5. あの日の僕ら 71~75
-71 拒絶と屈辱-
佳代子の言葉を聞いて隆彦は思わず困惑した。前妻との時、両親の反対を押し切って半ば強引に結婚したからだ。その時から隆彦はずっと両親と仲違いをしたままでいた。
正直な事を言うと、文香が生まれた事や前妻が無くなった事を伝える事が出来ていないのに子供が出来たから再婚するなんてどう説明すればいいのだろうか。
隆彦が頭を悩ませていたまま数か月が経過し、香奈子が生まれた。
信三「やったな、羨ましいよ。」
信三は友人に娘が生まれた事を自分の事の様に喜んでいた。
信三「私も何度か頑張ったが全然でな。」
結婚してから数年間、妻と幾度も幾度も夜を過ごしてはいたのだが夫婦には全く子供が出来ないでいた。
隆彦「実はこの子の事もそうなんだが、文香の事も親に言えてないんだ。」
隆彦の事情を知る信三は、隆彦の右頬に残る大きな古傷を眺めながら聞いた。
信三「じゃあ、あれから親父さんと話せていないんだな。」
隆彦「ああ、お袋ともだ。」
隆彦は高校3年生の頃、ひったくりから女性を助けたという事で警察から感謝状を貰っていた、両親から褒められると鼻歌交じりで家に帰った隆彦に待っていたのはまさかの説教だった。
父(隆彦)「そんな大きな傷を付けて、願書の写真はどうするつもりだ。このクソガキめ!!」
母(隆彦)「母さんはそんなやんちゃな子に産んだ覚えは無いよ、どんだけ親不孝者なんだい!!」
勿論、こんな傷痕を望んで付けた訳では無い。ひったくり犯との争いの時、切りかかって来た犯人の包丁が深く刺さってしまったのだ。
決して良い物とは思えない思い出で体を震わせていた隆彦、あの時両親に浴びせられた罵声を二度と耳にしたくなかった。勿論娘達にも決して発する者かと硬く決意していた。
父親(隆彦)「私には分かるんだぞ、どうせお前の方から殴りかかったんだろ!!」
違う、決してそんな事は無い。隆彦は犯人の右腕を掴んで持ち帰ろうとしたカバンを手から離させただけだった。
母親(隆彦)「私ゃ恥ずかしくて仕方が無いよ、早く目の前から消えとくれ。」
次の日、家を出た隆彦は友人の家を転々とした後、前妻と出逢い今に至るのだった。
信三は辛そうにしている目の前の友人を自分の方に抱き寄せ、優しく語り掛けた。
信三「お前は決して悪くはない、むしろよくやったと言って良い。少なくとも俺はお前の事を誇りに思っているからな。」
隆彦「そう言ってくれるのはお前だけだ、ありがとう。」
一方、佳代子も親への説明に苦戦していた。
母親(佳代子)「子供が出来たから結婚するですって?!何馬鹿な事を言っているの、普通は逆だと思わないの?相手はどんな男だって?!」
佳代子「コンビニのオーナーさんなんだけど・・・。」
母親(佳代子)「そんなのすぐに潰れるに決まっているじゃないか、そんな男とはすぐに別れちまいな!!」
父親(佳代子)「母さん、言い過ぎだよ。」
佳代子「そうよ、母さんに隆彦さんの何が分かるって言うのよ!!」
母親(佳代子)「何よ、あんた達私に盾つこうっての?!」
佳代子は涙を流しながら家を出て行った。思わず涙が溢れた、我慢なんで出来る訳が無かった。1度でも自分が愛し、そして自分の事を愛してくれた人を馬鹿にした母親の事が本当に許せなかった。今まで生きて来た中でこんなに切なくて辛くなったのは初めてだった。
佳代子は偶然通りかかったタクシーに飛び乗ると隆彦の店へと急行した。
佳代子「吉馬さん!!私、親と縁を切るわ!!それと今日からここに置いて頂戴!!」
隆彦「倉下さん、まずは落ち着きましょう。まだ居住スペースが完成していないんです。」
佳代子「待って、「まだ」な事もう1つあるわよね。」
