第2話 「同居」


『 お主の体をよこせ 』




「・・・ん?・・・・・・はぁ!??」


『我は力を取り戻し奴らと戦うため

ここから出ることにした。

その為にお主を我が魂の依り代にして

外へ出る。』

「だからって、なんで俺なんだよ!」

「さっきのデカいやつでいいだろ!」

急な言葉に怒る蓮

『オウルは我の配下。依り代になど出来ん。』

『本来であればお主はさっき死んでいた。

少し長く生かしてあげたのだもう良いだろう。』

蓮は少し前に落下の衝撃で足をけがしたことを思い出す。

「それはお前が勝手にやったんだろ!

しかも、俺は血を飲ませてやったんだぞ」

蓮も負けじと対抗する

『飢えていたが、あれは不味かった。』

それを聞いて紅龍に飛びかかる蓮


【ロック】

紅龍がそう言った時、蓮の体は動かなくなった。

『我が依り代を傷付ける訳にはいかぬ』

紅龍の魔法で指先1つ動かせない蓮

「俺には妹がいる!妹には良い生活してもらいたいんだ、だからやめてくれ!!」

『我には関係ない!』

そう言うと紅龍トカゲは宙に浮いたまま何かを唱えた

するとトカゲは地面に落ち

光る玉だけが宙に残った。

トカゲはピクリとも動かない。

俺もこうなる

そう思った蓮だが、なすすべがなかった

『その体貰い受ける』

紅龍はそう言い、

光る玉は蓮の胸に入っていった。

「うわぁあ゛ヤメろぉおお゛・・・・・・」











〚うむ。弱い体だな。まずは力をつけなければ〛

「ヤメろぉおーー」

〚ん?〛

「あれ体が動く!?どこ行きやがったあの光!」

〚は?〛

「頼む依り代は俺以外にしてくれ!!

俺にはやることがあるんだ!!!」

〚いや、その、、〛

「おい!どこに隠れた!

