第2話

!!!


「ゆ、結衣お姉さん…久しぶりだね…。」


込み上げてくる涙を堪えながらなんとか一言、喉の奥から絞り出した。


「ん?お姉さんとまー君は昨日も会ったばっかりだよ?」


僕のバカ!何が久しぶりだよ…。


「ま、いいや。早く起きないと、君のお母さんがカンカンだぞ〜。」


「う、うん。」


僕はひとまずリビングに向かって朝ごはんを食べることにした。


カレンダーを見る。なるほどしっかり5年前だ。


「あんまりいいものは無いけど、結衣ちゃんもご朝ご飯食べてく?」


「え!?良いんですか?じゃあお言葉に甘えて…。」


結衣お姉さんとご飯!?!?


堪えてた涙が溢れてきた。


「マサト?どうしたのお姉ちゃんの前で…。」


お姉さんの前だから泣いてるんだよ。もう会えないと思ってたのに…。


そんな自分の頭にふと、ある考えがよぎる。

(これは夢なんじゃないのか。)


確かにその通りだ。あまりに都合がよすぎるし第一こんな事はありえない。


僕は自分の頬をつねったりした。確かに痛い。でもまだ確証が持てない。


すると結衣お姉さんは

「ちょっとまー君とお話してきますね。」

そう言って僕の部屋に僕を連れていった。


「お姉さん、まー君に何があったか分からないけど、とっても心配なの。」


心配されてしまった…。ごめんなさい。


「良かったら、お姉さんに何があったか話して欲しいな。…もちろん、嫌だったら全然言わなくてもいいからね。」


あぁどうしよう。どうせ夢なんだし無茶苦茶言ってもっと困らせてしまおうか。


「結衣お姉さんがいなくなっちゃう夢を見たんだ。」


お姉さんの表情が変わった。その直後、お姉さんは僕に抱きついてきた。


「それで泣いちゃってたの?お姉さんの為に?」


あぁ、いい匂いがする。とっても身体が柔らかい。


疑うまでもなく、これは現実なんだと気付いた。


第2話 [完]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る