第58話 小包騒動とファリーダ


 日本の母達が日本食やお菓子を送るから、リクエストちょうだいと連絡が来た。


 やったああ!!と、大喜びでネットで今流行りのお菓子をメインに、必要な日本の調味料やインスタント麺、レトルトパックなどなど書き出していく。

 まあ、重量とかあるので、これが全部届くとは思わないし、大体無事に届くがギャンブルみたいな感じだしねー。


 そう。エジプトに小包、手紙などなど送る場合は、何日で届くかな?ではなく、本当に届くのかな?が、基本である。

 日本なら絶対確実に届くの前提で、国内なら離島以外は翌日届くの基本でしょ?!感覚であるが、エジプトにはそんなのはない!!!


 インシャーラ(神の意思があるなら)でブクラ(明日ね!)な国なんでねー。


 最初に母からの小包が届いた時、箱は完全に開けられ中身を確認されてぐっちゃぐっちゃになってた。まあ、そう聞いていたので、おー!これが検閲受けた荷物か!と、驚き面白がったくらい。

 が、中身を確認して首を傾げた。

 乾物やインスタントラーメンの間に、日本の飴が五個混じってる。

 袋ではなく、個別包装の飴が五個。

 

 何これ?お父さんが誰かが、飴食べながら詰め込んでて、美味しいからこれも入れちゃえー!と、入れた感じするけど。

(家族の中でそんなことしそうなのは父だけだから、笑)

 に、しても食いかけ入れたみたいで気分悪いなー。と、いうことでSNSでクレーム入れた。


 速攻で返事返ってくる。


「食いかけの半端な飴なんて入れてないわよ!ちゃんと袋で入れました!3袋!中に手紙と写真とリスト入ってるでしょ?!」


 手紙?写真?リスト??


 ボロボロになってる箱から全部取り出してテーブルに並べる。手紙の封筒はあるが、写真とリストの入ったクリアファイルはない。

 変だなぁ?と、手紙の封筒を開くと、テキトーに畳まれた手紙とリストと数枚の写真が出てきた。


 あー。手紙とかも中身確認するんだ。そして、綺麗なクリアファイルは取られたんだなー。と、想像してリストを開く。

 確かに飴の袋✖️3と、書いてある。

 でもあるのは飴、5個だ。2袋と1袋の残りはどこに行ったのか?


 うん。取られたんだね。


 関税官が箱を開ける。お!日本の飴だ、食べてみよう、美味しい!お前も食べろ!美味しい!お前も食べろ、食べろ食べろ!あ、やばいあと5個だ。仕方ない、戻してやるか。


 と、言うことでここに5個あるんだな。

 と、想像してみる。しかない、笑。

 

 それが始まりで、次の時は、小さめの箱にはびっしりピンクの粉が入っていたこともある。


 ?


 流石に速攻で聞いた。

「和菓子作りたいって言ってたから、白玉粉、上新粉、あんこのフリーズドライ、葛粉、きなことか色々いれたんだけど?」


成る程。


 関税官が箱をあける。知らない言語の書かれた白やピンクや色んな色の粉が入ってる!これはなんだ?!麻薬か?!

(恐らく添付されてる英語の説明リストは読まない)

 バリっ!と、乱暴に開けて中身を味見か、もしくは検査する。


 ただの粉だ。リスト見ればお菓子の材料とある。紛らわしい。袋はどこだ?おー!全部ぶち破ってしまった。仕方ない。菓子の材料なら混ぜれば菓子になるんだろう?全部混ぜちゃえ!


 てな感じかな? 

 と、想像して箱を閉じる。


 流石に勿体無いが、これはどーにも、使えないので破棄である。しくしくしくしく。

 

 まあ、そう言うことが続いたので、母や友達は面白がって、どう言う状態で荷物が届くのか実験みたいに色んなのを送ってくる。


 ありがたいけど、時々、え?!ってな税金が掛けられることもあるし、早いので10日から2週間で届く物も、1か月2ヶ月、ひどい時には半年後に届くこともあるので、ほどほどにね。


 と、言いながらも楽しみにしてる。


 さて、今回の荷物は二つに分けられて送られてきた。一つはEMSの航空便。一つはこちらへ仕事で来る方に預けた荷物なので、小包とはちと違う。


 預けた荷物に手紙とリストが入ってて、EMSでは新しく販売された猫のおやつを入れてあるので、ファリーダにあげてね、と、ある。


 届いたのは日本で発送してから15日目だった。

 EMSの箱は当然開封されてて、最後に透明テープでぐるぐる巻きにされてる。


 これを剥がすの大変なんだよねーと、ぶつぶつ言いながら開けてると、何か美味しい匂いがしたのか?ファリーダがすっ飛んできて、足元を喉を鳴らしながらぐるぐる回ってる。


「ちょっと待ってねー、あと少し、あ!!」


 開けてびっくり、笑。

 箱の中には、色んな形の猫の固形おやつがぎっちり詰まってた。剥き出しで。


「あちゃー!久しぶりやられたか!全開封!しかも袋ないよ。困ったなぁ」

 と、ぼやいてる間に、ファリーダは我慢できなくてテーブルに乗っかり、箱に頭突っ込んでバリバリ食べ出した。


「わー!待って待って!」

 一掴みテーブルに乗せてファリーダの注意をそっちに向け、箱の中身はジプロックに全部入れた。

 いろんなメーカーと味と形ごちゃまぜで。


 箱の底からリストが出てきた。


「新しい猫のおやつを色々入れました。ファリーダの大好きなチュール系も入れたので、あげてね!」


 チュール?

 そんな物は一個も入ってない。

 

 まさか、まさかと思うが関税官さん、またまた試食したら美味しかったのでガメた!ってことないよね?!

 それ!猫のだから!猫のだからねー?!お家のオッタ(猫)にあげるんだよねー?!


 と、ふと不安になった夢乃であった。


 因みにチュールは再度送り直してくれた。無事に届くのが不思議な感じのエジプトの小包事情なのでした。



 

 

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