第11話 ハイドラとの戦い②
ヴィルへリアに促されてハイドラを倒すことを強いられた俺は腹をくくることにした。ヴィルへリアが作った鎖に捕らわれたハイドラが俺に向かって襲いかかろうとするも身体を少しも動かすことが出来ずにいた。
「まずは魔力のコントロールから始めるぞ。魔力は体中に流れているエネルギーなのだ。魔力を身体の一部に溜めたり、身体から大きく魔力を解き放ったりと色々な使い方がある。しかし、並大抵の人間では魔力を消費しすぎると身体が動かなくなることがあるのだ。これを”魔力切れ”と呼ぶのじゃ。まぁでも安心せい、妾の魔力量ならどんなに魔法を一日使おうとそのようなことには成らぬから!」
「そ、そうなのか?」
「うむ! では早速始めるぞ!! 一番簡単な奴から初めて行くか。レイクよ、まず右手に魔力を溜めてみるんだ。コツは右手の中心辺りに集中して流れている魔力をそこへ溜めたい!って強く意識するのじゃ。よぉわからんと思うが百聞は一見にしかず、やってみるのじゃ!」
「お、おう!」
俺はヴィルへリアに言われたとおりに右手の中心に意識を集中させてみる。すると、何だか右手が仄か暖かくなってきているのを感じた。
「ヴィルへリア、何だか右手が暖かいんだが?」
「おお! 上手く出来ているようじゃな! 才能あるぞレイク♪ では、その右手を前に突き出せ!」
俺は右手を開いて、ハイドラへ向けて突き出す。
「じゃあ、このまま妾がこの前使った”炎ノ息吹”を使ってみるか! よし、このまま吐いてみよ!」
「吐いてみよ!? そんな急に言われたって……」
「大丈夫、何事も想像力を働かせるのじゃ……右手から炎が出るような想像じゃ。レイク、お前なら出来る」
ヴィルへリアの前向きな言葉が俺の雀の涙ほどしかなかった自信を育ませてくれる。
俺はヴィルへリアを信じて、大きく深呼吸をしながら右手から炎が放出されるイメージを作る。すると、どんどん右手に熱が籠もってくる。熱が増して、熱が漏れてしまうのではないかと思うほどに熱くなっていく。
「……何か、来る!!」
「あ、そうじゃ言い忘れておったが……」
ヴィルへリアの言葉よりも先に俺の右手から炎が飛び出す。竜が吐く炎ノ息吹のように俺の右手から炎が放出されたのだ。しかし、その炎はただ発動したわけではなかった。レイクから出た炎は明らかにあまりにも広範囲で炎の色も赤黒い物であった。広範囲に広がった炎が一瞬にしてハイドラの身体を包むハイドラの分厚い肉がみるみる溶けていく。
「ぐぅあああああああああ!!! 熱いぃいいいいい!? ば……馬鹿な!? 私には炎熱耐性があるのだぞ!?」
ハイドラの苦しむ声など無視する程にその炎はハイドラの身体を蝕んでいく。スキル使用者は俺なのだが何が起こっているのか自分でも分からない。しかし、炎の中で苦しんでいるハイドラを見て初めて自分に力がある事を実感することが出来た。
「当然じゃ、妾にはEXスキル”耐性無視”がある。お前の耐性など妾たちにとっては無意味でしかないのじゃ」
「き……さま……ただ者……ではないな?」
「言わねば分からぬのか……ならば、死ぬ前に教えておいてやろう。妾はヴィルへリア、”破滅古竜”ヴィルへリアである! そしてこいつは、妾のオトモダチじゃ!!」
「は、破滅古竜!? 封印されていたはずでは……ぐわぁああああああああ!! このようなイレギュラーが起こるとは!! 申し訳ございませぬ我が主よぉおおおおおおおおお!!!!」
ハイドラは金切り声のような断末魔を上げると溶けた身体は骨すら残らず息絶えた。唯一、炎が届いていなかった1頭のハイドラの頭が空しく落ちてくる。ハイドラの身体は消え、残ったのは頭のみ。騒がしかった村の中央は静寂に包まれた。
「言い忘れていたが、妾の魔力によって普通のスキルでも威力がちょいと強めじゃから気をつけてな♪」
ヴィルへリアは綺麗な白い歯を見せながら満面の笑みで言う。少し言うのが遅すぎると思ったが、身をもってそれを体験したため言いたいことは理解できた。まさか、自分がこれ程までに強くなっていた事に酷く驚いている。戦闘によって出たアドレナリンによって身体の震えが止まらない。
「これが、ヴィルへリアから貰った力……?」
俺は右手を見ながら余韻に浸っているとヴィルへリアが勢いよく俺の首に手を回して飛びついてきた。
「やったなレイク!! やれば出来るではないか!! さすが妾の眷属だじゃな♪」
こうして、書物で見た恐ろしい魔物はヴィルへリアのサポートと俺の初めてのスキル行使であっけなく討伐することが出来たのだった。
《現在ステータス》
name:レイク
称号:破滅古竜の眷属
《(判明済み)所持スキル》
コモンスキル:【威嚇】【風切り】【拘束鎖】
EXスキル:【仁王覇気】【多種結界】【耐性無視】
竜種固有スキル:【炎ノ息吹】
言語スキル:【竜族語】
耐性:【状態異常無効】
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最後までお読み頂きありがとうございます!
作者からお願いがあります。
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