頼むから出てきて話を聞いてくれ!!」

〚いや、、なんで自我あるんじゃーーーい!〛

紅龍の大声が

洞窟内……というか俺の頭に

ズキズキと響いてる感覚

「おまえどこにいるんだ!!」

紅龍の大声のあと蓮も更に大声を出した

そして、

〚お主の中におるわぁいい〛

蓮より更に大声で紅龍が答える。


「もう、俺の中に入ったのか?」

驚きつつ聞く蓮

〚入っとるわ〛

同じく驚きながら答える紅龍

「お前の魂入ったら、

俺の意識は無くなると思ってた」

蓮は少し安心したように言う

〚いや、違う魂が入れば元々ある魂は消える〛

「じゃなんで、俺の意識はあるんだ!?」

〚分からぬ…〛

そう言い、少し間をおいてから紅龍が話す


〚考えられることは、

我はさっきまで餓死寸前。

そこでお主の血を腹いっぱい飲んだから

我の魂はお主に近しいものになり

1つの体に魂2つが入ったと思う〛

状況がよくわからない蓮。

「俺の血を紅龍が飲み、

俺の魂と同じ位になって

別々の魂じゃなくなったから

1つの体に魂が2つ入れた!?」

〚ハッキリとは分からぬが、

考えられることはそれしか無い。〛

〚ただ1つ分かることがある

この体を動かせるのはお前だけのようだ。〛

〚我はさっきからこの体を動かそうとしてるが

動かせない〛

と言う紅龍。

蓮は自分で体を動かしてみるが、

特に変わった所は無い。


〚お主魔法は使えるか?〛

その質問に蓮は、

「俺は近接系だしランクも低いから

魔法は使えない」と答える。

〚手を前に出してみろ〛

言われたままに手を出す

すると脳に直接魔法が浮かび、唱える

火球かきゅう

すると魔法の使えない蓮の手から

火の玉が出て壁にぶつかった。

「え、出た…」

驚く蓮

〚体は動かせないが我が魔力と魔法は使えるようだな〛

紅龍がそう言い


2人は少し間が空いた。





「お前」

〚お主〛

同時に喋りだす。

すると蓮は少し笑った。

「同じ体に入ってるから

お前の考える事は俺にも分かる」

と蓮が言うと

〚我も同様にお主の考えがわかる〛

と紅龍が返す。

じゃぁお互いの考えが同じだから

とりあえずここから出るか。


この時の蓮は

「妹の生活の為ハンターとしてお金を稼ぎたいが、

自分が弱いのでいつ妹を残して死んでしまうかと悩んでいた。

そしてさっきのように魔法が使えれば死ぬ可能性は低くなり、

更にランクを上げ高ランクの報酬のいいダンジョンへ行けるかも」と思っていた。


そして紅龍は

〚奴らと戦うためには、

自分の力を取り戻すには、ここのようなダンジョンを回るしか無い。

その為にはこのままこの人間についていたほうが

見つかる可能性が高くなる〛と思っていた。


そして歩き出す2人

するとそこへオウルが走ってきた。

刀を振りかざしながら蓮を襲う

蓮は手をオウルに向け

【ロック】

と唱えた。

さっき自分が受けた時のように

オウルは動かなくなった。

〚我のことを忘れたのか〛

そう紅龍が俺の心の中言うと

オウルは不思議そうな顔をした。

〚解いて良いぞ〛

紅龍に言われ心配しながらロックを解く蓮

するとオウルは蓮に近づき

片膝を付つて頭を下げた。

どうやら俺の中に紅龍がいることがわかったようだ。


すると蓮はあることに気付く

「ここはブラックダンジョンだから

ボスを倒さないと出口が出ない、

そしてここは紅龍とオウルを除いてモンスターがいない。

紅龍は俺の中だからここのボスは…」

と言いながらオウルを見る

〚まてオウルを倒す気か?〛

そう言う紅龍にそうしないと出れないと言う

〚手を出せ〛

紅龍に言われるがまま蓮は手を出すそして

【戻れ】

頭の中に出た言葉を唱えると

オウルは蓮の中へ吸い込まれていった。

〚我の配下になった者はいつでも

我の中に戻し、出すことができる。〛

召喚士のようなものかなと蓮は考えると

少し先に出口のようなものが出てきた。


「よし!!」

そう言い出口に向かう蓮

その間少し気になっていたことを紅龍に聞いた

「お前力がバラバラに散っていったんだろ?

なんで見るからに強いオウルを配下にできたんだ?」

その質問に対し紅龍はこう答えた

〚我は龍王と言われていた者だぞ

力が少なくなっても強いわい〛

それを聞き笑う蓮

「なんか話し方変わったよな

最初の頃はザ・龍王みたいな重い感じだったのに、

性格も変わってないか?」

それを聞き紅龍は笑いながら

〚わからんがこんな気分になったのは

初めてじゃい!〛

2人で笑い合う。


ここで蓮が

「紅龍…言いにくいな、龍王…長いな

なぁ、お前のことなんて呼べばいい?」

〚勝手にしろい。我はお主のこと

蓮と呼ぶ〛

「じゃぁ、俺は〜」

少し考える蓮

「俺と同じ2文字にしよう!

お前の名前はドラゴンのドラ!」

〚単純なやつじゃな〜

もっとしっかり考えんか〛

そうドラは言っているが、

俺とドラは1つになっているので、

嬉しい気持ちが俺にも伝わる


「ドラの魂が入ってきて俺の魂が無くならなかった時の、

あのドラの驚きようは面白かったなあ!」

蓮が少しおちょくると

〚もうそんな事は忘れたわい!〛

ドラは照れながら言った

そして出口に着き、そこへ入ると

ダンジョンに入ってきた場所に出れた


が、


俺を取り囲むように大勢の人が居た。

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俺とドラゴンの同居生活〜出会ったトカゲはまさかの龍王〜 天野双時 @naratoki

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