第8話 ピラミッドと猫 (サバトラ猫)
カイロに来て早1か月近くになるが、まともな観光をしていないことに気付いた。
確かにカイロに来て直ぐに、市内観光をしたけど、格安弾丸観光ツアーみたいな、駆け足市内観光で、土地勘ないし、暑さに慣れていないし、なのに情報量が多くて…記憶に殆どない。
なので少しづつ時間を見つけては、欲張らない観光をすることにした。
まずはカイロと言ったらピラミッド!
と、言うことで、今日はギザのピラミッドに行くことにした。ギザのピラミッドは古代のファラオのお墓なんだよ?知ってた?日本の古墳と同じだね。
何で行くかと言うと、基本は車だ。なので、今日は社用車のレクサスと運転手のサイード君の運転で来た。
サイード君は私達より年上なのだが、なんだか「サイード君」までが通称のようで、みんな「サイード君」と呼んでいる。とても穏やかな優しい運転の丁寧なエジプシャンでいい人だ。
ピラミッドエリアは朝の8時からオープンというので、早めにアパートメントを出たが、やっぱり朝から道は大混雑。メトロとか鉄道とかインフラ整備をしてましになったと聞くけど、前はもっとひどかったのかな?
道路を走っていると、前方にピラミッドが見えてくるのが凄い。
それにしても、ピラミッドって、カイロから遠く離れた砂漠のど真ん中にあるような気がしていたけど、実際は住宅街と言うか街の横の丘の上に聳え立っていてびっくりした。
カイロに来た時、和也が飛行機の上から、町はずれにある四角形の物を指さして、あれだよと言っていて、あんな街のそばにあるわけないじゃん!と、信じていなかったけど…本当だったんだ。
だだっぴろい駐車場にはいり、和也とサイード君でチケット売り場でチケットをちゃっちゃか買ってきてくれた
ここでピラミッドのエリアに入る為のチケットを購入し、同時にピラミッド内部の鑑賞用チケット?を買わないといけないらしい。
で、ないと、ゲートからえんやこらピラミッドにまで行ったが、内部見るためにはチケットがないと入れないし、売っていないので、またここまで戻らないといけない!という砂漠観光では致命的なミスになってしまうんだそうだ!
しっかりここで買わないとね!うんうん。
コースとしては、クフ王、カフラー王、メンカフラー王と言う順番で見学するのが一般的パターンらしい。それぞれ内部を見れるらしいけど、和也曰くどれも同じだからと、一番大きなピラミッドのクフ王のだけ購入したらしい。
チケット購入したら、また車に乗ってGO!ゲートから歩いても行けるど、暑いので車で回るのがベストらしい。もち、車も入場用チケットを買うらしいが詳しくはわからない。
写真でよく見る大きなピラミッドから少し離れた場所に車が停まり、そこから歩いていく。傍に行けば行くほど、大きさにぽかんとする。だって、積み上げた石の大きさが私の何倍もあるんだよ。これどうやって運んで積み上げたのかなあ??
古代人凄すぎる!!
朝早いけど、まだ涼しい朝のうちに観光しようと思うのは同じらしくて、結構混んでいる。だけど既に暑い。暑いのでさっさか中を見ようと入るが…中は更に暑い。そしてむわむわしている。
きちんとしたゲートから入るのではなく、昔の盗掘で破壊したあと?から入ると言うのも面白いけどね。
中は狭くてうす暗い感じがする。そして和也は私の後ろからくる。なんでかと言うと、内部で外国人女性とみると、体を触ってくる不埒ものがいるらしいそうだ。
イスラムの国では基本女性は肌をさらさないのがルール。だけど外国人女性は暑いのもあるけど、彼らにしてみれば裸に近い恰好で歩いているから…
こうね?むらむらとね…お墓の中だけどね…。
もちろん痴漢は大罪である。しかも既婚女性を触ったら、それこそ大変な事になるので普通はしないが、アジア人は子供に見られやすいので気を付けるに越したことはないらしい。
つまりは和也は後ろから私の可愛いお尻が触られないように、ガードしてくれているのだ!ありがとう和也!
