キミ色に染まる
えとせ 皐
第1話 成人式
凍りつくような冷たい風。
あの人は違った風が、私の頬を撫でる。
1月10日、成人の日。
スーツや振袖姿の新成人。
とは言っても数年前、成人は18歳になったのでただの成人済み2周年の集まりだ。
会場前をうろついていると、地元にこんなにも同学年がいたのかと感心する。
すると、後ろから私を呼ぶ声がした。
たいして久しぶりでもないのに
「久しぶり!」
口が先走ってしまった。
地元の友達と会ったときの定型文だ。
10分もすれば友達が集まり、友達の友達が集まる。
友達の友達は、他人。
つまり、私にとっては友達+他人の少しきまずい集まりになっていった。
話題は、もっぱら同級生の又聞き近況報告会だ。
「あいつ、結婚して子供もいるらしい。」
とか、
「大学中退して、今はキャバ嬢しながらホストに貢いでるらしい」
だの、不確実な他人の近況。
なんの生産性もない会話だが、他人の近況ほど面白いものはないことには気付かされた。
なっがい話を耐えぬき、やっと式が終わった。
ふと誰かが、
「もう、こんな歳かー」
「それを言い始めることが、ババアへの第一歩」
ババアか・・・
体感年齢の折り返しは18歳だという。
つまり、もう体感50歳をすぎているかと思うと、少し怖い。
いや、怖すぎる!
集合写真も撮りおわり、次はインスタ用映え写真撮影会かま始まった。
疲れたので、ベンチに座り、あたりを少し見回す。
また、キミを探してしまった。
いつやっても決まって同じ。
なのにこの癖が抜けない。
キミ色に染まる えとせ 皐 @w_s_w
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