信三「隆彦、家が出来ていない間、生まれたばかりの香奈子ちゃんはどうするんだ。」
-72 不利過ぎる契約-
隆彦は熟考していた、居住スペースが完成すれば今住んでいる部屋を解約して文香と2人で住もうと。しかし、まさか4人暮らしになるとは思わなかった。
工場で働いていた当時は住んでいる部屋の家賃を払っていると生活費が殆ど無く、文香におもちゃの1つも買ってあげる事が全く出来なかった状態だった。窓の外を見てずっと1人で遊ぶ文香を見て不憫に思っていたのだが、コンビニのオーナー経営者として働き、居住スペースが出来上がると少しは楽になると思っていた。
佳代子は苦労していた、妊娠している為今は無理な話だが、実は工場での給料だけでは全くもって食べてはいけなかったので近くの居酒屋でのアルバイトを掛け持ちしていた。
信三は2人が生きるか死ぬかを彷徨っていた事に本人達よりも早く気づいていた、それが故に2人の負担を少しでも浮かせることが出来たらと思っていた。
信三「隆彦、ちょっと提案があるんだが。」
流石に今の2人の稼ぎでは子供2人を育てるのは無理な話だろうと考えた信三らしい提案だった。
信三「香奈子ちゃんを成人するまで私が自分の娘として育てるってのはどうだろうか。」
この提案は佳代子にとって少し辛くなる話になるだろうが最善策と思っていた、それに信三は妻との間に子供がどうしても欲しかったのでこの表現はあまり良くない気がするが一石二鳥と言えよう。
佳代子「ねぇ・・・、たまには会っても良いの?」
信三「止めておいた方が良いだろう、今は赤ん坊だから大丈夫でも成長した香奈子ちゃんが困惑するはずだ。」
隆彦「一生・・・、会えないという事なのか?」
信三「名乗らなければ、会っても良いとは思うがやはり本人を困惑させない為にも会わない方が良いかも知れないな。」
隆彦「信三・・・、お前。そんな悲しい事、よく平気で言えるな。」
信三「成人してから会えばいい話だ、長い様で意外と短いぞ。それと養育費の為に私が受け取る店の利益の比率を少し上げさせて貰うぞ。」
隆彦「待て!!金の問題じゃないだろう!!」
佳代子「ねぇ、少し2人で考えてもいいかしら?」
信三「分かった、簡単な物だが契約書を作成しながら待っていよう。」
信三はコピー機からA4用紙を取り出して慣れたような手つきで契約書の様な物を描き始めた、その横で再婚を許されない2人はじっくりと考えていた。
隆彦「うん・・・、それで行こう。」
隆彦は契約書を書き終えた信三に1つ提案した。
隆彦「俺も契約書に1つ書き加えても良いだろうか。」
信三「勿論だ、友の頼みは可能な限り叶えようと思っているからな。」
隆彦は信三が書き終えたという契約書に項目を1つ書き加えた。
契約書
甲と乙は生まれたばかりの香奈子について下記の契約を交わすものとする。
一、 甲が受け取る店の利益の比率は65パーセントとする。
二、 乙は甲が香奈子を成人まで養育するまで香奈子本人と決して会ってはいけない。
三、 乙は甲の行う養育に決して意見してはいけない。
四、 乙は成人後の香奈子に会ったとしても父親と決して名乗ってはいけない。
甲 山板信三
乙 吉馬隆彦
隆彦「待て、一生名乗ってはいけないなんて、他人のフリをしろだなんて酷じゃないか?」
信三「それが本人の為だと言っているだろうが。」
意外にも信三は冷静に対処していた。
信三「それで?書き加える項目とは何だ。」
隆彦「そうだったな、今書き加えるよ。」
信三「ああ・・・、どんな事でも構わないからな。」
隆彦はペンを取った。
-73 余りにも残酷な項目-
隆彦はペンを握る手を震わせながら契約書に追加項目を書き加えた、あくまでも自分が香奈子の父親だと主張するための物だった。