そして和也が通路から色々一生懸命説明してくれるけど、やっぱり頭の中に入ってこない。金ぴか内装を予測していたんだけど、違うんだね。
しかも…
暑すぎて…。
狭いし…
空気が薄い気がして…
いろんな匂いがして…
くらくらする。
ピラミッドから出ると軽い脱水症状かもしれないと、和也が水筒を渡してきた。和也曰く、私は水の飲み方?タイミングが下手らしい。なんだそれ?と最初はむっとしていたけど、最近は何となく言わんとしているがわかる気がした。
なので素直に飲む。
「ん?甘いね、これ」
そういうと、和也は顔を顰めた。
「これはもしも用に持ってきた経口飲料水。甘いということはやはり脱水症状だね。夢乃はまだ体調万全じゃないんだよ」
和也は心配して、他のピラミッドは遠巻きに見て、スフィンクス見たらアパートに帰ろうと言う。
「え~~もう少し観光したいんだけど」
「砂漠では無理は禁物だよ。熱射病とか脱水症状甘くみたらだめだよ!観光はいつでもできるんだからさ!」
真顔で和也に叱られた。
凄い気迫だけど、何かあったのかなあ?と、日陰で少し冷たく感じる石に凭れかかった。
「サイード君を呼んでくるから、ここで待ってて」
と、ピラミッドの日陰に私を残して和也は走り出した。
不意に何か足元をするりと抜ける感じに驚いて目を開けると、二匹のサバトラ猫が足元に寝そべっていた。
驚いた!!
だってここ、ピラミッドだよ!?砂漠だよ!?
(直ぐ真下に街が広がっているけど)
こんなところにも猫がいるなんて!流石エジプト猫天国!
私は急に元気になって、そっと猫の背中を撫でた。すべすべしていて柔らかい。そしてやっぱりスリムだ。
足がスラリと長いし、振り返る頭も小さくてエキゾチックな金茶の目で見上げてくる。
猫はしっぽをぱたんぱたんと振る。そのたびに白い埃が舞い上がるのが面白い。
「にゃーにゃー」
言って、はっ!と周囲を見るが、流石にミント売りの子はいない。安心してまた背中を撫でる。猫しっぽをぱたん!ぱたん!と振る。
ふふふふ。可愛い。
少しくらいいいよねー。後で除菌ティッシュで手を拭くし、洗うしさ。
猫は私に寄り添うように見上げるようにして石畳に寝そべる。私は存分に久しぶりの猫の感触を楽しんだ。
なんだかほっとするなーと、白ぼけた空と遠くに見えるピラミッドを見ながら、しみじみ遠くに来たなあと思う。最初は無我夢中だったけど、最近はここで生活していくんだなあと、今更ながらに思う自分がおかしかった。
「夢乃!」
和也がサイード君を連れて戻ってきた。二人で私を挟んで支えるようにして車に戻る。振り返ると、猫達はどこかにいったらしく姿がなかった。
猫達のお陰で元気になり、私は二人の間で自力で歩いた。
ピラミッドからある程度離れると、まるでそこから結界が切れたように、物売りの子とか、ラクダ乗りの人とか、「写真撮るよー!」なんて言う人達が寄ってくる。
こういう人達は観光客目当ての基本ぼったくりなので、そこらへんを理解して利用するか、ちゃんと交渉しないと痛い目にあうらしい。でもそんなすんごい料金をふっかけてくるは稀らしい。
サイード君がアラビア語で語気強く彼らを追い払ってくれる。頼もしいよ、サイード君。
冷房の効いた車内に戻り、カウラ―王、メンカウラ―王とピラミッドを見ていく。最後にパノラマと言う、少し離れた場所に移動すると、なんと!青空とピラミッドだけという凄い絶景の写真撮り放題の場所になる。
ここにも物売り、ラクダ乗りとか沢山いるけど、サイード君が追い払ってくれるので心置きなく二人で写真を撮る。二人並んだ写真を撮り、日本の両親達や友達にベストショットを選んで送った。
意外とここにも猫がいたりして!と、周囲を見渡したが、流石にいなくてちょっとがっかりした。
ま、次のスフィンクスにも絶対猫はいると思う!
そう気合を入れて、和也とサイード君と一緒に車に戻った。
追記:
ピラミッドにはそーゆー不届き者がいますので、マジ気を付けてね。
あと、ラクダ乗りとか売り子とか、マジうざいです・笑
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