一章9話 力と対価
街へと向けて、進む一向。
グレディア、カティナ、ガルム、そして木よりも大きいデリオース、と中々に賑やかな面々である。
だが、そんな賑やかさとは裏腹に皆の様子は表情に陰りが見えていた。
ただ、1人を除いては。
「してお嬢様、先日のお話しどうなさりますか?」
馬車の中にて、カティナにそう問いかけるガルム。
ちなみに馬の御者はグレディアである。
天の声:こいつに任せても大丈夫だろうか?…
大丈夫なんだろう、なにせ馬がビビって言うことを聞くぐらいだから…
「かなり、悩んでます。
どうしたら正解なのか、…さすがにあの金額は、到底払えるとは思えません。」
カティナの脳裏には先日の夜の事が蘇る。
昨夜の話。
公女カティナは、目の前に宝玉を出され選択を迫られていた。
「この宝玉…神眼玉だな。
これを使えば君に、何の力があるのかそれを全て知る事ができる。」
そして、ガルムが話に食いついた。
「で、では!早速!」
だが、少し考えた仕草をしてからグレディアはこう言った。
「まぁまて、確かにこれを使えば全てを見通すことができる、だがその対価に何を払う?」
勿論、無料で見てあげても良いけどさすがにそれだと訳わかんない人たちからも寄られそうだから、ここは対価を要求してみるか。
これでWin-Winって奴だな。
少し俯き様に、カティナが
「分かりません、こんな高価なものいくらの価値になるのか…到底、想像もつきません。」
「ふむ、ではまが…いや魔力検査の宝玉はいくらで調べられるのだ?」
「魔力検査は基本的に齢が10になればまぁ国によって価値などはまちまちですが大体、金貨1枚で調べる事が出来ます。」
と、ガルムがそう言った。
「では、金貨10枚でどうだ?」
少し考えながら、そう言ったグレディア。
単純計算で10倍である。
「金貨100枚!?
そんな大金持ってません!?」
驚愕しながら、カティナが言う。
「だが、森羅万象の全てを見通す事ができる力だ無論、未来もな、それを考えれば妥当だと思うぞ?」
ゲームの時はイベントが早めに知れるって特典だったけど、この現実となった世界ではどうなるんだろう?
「それは…そうですよね。
何とも言えないです、私のお小遣いでも金貨2枚にも届きませんし…」
そう言うカティナは、若干落ち込み気味だ。
「グレディア様、結構鬼畜ですね。」
突然、デリオースがそんなことを言う。
「なんだ、藪から棒に…まぁ正直、対価なんてのは必要ないがこうでも言わないと変な奴が寄ってくるかもしれないからな、保険はかけておかないとな。」
いきなり、デリオースに鬼畜と言われ若干顔を顰めるグレディア。
だが、しっかりと問いかけには答えている。
「それにしても金貨100枚ですか、こんな廃れた国にそんな金を出す度胸なんてあるんでしょうか。」
そんなことを言うデリオース、グレディアはその言葉に疑問を抱く。
「コルミアが廃れた?
あの大陸最大の覇者が?
冗談だろ?」
「ほんとですよ?今から千年前、邪神を倒したグレディアさん達が居なくなってから、どんどん廃れて行きました。
皆さんが消えて、これ幸いと他の国が同盟を組んで、コルミア王国を攻め込んだらしいです。
まぁ自分、生まれてから500年程しか経ってないのであまり分かりませんが、お師匠様がそう言ってました。
今の大陸の覇者はアルファード帝国とかゆう名前の国ですね。」
その言葉に唖然とするグレディア。
「おまえ、随分と人間世界の事に詳しいんだな、見直したよ。」
「へへっ、ありがとうございます、もっと見直してくれて良いんですよ?へへへっ」
ニヤつくデリオース。
なんとも、お調子者である。
だが、残酷な現実を突きつける。
「まぁ、0が0.1になっただけだが…」
「0が0.1!?そんなバカな!?」
「じゃあ逆に聞くが、何でまだ上だと思えるんだ?言動からしてアホだろお前…。」
「がーん!?」
あまりの言い草に石化するデリオース。
その雰囲気にさっきまで落ち込んでいたカティナ達も表情が変わり、クスリと笑ってしまう。
「あ、話は変わるがここから街までって歩いてどんぐらいかかるんだ?」
恥ずかしくなったのか、唐突に話題を変える。
その質問に全員、ポカーンとしている。
「ここから街まで歩いてって、1週間以上はかかりますよ!?なにせ、馬車で2日はかかる道のりなのですから!魔物に遭遇すればもしかしたらそれ以上かかります!」
今度は、グレディアがポカーンとしている。
そして、頬をポリポリかきながら。
「そんなにかかるのか?これは参ったな。
一緒にいかせてもらえないか?さすがに1週間も歩きたくないしな、馬の御者ぐらいは任せろ。」
ちなみにだが、この世界の時間の単位は地球と同じである。
時計までもが存在している。
魔道具だが。
その様子にさっきまでの雰囲気はなんとやらでさすがに爆笑する一向。
「ハハハッ、はい、良いですよ一緒に行きましょう!」
そして、時は戻り。
「しかし未来まで見通す宝玉ですか…それが本当なら金貨100枚じゃ済まないでしょうな…なにせ、国の左右までも見通せてしまうのですから…ですが、本当に信頼して良いのでしょうか?」
ガルムがなんとも言い難い表情でそんなことを言う。
確かにグレディアの言ったことは全て本当なのだが、本人の胡散臭さと相まってタチの悪い詐欺師紛いの占い師と同等に見えてしまう。
「確かに、本当かどうかはわかりません。
どこまでが本当でどこまでが嘘なのか。
ですが、あの方が言っている事が本当ならそれに縋るしかありません、ですが…金貨100枚なんてとても払える金額ではありませんし、無理ですね…」
涙目になりながらそう言うカティナ。
すると
突然、急ブレーキをかけるみたいになる馬車。
もちのろんでシートベルトなんて気の利いたものは無く、馬車の中でガルムとカティナは倒れ込む。
「イタタ、いったいどうしたんでしょうか。」
横に倒れ、腕を痛める。
「くっ、お嬢様!ご無事ですか!?」
そして、突然のことながらなんとか受け身を取りカティナに声をかけるガルム。
さすがである。
「悪い、馬がやられた!」
外から大声を張り上げるグレディア。
「え!?」
驚愕する2人。
本日もありがとうございます。
あと1話で、10話突破致します!👏👏
さあ、皆の命運は如何に!?(予想は簡単に出来そうですが💦)
ご感想ご指摘お気軽にコメントくださいませ!
それでは次回!乞うご期待!
To be continued……
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