五、 甲は定期的に乙に香奈子の成長を記録した手紙を送らなければならない。
六、 甲は上記の手紙に必ず香奈子の成長した姿を記録した写真を添付しなければならない。
信三「お・・・、おい。追加項目が2つになっているぞ。」
隆彦「親として娘の成長を見守りたいと思うのは当然だろ、これじゃ足りない位だ。」
当然の事だ、隆彦があまりにも真剣な目をしていたので信三は少したじろいでしまった。
信三「分かった、約束しよう。お前が言っている事は間違っていないからな。」
しかしこの契約が交わされてから数年後、隆彦が書き加えた項目だけ守られなくなった。香奈子に関するイベントの度に写した写真を焼き増しして何処かへと送っている事を怪しんだ妻が無理矢理旦那を止めたからであった、実は信三は契約の詳細を妻に上手く話せてはいなかった。
理由はもう1つあった、香奈子を預かってから数年後、2人の間に男の子が生まれた。夫婦は実の子であるその子ばかりを可愛がり、香奈子の事を蔑ろにしてしまっていた。金銭面での援助は変わらず続けていたし中学高校時代によくある進路相談には乗る様にしていたのだが、やはり香奈子は何処か寂しさを覚えていた様だ。その事が香奈子の脳内に焼き付けられていたらしく、ずっと無視され続けていたという悲しい思い出が植え付けられていた様だ。
そして現在に至る、長々と昔の話をした様子から隆彦が嘘をついている様には見えなかったので裕孝は信用する事にした。しかし、納得できなかった点があった。
裕孝「店長さん・・・、いや吉馬さん・・・、いや親父さん!!悪かった、あんたの事は信用できる!!でも納得させて欲しい、契約書があったからってどうして香奈子を助けに行かなかったんだ!!」
隆彦「行きたかった、でも行けなかったんだ!!契約を交わした時、隣には専属の弁護士がいた上に信三の家には多数の警備員がいたんだぞ。そりゃ何度か警備をくぐり抜けて山板邸に忍び込んだ事はあったがその度に信三が家を引っ越していたから最終的には行方不明になってしまったんだ。」
裕孝「そう・・・、だったのか・・・。」
隆彦は常に懐に入れていた例の契約書を取り出して裕孝に見せた、裕孝は食い入る様に契約書を読み込んだ。
裕孝「なぁ、香奈子はもう成人したというのにどうしてさっき母ちゃんが言った様にあんたは香奈子と会ったらいけない事になっているんだよ。」
隆彦「ある日、山板邸に忍び込んだ時に再契約を交わさせられたんだ。」
隆彦はもう1枚の契約書を取り出した。
七、 乙の妻は許されるが乙は一生香奈子と会ってはいけない、会おうとしてもいけない。
裕孝「ふざけてる・・・、それで今信三って人はどこにいるんだ?」
隆彦「北海道の別荘にいるって聞いたよ、香奈子がこんな事になっているというのに呆れた奴だ。」
香奈子「でも・・・、私のお父さんは目の前にいるから・・・。」
隆彦「香奈子・・・。」
香奈子は見舞いに来てくれた事を心から喜びながら辺りを見廻して隆彦に尋ねた、隆彦の懐には香奈子へのお見舞いの品が入った物とは別に紙袋がもう1つ置いてあった。
香奈子「お父さん、それって・・・。」
隆彦「これか、良かったら一緒に来てくれ。こうなってしまった以上、こうするのが最善策だろう。それに・・・、いつまで会えるか俺にも分からないからな。」
意味深な言葉を残した後に光江から許可を得た隆彦は香奈子と裕孝を連れてエレベーターに乗り込み、病棟の上の階層へと向かった。エレベーターの目の前にある出入口の自動ドアには「無菌室入り口」と書いてあった。
隆彦「ここに佳代子・・・、いや香奈子のお母さんがいるんだ。」
