第一話 異世界で初めての出会い
「アケノさんはこことは別世界の
「大体そんな感じです。信じられないと思いますが」
「信じるもなにも、オレの目の前で信じられないことが起きたんだ。今更信じるな、と言われる方が無茶なことだ」
「そ、それもそうですね」
窓辺から差す日の光を浴びながら私たちはテーブルに着き、朝食を取りながら事の経緯を話し合っている。
エレン・ムンド。私が異世界で最初に会った人で、|獣級(中級)冒険者の魔法使い。
灰色の瞳に白い髪をした男性で、背は私より少し高い。
昨晩、
どこからどう見ても魔物だ、と即わかる姿をしていたけど、“姿″そのものが不気味だった。
異世界に召喚されたところは森の中で、少しして「あんなのありかよ――!!」とエレンさんの大声が聞こえた。
力の使い方をシロウさんは教えるのを忘れていて、教えてくださいと言えなかった私にも落ち度があったけど、エレンさんを助けることができたから気にしていない。
シロウさんから託された力は知らずの内に発動していたみたいで、それに気づいたときは、魔物を倒した後だった。
魔物は一撃で倒され、魔物はミンチとなって砕け散ったらしい。
「この世界を滅ぼし、存在する全てを滅ぼし尽くすという厄災か」
「私が
厄災について一応話した。話していいのか、と僅かながら疑問を思ったけど、全てのことを話てしまった以上、これ以上の隠し事は不要だと思った。
エレンさんは勇者についてのおとぎ話の絵本を持ってきた。
かつて、
神器は剣、弓、杖、鎧の四種類あるみたいで、
神器は火、水、風、の大精霊たちがそれぞれ守護していて、あるべき場所で大切に保管されているらしい。
おとぎ話でどうしても腑に落ちない
四つの神器の内、「鎧の神器」は邪神との戦いで砕けてしまったと語られていたけど、“五人目の勇者″についての詳細がどうしても疑問に思って仕方ない。
最後は邪神にトドメを指したことで邪神の力を受けてしまい、“死亡した″と語られている。
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「まずは君以外の勇者と合流することを目的とするといい」
私が異世界に召喚される前。楽園世界でシロウさんとのある対談にて。
「私以外にも勇者はいるんですか!?」
「勿論いる。『勇者』は元々、【厄際】に対抗する為に生みだされたからね。
勇者は皆、『神器』という特別な武器を必ず持っている。 勇者とは、神器に認められた者の証であり、担い手を意味する名だからね」
「なるほど。 じゃあ、私にくれたこの“勇者″はどんなものなんですか? 神器を必要なく使用できてますよね?」
「アナ君に渡した
「じゃあ、シロウさんが私をここに呼んだのは…」
「
「一応聞きますけど、私以上にふさわしい人はいましたよね? どうして私を選んだのか、よかったら、教えてください」
“世界″というのは広い。世の中に天才がいればそれ以上の鬼才が存在するように。世界とは、色々な人々、生物やもので溢れている。
そうであれば私以上に
自分が引き受けた役目に不満がない。と言えば嘘になるけど、シロウさんが私を選んだ理由を、どうしても知りたかった。
「君が一番ふさわしいと思ったから。これ以上の理由はあるかい?」
「それは、どういう…」
衝撃過ぎる理由だった。てっきり私を選んだからには、何かそれ相応の理由があるのだと、そう確信していたから。
「おっとすまない。これだけの説明じゃ分からないよね。
アナ君を一目見た
無論。後先考えずに即断即決せず、他の人たちを調べ終えてからね。
自分で言うのもなんだけど、ボクの直感と何かを見る目は他の誰より優れていると自負している」
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結局、シロウさんから託された
私に宿った勇者の力がどんなものかは、これから少しずつ分かっていくだろう。
「あ! そうだった」
「どうかしたの?」
「今思い出したんだけど、アケノさんの手がかりと関係しているかは怪しいけど、一応言っておくよ」
・聖魔神話
ロゼ魔法学園というところで、エレンさんがたまたま知った神話。
勇者伝説と同様に各地で伝わっているらしくて、でっち上げだ、魔族が信じ込む宗教だ、と異論をとなえる者も多いらしい。
“第三の神″バリッツが漁夫の利によって聖神と魔神が倒され、
異世界人の私からすれば面白くて飽きなかったし、最初~最後までの内容が全て頭に入った。
北欧神話で起きた「ラグナロク」と類似してたし、光と闇の対戦は、どこかロマンを感じて面白かった。
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