第42話  シナイ山旅行計画と夫婦喧嘩と猫 (猫度1%)


 和也の関わるプロジェクトがひと段落したので、国内小旅行をしようということになった。


 やったー!


 ウキウキどこに行こうかネットで検索した。


 紅海方面がまだだから、シャルメルシェイク、ハルガダやタバブでシュノーケリングやダイビングもいいなあ。マルサ・アラムも静かでいいというし~。

 

 オアシスの村もいいなあ。

 シナイ山でご来光もいいし~。

 砂漠ツアーで、ホワイトデザートもいいね!

 ルクソールもゆっくり行っていないからいきたいなあ。

 アスワンもそうだよね。サウンドandライトショーみたいなあ。

 メンフィス、サッカラ、ダハシュールのピラミッドとか古代都市跡巡りもいいねえ。

 近郊ホテルで、プールサイドでのんびりもいいなあ。


 和也とうきうきネットのガイド情報を見ていると、和也の携帯電話が鳴った。

 

 休日に鳴る和也の携帯電話は大概良くない事の前触れだ。

 和也は慌てて寝室に駆け込みドアを閉める。


 ああああ~~~!やな連絡確定90%だね!


 夢乃はがっかりとしてマンダリン・ジュースを入れにキッチンに行った。戻ってくると、どんより和也が困った顔をしている。


「(旅行に)行けなくなった?」

 と、不機嫌に聞けば、和也はどよんと言う。

「違う…その~~旅行は行くんだけど…二人じゃない」

 そっちか…。

「はあ…どこのグループ?それとも会社絡み?」

「…ごめん…〇〇年同期会」


 ぐあああ~~~!!!と、夢乃は床に突っ伏した!よりによって〇〇年同期会かあああ!!!!

 

 〇〇年同期会とは、要はその年に赴任した人達の集まり。各社の人達が同じ時期にきたんだから、お互い仲よくしよう~!と、軽い?気持ちで?何かの飲み会の酒の勢いで作られた会。


 定期的に集まり飲み会したり、旅行したり、遊んだりと…まあ、サークルだよね。


 毎年そういう会が作られるわけではなく、たまたま和也が来た時はそういうノリに乗る人達が多かったかららしい。


 問題は…

 男性同士は気が合うが…

 そのマダム同士が気が合うとは限らない。


 しかも最悪な事に、他のマダム達は夢乃より先に来ていてがっつりグーループ構成が出来上がり、ヒエラルキーも出来上がっていた。

 

 そこに夢乃が遅れて(強制参加で)入ってきたのだから…当然、夢乃は彼女達の下に席が置かれることになる。そういうのはどーでもいいけど…


 問題は…

 そのマダム達のノリが…女子高生的な嫌な部分のノリである事。


 ええ。書きませんが子供じみた嫌がらせを、和也達男性陣に見えない場所で位置で結構やられました。

 なんでエジプトに来てまで、こんな事に付き合わねばならんのだ??

 バカバカしい。

 

 なので、和也にはそれを正直に話し、和也が彼等と付き合う分は構わないけど、自分は彼女達とは必要最低限しか付き合えないので、〇〇年同期会を退会させてほしいと伝えた。


 和也は仰天し、怒ってくれて、彼女達の夫達に言うと言ってくれたが…。

 ソレ、恐らくしても何の解決にもならないどころか、絶対火に油を注ぐ可能性大なので、やめてもらった。


 おりよし、毒沼事件(笑)で体調を崩したので、そこからなんとなーくフェイドアウトしていた夢乃であった。


 なのに!!その連中と旅行かよ!!

 あり得ない!!


「何故?知っているよね?絶対的に彼女達とはウマが合わないから無理だってこと」


「わかっている。本当にゴメン」


「なのに何故!?楽しみにしていた旅行で、彼女達と付き合わないといけないの!?」


「本当にゴメン!!今回のプロジェクトに彼等の会社系のコネを使わせてもらったので多少恩義があるんだ」


「ソレ、私関係ないじゃない。旅行関係ないじゃない」


「今度、彼等の所のプロジェクトで、日本から視察団が来るらしいんだけど、シナイ観光をしたいそうなんだ。で、彼等はシナイに行ったことがないから、何回か言ったことのある俺に案内して貰えないかって。俺も別の人にそうやって教えてもらったことあるから」

「なら、和也達だけで行けばいいじゃない!なんでマダム同伴なの!?」

「聡子さんが行きたいと言い出したらしいんだ」


 あいつかああああ~~~!!!


 丸藤聡子はそのマダムグループのボスで、とにかく性格が悪い。

 目黒区在住だったかなんだか知らないけど、それお鼻に掛けていて!超セレブっている!

 しかも何故か港区在住だった夢乃を何故か目の敵にして、ねちねちねちねち!!訳わからない!

 私、港区在住って、お高くなんかしていません!!私のどこがセレブっているんだよ!!港区にだって下町みたいなところ沢山あるんだよ!!


 はっ!!いけないいけない!(クールダウン)


 なのに!人が折角クールダウンしたのに、和也が無神経に燃料投下してきた!


「その聡子さんが…是非に夢乃さんもご一緒にって」

「!!!!丸藤がもう仕切っているの!?を!!」

だよ」

だったじゃない!いつの間にになっているの!?

私承諾していないよ?!和也さ!そういうところあるよね!?」

「?どういうところだよ」

「そういうところ!!!なんでそんな人達にへいこらするの!?ってとこあるよね!家族の迷惑より、なんで赤の他人のそっち優先するの!?ってとこあるよね!!」

「そんなことないよ!俺は家族優先だよ!」

「どこが家族優先よ!!丸藤グループが絡むと、なんか和也及び腰になるじゃない!?何?丸藤達に弱み握られてる?それとも私といるより楽しいとか!?」


 言ってはいけない言葉というのは、頭に血が上るとどうしてこうポンポン口から出てしまうのか?最初の問題がなんだったのか忘れてしまって、私達は口汚く大喧嘩をした。


 丸藤グループが関わると、毎回こうなる。何故かこうなる。

 和也は彼等と相性がいいんだろうから、つるみたいのはわかる。高校や大学生時代の学生のノリだよね?

 

 でもさ、家族(私)が相性悪くてダメなのわかっているのに、なんで自分の気持ちを優先しちゃうのかなあ?

 私が嫌な気持ちになるのより、自分が楽しい事優先?

 だったら私を巻き込まないでほしいと言ったし、理解したのに、なんでこうなるの??なんで巻き込むの?


私はそんな事しないじゃない。

和也に無理強いしないじゃない。

なのになんで? 

そこが悲しいし悔しい。


久しぶりに私達は部屋を分けて寝たし、食事もバラバラにとったし口をきかなかった。


 因みにファリーダは私と寝た。(よっしゃあああ!私の勝ち!)


 と、いう事があったにも関わらず、(私だけ?)嫌なグループと一緒のシナイ山旅行は決行されることになった!


 はあああ~~~~。

 私一人で砂漠宿泊ツアーに参加したいよ。

 何もない砂漠のど真ん中で、砂漠の民方式で満天の星空見上げながら、何も考えないで寝たいよ~~~~~~~!!!


 くそ~~~~!!!!

 

 続く!!

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