3人は事務所にいる看護師の指導通りに手渡された衣服へと着替えると奥にある病室へと向かった、やたらと生活感に溢れている病室で佳代子は寂しそうにテレビを見ていた。
佳代子「いらっしゃい、その子達は・・・。まさか・・・、違うよね??」
-74 母親が駆り立てた娘-
佳代子は久々に会う娘の姿に涙した、まさか大学生になった香奈子の姿を見えるなんて夢にまで見た事だったからだ。
病院から渡された衣服で全体が上手く見えなかった母親は、娘に近付く様に促した。
佳代子「顔をよく見せて・・・。」
無菌室の為、マスクを外す訳にはいかなかったのでギリギリ見えていたのが両目だけだったが佳代子は嬉しそうにしていた。
涙を流しそうになるも佳代子は至って冷静であった。
佳代子「ねぇ、私は良いとしても貴方は香奈子に会っちゃいけなかったんじゃないの?それに両親だって名乗って良かった訳?」
隆彦は佳代子に、今回香奈子が遭遇した爆破事件について話した。
佳代子「嘘でしょ、あんた大丈夫だったの?!」
香奈子「入院したばかりの時、一時(いっとき)記憶喪失になってたみたいなんだけど今は平気だよ。」
佳代子「そう・・・、あんたが助け出されて本当に嬉しいよ。」
安堵する佳代子の表情を確認すると、隆彦は話し出した。
隆彦「こんな事態になったんだ、契約もクソもあるか。それに・・・。」
佳代子「それに?」
隆彦は懐から例の契約書を取り出して破り捨てた。
隆彦「もう・・・、良いんだ・・・。」
山板家の専属弁護士が夫婦の契約違反と香奈子に対する不当な対応を認めた為、契約の破棄が許諾されたのだった。
隆彦「香奈子、もうお前を無視する人間はいない。安心して帰って来なさい。」
香奈子「お父さん・・・、お母さん・・・。」
香奈子は吉馬夫婦に、いや本当の両親に抱かれながら泣き崩れた。
帰り際、香奈子は佳代子に1つ聞きたい事があった。
香奈子「お母さん、また来ても良いかな?」
佳代子「勿論、いつでも大歓迎よ。」
それから数分後、帰りのエレベーターで隆彦が重い口を開いて語りだした。
隆彦「今のうちに香奈子を母さんに会わせることが出来て良かったよ、母さんは数か月前に急性の白血病を患って今の様になったんだ。本人には言ってないんだが、医者の方からもって半年と言われていてね、いつ何が起きてもおかしくないんだよ。」
改めて父親から聞いた事実に涙ぐむ香奈子、折角の想いで、そしてやっとの想いで出逢えたというのに、それは香奈子でなくても辛すぎるものであった。
裕孝「今は優しく見守ろう、俺達にはそれしか出来ないんじゃないかな。」
裕孝は香奈子を優しく抱いて囁いた。
香奈子「裕孝・・・。」
裕孝「元気な姿を見せる為に、香奈子も元気にならないとね。」
香奈子「うん・・・。」
裕孝の言葉に治療への強い意志を見せた香奈子、その意志はどうやら後で検温に来た光江にも伝わった様だ。
その日の夜から強い体を作ると決めた香奈子はしっかりと病院食を食べる様にしていた。
香奈子「あのお義母さん・・・、お代わりありますか?」
光江「お代わりですって?!そんな言葉この病院で聞くと思わなかったよ、初めての事だから調理場に聞いてみるわ。」
光江が院内のPHSで調理場に連絡を入れると、白飯が有り余っていたのかお櫃に入れた状態で特別にお代わりが支給された。お櫃の蓋を開けた香奈子は勢いよく食らいついた。
次の日から退院日までの間、香奈子の白飯は大盛りになっていたという。
-75 突然の宣言-
数日後、医者の許可が下りたので退院日が早まった香奈子が長い間過ごした病室で1人家に帰る準備を行っていると、担当の看護師だった光江が見守りに入って来た。
光江「本当に退院日が早まったんだね、今朝もそうだけど毎日の様にお櫃のご飯を食べまくっていたらそうなるわ。調理場の人達も残飯の処理に困っていたから助かるって言ってたよ。」
