第21話 物作り

 変化させられるのは形状だけでなく、大きさ、重さも変化可能だ。

 重く、軽く、大きく、小さく、僕のイメージ通りの変化をしてくれる。

 さらにだ、なんと剣と槍、この二つを融合させる事も出来た。

 生み出した剣と槍、持参していた物剣と槍、これらを全て融合させ、手頃な重さにし、棒状に変化させたものがこちら。

 僕の前に転がっている棒だ。

 見た感じでは旅人が使う杖そのもの。

 けれど剣三本、槍二本分の鉄が詰まっている分、高密度でとても硬く仕上がっている。

 並の剣ならば、この棒で枯れ木のように叩き折れるのではないだろうか。

 試そうとは思わないけれど。

 重量を通常に戻すと、それなりに力のある方の僕が持ってもかなり重い。

 これを旅のお供として、杖代わりに持ち歩けばいいんじゃないかと思う。

 使わない時はブレスレット状にするなり、ボールのように球状にするなりすればいい。

 もし不測の事態が起きても、形状変化で槍にも剣にも斧にも、何にでも変えられるのだから、こんなに便利な棒はない。

 素晴らしきかな鉱石魔法。

 だがしかし、これだけでは無い。


「メタルスパイク」


 掌をかざし、唱える。

すると僕の言葉と共に、掌の前に魔法陣が現れ、そして床から無数の金属製の棘が生えた。

地の魔法の中に、地面を棘状に隆起させるガイアスパイクというものがある。

名前も僕と似てるし、真似出来るかもしれないと思ってやったら出来た。

他にも色々出来る事が増えた。

 

「メタルミニゴーレム」


 先程とは違い、床に魔法陣が発生、その中心から掌サイズの小さな人形が現れた。

 小さな人形が僕に向けて小さく手を振っている。

 か……可愛い。

 目や鼻、指なんかは無く、ただの土人形を金属に置き換えただけの簡易的なゴーレムだが、意識を集中させることにより、ゴーレムが見ている視界を共有することが出来た。

 これは凄い! と思いつつも使用用途は思い付かないので保留だ。

 僕はゴーレムを消し、次の魔法を発動させる。


「メタルケージ」


 次に現れたのは大型犬がすっぽり入りそうな大きさの、四角形の檻。

 

「メタルウォール」


 金属製の壁、硬くて分厚い、熱にも衝撃にも強そうでとても頼もしい存在感。

 室内なので一メートルくらいの高さだが、金属の光沢がいい味を出している。


「メタルキャノン」


 小型の大砲、車輪付き、球も発射できるお手軽兵器。

 球には爆薬も、爆発魔法も込められてないのでただの金属球が飛んでいくだけ。

 鉱石の中には摩擦や衝撃で燃える物もあるので、それを組み込めば燃焼弾くらいにはなりそう。

 

「スパイクボール」


 ただの棘付きの金属球、当たると痛そう、頭蓋骨くらいなら軽く粉砕出来そう。

 キャノンと合わせたらヤバそう。語彙力。


「メタルウィップ」


 軟性を持たせた金属製の鞭、ただそれだけ、用途不明だがロープ代わりになりそうな気がする。

 

「メタルストリング」


 メタルウィップをただ限界まで細くし、糸状にしたもの。

 これを釣り糸にすれば、絶対に切れない釣り糸の爆誕、どんな大物もドンと来い状態。

 ただし僕は釣りの経験は無い。

 物縛る時便利かもしれない。


「メタルネット」


 メタルストリングを網状にした物、用途不明。

 あると便利そうなので作ってみただけのもよう。


「ふう、こんなもんかな」

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