第32話 桃の花と猫 (ファリーダと猫のスフィンクス)
ハムシーンのちょい前の話し。
猫のスフィンクスの花屋の前を通った時、店主が夢乃を見た途端に、だだだ!と出てきた。
「マダム!MOMO!あるよ!」
モモ???今、モモって言った??モモって何???
と、興味を惹かれて店内に入ると、金ぴか真鍮の大きなバケツの中に、大ぶりの梅の枝が何本も水につかっていた。「MOMO」と書かれた札がぶら下がっている。
MOMO?桃?でもこれ…
「梅(UME)?」
「ラー!MOMO!」
「いや、どうみても梅だよ?」
「違う、違う!これはMOMO!ヤパーニは3月3日にガールやレディのフェスティバルをすんだろう?その時のお花だろう?」
「3月3日?あ!!ひな祭り!桃の節句の事?!だからMOMO!」
そうそれ!と、店主は大喜びで、「何本?」と、聞く。
だから…何故?買うのが前提??
話がかみ合わないので、店主の説明を聞くことにした。
かなり前に、ある日本人の奥様が、お嬢さんの桃の節句用に桃のお花が欲しいと、写真を持ってきたらしい。
その写真をもとに探したら、この花に行き当たり、毎年その農家?から枝を入手しているんだそうだ。
日本人でない外国人も、店主の説明を聞くと、日本式ガール、もしくは女性のお祭りと認識して、買って帰る人も多いと。
成程。
恐らく、その日本人マダムも、「これ…桃じゃない…」とは思ったんだろうなあ…。でもそれを説明する語彙力なくか、説明不発に終わったかで、まあ店主の心意気を買い購入したんだろうなあ。
エジプトあるあるだね。
棚の上で子供達が貰われて行って身軽になったスフィンクス(猫)が、大きな欠伸をしてウインクしてくる。
ハイハイ、購入しますよ。うちにもガールいるしね。
と、言うことで、どうみても梅だが、2枝購入して家に戻った。
驚くことに、ヤシラが「MOMO」を知っていて、大きなガラスの花瓶をどこからか出してきて(恐らく昔の前任家族の誰かの物)テーブルの上に綺麗に飾ってくれた。
そして折り紙はしないのかと言う。
折り紙??
あ!成程!!きっと小さいお子さんのいるお宅で、折り紙してお雛様を作ったんだろうなあ。
なので、折り紙をプリントアウトして折ってみた。便利な時代だよねー。
ヤシラが画用紙に手際よく折り紙を貼っていく。なかなか可愛いのができた。折角なのでもう一つ作り、それはヤシラにあげると、大喜びで何度もハグしてきて帰って行った。
喜んでもらえてなによりだ。
ファリーダは見知らぬ枝に興味津々で、大きなエジプト柄の革のオットマンに乗り、ふんふん匂いを嗅いでいる。そう、家に戻って気づいたが、意外と香りがあるの。いい香り。
ファリーダと桃もどきの写真を撮り、ミミちゃんのママにも送る。ミミママは早速スフィンクスの花屋に行き、お嬢さんのマリーの為にお花を買ってきたらしい。
なので、また折り紙でお雛様を折り、画用紙に貼りミミママ宅にあげて来た。大喜びで喜んでもらえて何よりだ。
なんだか思いがけない「桃の花」で日本のお祭りを広げることができて嬉しい。
高田夫人と田中夫人にも写真を送ると、みんな桃もどきを買って飾っていると写メを送ってくれた。
高田家は小さなお雛様セットを日本から持参したそうで、その前で着物を着てかしこまっているお嬢さん達の写真を送ってくれた。可愛い!!
雛あられや桜餅キットを日本から取り寄せ、家族で作って食べたそうだ。
エジプトで桃の節句。いいねえ。
日本の文化を海外でも大事にしてするっていいよね。
和菓子キットとかあるんだね~知らなかった。ネットで検索して、取り寄せたいなあと思う。
夕方に和也が帰ってきて、ケーキ屋さんで苺たっぷりのタルトを買ってきてくれた。なんとなく春ぽいし、ピンクの花びらのシュガーが掛かっていて可愛いからと。
エジプトにも意外と繊細で可愛いケーキを売っているお店もあるのよね~。
なので、その日はファリーダの初桃の節句と称して、家族2人と1匹でお祝いした。
ちらし寿司の素と、スーパーで買ってきたお刺身とスモークサーモンや魚卵をまぶして、簡単ちらし寿司!インスタントのお吸い物。青菜のお浸し。
デザートは和也の買ってきた苺のタルト!
そして、高田夫人から雛あられのレシピを教えていただき、もち米で作ったもの。
簡単だよ!
170度の油にもち米投入して、ポップコーンみたいに膨らんだら、あげる。
粗熱とって~袋に粉砂糖と入れてシャカシャカするだけ!
食用カラーがあれば、もっとカラフルにできるらしいけど、うちは雰囲気味わいたいだけなので白で十分~~~!
ファリーダはふんふん匂いを嗅いで、興味ないらしくつものご飯を食べて、お刺身貰って食べて~。でも楽しい海外でのひな祭りでした!
追記:
本物の桃の花枝を見た!という方もいますね。
私は梅かと思っていましたが、アーモンドの花ではないか?という方もいましたが謎のままです・笑
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