第10話 私の好きな人とあなたの好きな人

あの班決めから2日たった


あの日


どうして東城さんを呼ぼうなんて提案しちゃったんだろう


私のライバルなはずなのに


でもなんだか


とても寂しそうに見えて


昔を思い出しそうで


それで


「ハル?」


「え、は、何事!?」


「何事!?じゃねーよ。とっとと役割分担決めちまうぞ」


あ、そっか

今日は班でのカレー作りの役割分担を決める日だった


だから私の教室に、私の隣の席に中原くんがいるんだ


「えへへへ」


「なんでにやけてんだお前」


「え、そんなにやけてなんかないよぉ!」


「ま、ともかくちゃちゃっと決めてしまおうぜ。女子勢はどうなの?料理の腕は。ちなみに俺はぜんっぜん無理」


そうやって梅原くんが机の上のプリントを差す


役割は

お米を炊く係が2人

食材を切る係が2人

そしてカレーを煮込む係が1~2人


うちの班だと5人だから恐らくカレーを煮込む係が1人になるだろう

そしてなんといっても私は料理が苦手なのだ

せっかちなのが原因なのだろうが本当に苦手なのだ


となれば狙い目は


「はい!私お米炊く係がいいです!」


「え、ちょっハル逃げないでよ!私も料理なんて出来ないから米炊きがいいんだけど!?」


「おいおい真紀はともかくハルちゃんもかよ…」


ええ!?マッキー料理出来ないの!?


予想外の事態


てっきり料理くらい出来るから梅原くんと2人でキャッキャウフフするものだと


「とか言ってる俺も料理なんてしたことないからなぁ、そっちの委員長2人組はどうなのよ」


「俺はまぁ…出来ないこともないが」


「私も一応。カレーを作るくらいなら問題はないかと思います」


予想外の事態その2!!?


そうだった!中原くん家庭科の時間でも失敗する私を尻目に普通に料理してたんだった!?


まずい


これはひじょーにまずい


いやマッキーと2人でお米を炊くのはいいんだけど、


2人が並んでお野菜切ってる所とか私耐えられないよ!?


どうしよう…これは困った…


今さら料理出来ます!なんて言えるわけないよ恥ずかしい


しかも中原くんの顔!

「お?この流れはいけるのでは?」

みたいな顔!分かりやすすぎるよ!?

もうちょっと隠す努力してよ!


「あ、あの…」


東城さんだった


「私がカレーを煮込む係でどうでしょうか?煮込むだけといっても焦がさないようにと手間はかかりますし、そちらに人員を割くというのも良いかと思いまして」


予想外の事態その3…


しかし!この機会を逃すわけにはいかない!


「あ、じゃあじゃあ私がお野菜とか切るよ!これを機に勉強してかなきゃね!お嫁にいけないもんね!」


とんでもないことを口走ってるような気がするがまぁよし!


「2人がそれでいいならほとんど決定かな?あとはじゃあ俺と真紀で米炊いて、委員長…士郎がもう一人の料理担当な」


「へいへーい」


おいこら中原くん!悔しそうな顔をしない!

私にそんな魅力ないかなぁ!?


中原くんには申し訳ないが、私にだって譲れないものがあるのだよ!



この林間学校

東城さんに負けるわけにないかないのだ!

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