俺とドラゴンの同居生活〜出会ったトカゲはまさかの龍王〜

天野双時

第1話 「出会い」

プロローグ



ここは日本

剣士・魔法使い・ヒーラー・タンク・アサシンなど

全人口の3割が、多種多様な能力を持って生まれる。

そして突如として出現する赤く丸い門

そこへ入ると洞窟、森林地帯、砂漠など

数々のダンジョンがあり、

そこにいるモンスターと戦うのがハンター。

ダンジョン出現から72時間以内に

中にいるボスを倒さなければ

ダンジョンからモンスターが地上に出てきてしまう。

そんな時代を必死で生きる低ランクハンターがいた。







第1話 「出会い」


「ハァ、ハァ、ハァ」

ダンジョン内の洞窟、そこに

服が裂け傷だらけの男がいた。

彼は天野蓮あまのれん(20歳)

ハンターとして活動しているが、

ランクはD級

この世界のハンターは強いものから

S.A.B.C.D級に分かれている。

ダンジョンも同じ階級に分かれ

そんな蓮のD級は一般人より少し強い程度。

自分以上の階級ダンジョンには入れない為、

いつもD級ダンジョンに入っている。

D級ダンジョンとはいえ、そこに入るための

水準はB級3名D級7名だ

D級ハンター10名で入ると

全滅する可能性がかなり高い。


蓮は今日もダンジョンから

いつも通り、傷だらけで帰ってきていた。

それでもハンターを続ける理由は、

両親のいない妹を学校に行かせるため。

ダンジョン内で手に入るモンスターの素材と

鉱石を売って生活していた。

ダンジョンで入手した物は

パーティーで分けられるが、

D級の中でも下の方の蓮は取り分がかなり少ない。

それでも普通に働くよりかは収入が良いので

命がけでハンターを続けていた。


そんな中、彼はいつものように

ダンジョンへ入ると

そこには見たこともない

モンスターが居た。

世界で年1〜2回ブラックダンジョンと呼ばれるものがある。

ブラックダンジョンはS級ダンジョン難易度。

ただ、ほかのダンジョンと違う部分は

1度入ったらボスを倒すまで出れない

ボスを倒せず、3日経ってもモンスターが地上に出ることはなく、攻略したときと同じように消える。

ただ、ダンジョンに入る前の魔力測定では分からない為、

D級と測定され入ってしまう事がある。

まさにコレがそうだ。


蓮のパーティーはブラックダンジョンに

入ってしまった。

眼の前には見たこともないモンスター。

体は赤く人型。オーガに似ているが

10mの巨大な怪物

恐ろしい魔力、右手に巨大な刀、

呼吸をするのも忘れ

ただ立ち尽くすしか無かった。

『逃げろ!!』

今回のパーティーリーダーがそう叫ぶと

みんな一目散に後ろへ逃げた

だが、蓮は動けない。。

すると目の前にいた怪物は

後方へ逃げたハンターを追いかけた

踏み潰そうな足で蓮を越え

大きな体では想像もできない速さで追う。


『うわ゛ぁぁあああ゛』

後ろから悲鳴が聞こえ我に返った蓮

後ろを振り返らず走る

次々と叫び声が聞こえるが

ただただ走る。

その後、声が聞こえなくなった。

次は俺……

恐怖が一段と大きくなり

涙を流しながら走る。

すると、急に地面が消えた。

落ちている。

がむしゃらに走っていたので

道が途切れていることに気が付かなかった。

次に地面に足がついた瞬間

蓮の両足の感覚はなくなった。

自分の体とは思えぬ方向に曲がった足。

水たまりになっている血。

痛みはない。意識が遠くなる。

自身の死を覚悟した。


その時、左手に何か感触があった

冷たいものが手の甲を動いている

蓮は力を振り絞り左手に視線を向けると

そこにはトカゲが居た。

手のひらの半分の大きさ

体は赤く、動くたび小さい爪で

チクチクとした。

そして、蓮は意識を失い、目を閉じた。










『コレ、飲んでもよいか?』

「・・・・・」

『おい、聞いているのか』

「・・・・・」

『これじゃ話もできんな』

蓮はこの時

暖かい空気に包まれたように感じた

『これで話ができるだろ』

「・・・・・」

『いい加減にしろ』

「イテェッ!」

左手に痛みを感じ目を開けた

そこには小さい爪で

蓮の手の甲を引っ掻いているトカゲが居た。

「イテェッ!!」

あまりの痛みで手を動かし

トカゲを振り払った。

トカゲは宙を泳ぐように

蓮の目の前に来た

あまりの出来事に驚きながら

トカゲを見ているとあることに気付く

さっきまでぐちゃぐちゃだった足が

治っている。

『コレ飲んでも良いかと聞いている』

1度周りを見渡した後、トカゲに視線を戻し

うなずく蓮

するとトカゲは蓮の血を飲み始めた。

何が起きているかわからない。

その状態が数分続き

トカゲはこっちを見てきた


『なぜお主ここにいる』

「なぜって、、わからない。

モンスターから逃げてきた」

『モンスター??』

『ここにモンスターなど

居ない。ここにいるのは……』

凄まじい音と揺れが起きた

恐る恐る音の鳴る方を見ると、さっきの怪物がいた

右手に持っていた刀に血がついている。

今度は逃げようと体を動かす蓮

それを見た怪物もこっちに向かって走ってくる

『おい。邪魔だ』

その言葉で怪物は止まり別の方へ走っていった

蓮もそれを見て立ち止まった。

『あいつは我の配下オウル』

『話を戻すぞお主はなぜここにいる』

「俺はハンターで…」

このトカゲはハンターのことも知らないので

蓮は1から突如現れるダンジョン

世界3割が能力を持った者

ブラックダンジョンなどの説明をした。

『なるほど……なら奴らが関係しているのかもな』

そう言うと、トカゲは自分の事を話した。


どうやら元々は巨大なドラゴンだったようだ

そんな龍が多数棲む所で

このトカゲは紅龍コウリュウという名の

龍を束ねる龍王という立ち位置だった。

そこに奴らと呼ぶ者が7人が攻め込んで来て

次々に仲間は倒れていった。

そして最後、紅龍だけが残り

立ち向かったが

奴らの能力により、異次元の門が多数現れ

紅龍の魂と力は別々の異次元に散っていった。

その後、紅龍は異次元をさまよい

この洞窟にいたトカゲを依り代にして

住んでいたみたいだ。


この洞窟には他にも色々なモンスターがいたようだが

ここで最初に戦ったオウルを従え

この洞窟のモンスターは全滅させた。

オウルには我に近づくものは殺せと

指示していたので

俺らが来たときも襲ってきたようだ。

『お主の言うここと同じダンジョンが他にもあるなら、そこに我の散っていった力。

そして奴らに近づくこともできそうだな。』

そう言うと小さい体を宙に浮かばせ

蓮の目の前に来てこう言った




『 お主の体をよこせ 』











「・・・ん?・・・・・・はぁ!??」

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