アークブレイヴ
暁辰巳
序章 動き出した宿命
プロローグ前編
なんだろう……。人の声が聞が聞こえているのは分かるけど、なにをいっているのか、全然分からない……。
トラックの衝突事故で全身打撲と
天気も良かったので気分転換に寄り道をし、家に向かって真っすぐ帰っていたところ、トラックの
見た目は4才か5才くらいの子供。
考えるよりも先に
無意識だった。「助けなきゃ」と咄嗟にそう思った。
子供を助けた
私はお兄ちゃんとお父さん、三人で生活している。
バイトで学費を稼ぎながら大学に通っているお兄ちゃん。毎日会社の仕事を頑張っているお父さん。
我が家は貧乏で、時より生活が苦しいとそう思った時もあるけど、家族お互いに生活を支え合いながら生きてきたから、
どんなことがあっても乗り越えられたし、何があっても平気だった。
私はお兄ちゃんとお父さんを支えるため、家の家事全般は私が全て受け持っていて、私がいないと、お兄ちゃんとお父さんは―――
いや、それ以前に。私が死んで一番悲しむのはお兄ちゃんとお父さんだ。
なんでこんな当たり前のことさえ、分かっていなかったんだろう。
今更ながら私は自分の
けど、今更悔いたり嘆いたところでもう遅い。
誰しも人生はいつだって一度きり。
現実とフィクションの
崩壊していく意識に、少しずつ消滅していく命。私は目を閉じた。
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