第11話 始まった戦いと、定まりつつある気持ち。

「というわけでここが我々が二泊三日お世話になる高宮荘だ。あまりスタッフの方々に迷惑はかけないように、高校生としてふさわしい態度で生活してくれ」

「とりあえず今日は荷物をそれぞれの部屋において、13時にはあっちの広場に集合な?それまでは基本的に自由行動。13時からは集団行動と明日の登山についての説明をしてもらうから心して取り組むように」


「では解散!」




うっわーーー!

結構広い!

8人部屋と聞いたときはどうなるかと思ったけどいいねいいね!

二段ベッド!冷蔵庫もある!

お泊まりって感じだ!


「さてとこれからどうしよっか?あと1時間くらいは余裕あるけど…男の子の方、いってみちゃう?」


同じ部屋になったマッキーがすごい提案をしてきた


「えぇ!?良いのかなぁそんなことして…」


「いいのいいの細かいことは!それに、中原くんだってその辺うろついてるかもよー?」


確かに!


「行きます!」


「チョロいなぁ…」






結構広いのね…

8人部屋と聞いたときはどれだけ居心地が悪いのかと思ったけれど、

これなら自分の時間も確保しやすそう。


「ねぇねぇどうする?これからさ!」


「トランプでもしちゃう?実は私持ってきてて」


「あんたバカ!今言っちゃうと…」


私だってそこまで野暮じゃありません。


ここにいてはお邪魔のようですし、外の空気でも吸ってきますか。


「しまった!こうなったら共犯者にして…ってあれいない?もしかして先生にチクりに行っちゃった!?」


「あーあ、私もう知らないからね。怒られるなら1人で怒られてよ」


「そんなーーー」



外に出ようとエントランスに向かっていると、あまり見たくもない光景が目に入ってきてしまった。


中原くん…と南野さんか。


胸がギュッとなる。


別にそんな感情ではないはずなのに、見ていると不思議とソワソワしてしまう。


もう少し早ければ私があそこにいたのでしょうか。


そんなことを考えつつ、なるべく見つからないようにそそくさとその場を立ち去ることを決めたのだった。





「ふんふふん!ふふふふん!」


「なんでそんなに上機嫌なのよあんた」


「だってだってー!楽しいじゃん旅行!それに…えへへへ」


中原くんと登山!カレー作り!これを楽しまずして何を楽しめというのか!


「とりあえずその緩みきった顔やめな…って噂をすれば、だね」


「噂?なんのうわさ…あ!」


中原くんだ!


それに…


あれって、東城さん?遠くてよく見えないけどたぶんそうだよね…


こっちに歩いてきてるってことは…


まずい!このままだとあっちが先に出会っちゃう!


急がなきゃ!


「ごめん!マッキー!ちょっと走るね!」


「え、ちょっとそんなに急がなくても…」


そう言いつつ向かい側から歩いてきた女の子を見つける

なるほどそういうこと

ったくあの子もなかなか強かよね



そんじゃま私は、そっちにでも行ってみますか

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