子を眺める。順調に進んでいると思っていると、変なことが起きた。
なぜあの娘の周りだけ人がいない?すごく眠そうで、行事が面倒だと主張した雰囲気を持ち、髪はセットされておらず乱れている。全くもってダメ人間のような印象の娘だが、それら全てが彼女に似合っているように見える。おそらく、あの娘を引き立てるにはあれが1番だろうと感じる。
ダメ人間のようだが、見た目は最上級に良い。なのに、なぜ周りに誰もいない?
「どうした?副生徒会長殿?一点を見つめて……ああなるほど」
「わかるか?あの娘は誰だ?」
「あれは魔法馬鹿のお前でも知ってる、噂に名高いファーレン家の落ちこぼれだ」
なるほど、アレが噂の。
「聞いてたものとは随分違うな…」
「噂の一人歩きだろ。あれは表に滅多に出ないからな。最後に見たのも随分前だ」
「それほどなのか。それは独り歩きもする」
しかし、噂に聞くようなことをするとは思えないが…人は見た目によらないと言うやつか?
「しっかし、久しぶりに見たが、かなりの別嬪さんだな。こりゃ噂もどこまでほんとかわからんな」
使用人への不当な解雇だの、小動物への虐待だの、傍若無人、厚顔無恥、怠惰、だなんて聞いていたが、あれじゃ怠惰以外は信じられないな。
「まったく、今年の1年は面白いな。名家随一の嫌われ者、歴代最高と聞く勇者と聖女、さらには魔法の愛し子までいるんだ。話題には事欠かないなぁ!」
何を笑っているのだか…我々は生徒会なのだぞ?面倒ごとが真っ先に飛んでくるのだ。何事もないといいなだがな……
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学園長の話が長すぎて…ものすごく眠たい…
「———さて、新入生諸君。これから——」
うへぇ…まだ続くのぉ…?ねよぉ……
「……………さい、……て……さい、あの、おき…ください、あの!」
「うな………」
「起きてください…!移動始まってますからぁ…!」
「うー……ん、だれ?」
目を擦りながら周りを確認すると、目の前に涙目の女の子が居た。
起こしてくれたのか。いい子だ。
「わたしはリアムです…じゃないんです…!もうみなさん移動してますからぁ…!」
「そっかぁ……………」
移動してるのかぁ。
「はい…………じゃ、ないんです…!行きますよ!」
ついに、腕を無理やり引っ張って連れて行くことにしたようだ。がんばえ〜。
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