香奈子「お義母さんにも調理場の方々にも本当にお世話になりました、また通院した時にお会いするかもしれないのでその時はよろしくお願いします。」
2人が明るい雰囲気で会話をしていると車で迎えに来た隆彦が病室に入って来た。
隆彦「先にお母さんの所に行こうと思うんだけど、お前はどうする?」
香奈子「勿論行く、それとお父さん、後でお願いがあるんだけど。」
隆彦「俺に出来る事なら、何でも構わないよ。」
2人は佳代子が過ごしている無菌室へと向かった、受付で渡される衣服に着替えるのも慣れっこになっていた。
佳代子「いらっしゃい、今日退院するんだってね。羨ましいよ。」
香奈子「お櫃のご飯が食べれなくなるのは寂しいけど、まぁ嬉しいかな。」
佳代子「そうらしいね、あんたを担当していた光江から聞いたよ。」
佳代子と光江は高校時代の同級生で、仕事を終えた光江がよく佳代子の様子を見に無菌室を訪れていた。昨日の訪問時に光江から香奈子の食事に、いや爆発的な食欲について聞いた佳代子は大爆笑していたという。
無菌室で数分程過ごした後、自らの病室から荷物を運び出してエレベーターを降りた香奈子は隆彦に声をかけた。
香奈子「お父さん、行きたいところがあるんだけど。」
隆彦「さっきの「お願い」ってやつか、どうした?」
香奈子「松龍に行きたいんだけど、いいかな?」
隆彦「丁度ランチの時間帯だから行こうか、そろそろ昼休みだと思うから文香に連絡を入れてみるよ。それにしても病み上がりで中華なんか入るのか?」
香奈子「余裕だよ、入院中どれだけ食べたと思ってんの?」
隆彦は病室で食事中だった時の香奈子の卓上のお櫃の大きさを思い出した、入院中で酒が呑めない分ご飯を馬鹿食いしていたので十分納得した。これは先程光江に聞いた事なのだが、昨日の夕飯時に至っては茶碗を使わずお櫃から直接、しかも杓文字で食べていたらしい。
香奈子「でもさ、目的はランチだけじゃないんだ。」
隆彦「ふーん・・・。」
一先ず隆彦が文香に連絡を入れると、偶然近くにいると言っていた文香とは現地で待ち合わせる事になったそうだ。先に店で席を取っておいてくれるとも言っていた。
文香(電話)「お父さん、先輩もいるんだけど。一緒に行って良い?」
隆彦「勿論構わないよ、香奈子も良いよな?」
香奈子「うん、良いよ。」
それから暫くして、隆彦が車をニューハマタニの前に駐車すると香奈子は松龍まで走って行った。
隆彦「そんなに腹が減っているのか?思ったより並んでないから大丈夫だよ。」
香奈子「何言ってんの?さっき目的はランチだけじゃないって言ったじゃん。」
香奈子の声が聞こえたのか、店の入り口で好美が2人を出迎えた。
好美「香奈子!!退院できたんだ!!思ったより早かったじゃん!!」
香奈子「病院食を馬鹿食いしてたら退院出来ちゃった。」
好美「何それ、初めて聞いたよ。」
隆彦「えっと・・・、店員さん。連れが先に来ていると思うのですが。」
香奈子「何言ってんの、お父さん?この子、従姉の好美じゃん。」
突然の発言に驚きを隠せない好美、今までただの友人だと思っていた香奈子と自分が従姉妹同士だったとは思いもしなかった。ただ、先に到着して席を取っていた文香と美恵も好美と同様に驚いていたので香奈子はチラシの裏に簡単な家系図を書いた。
徳島にいる好美の父である操、香奈子の母で入院中の佳代子、そして刑事の美恵が実の兄妹なのだが好美と美恵は香奈子との関係以上に佳代子が入院している事に驚いていた。
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