一章8話 御伽噺と魔力がない!?

「「え、えぇぇぇぇぇ」」


カティナ、そしてデリオース2人揃って素っ頓狂な声を上げ、護衛の騎士はポカンとしている。


「デリオースさんを召喚獣になんて…格が違いすぎます!!」

「そうか?だが、召喚獣にするのに正直レベル差なんてものはあってないようなものだぞ?」

詰め寄るカティナにそう反論するグレディア。


「なんで私がこの如何にも脆弱な人間の召喚獣にならないといけないんですか!?グレディア様ならともかく…」 

「何を言ってる?人間なんてものは所詮は脆弱な生き物だ1人じゃなにも出来やしないからな。

そしてそれは、お前らドラゴン族にも言えた事だ、だから手を取り合って生きている。」


ならと続ける。


「カティナの先祖、イリーナのように人とドラゴン、手を取り合って生きた方がいいと思ったんだがな。」

その言葉を聞いた、カティナは驚いたような顔をする。

そして、護衛の騎士がちょっと待ってください、といいグレディアに疑問をぶつける。


「イリーナ様がドラゴンを召喚獣にしていたとは、いったいどう言う事でしょうか?」


するとグレディアは、ん?と言うような顔になり。


「どういうこととは、どういうことだ?

まさか…その御伽噺とやらには描いていないのか?」


その言葉に続くように護衛の騎士ガルムは

はいと返答をする。

だが、カティナは思い込んだような顔をしながらも言葉を発する。


「確かに、御伽噺には彼の竜王と協力したとありますが召喚獣にしたとはありません。

ですが…我が家の古い伝承には、確かに竜王ガルドロス様を召喚獣にしていたと言い伝えられています。」


ですがと続けるカティナ。


「根も葉もない噂話と私達の一族ではなっております。」


その言葉に心底、可笑しそうに笑いながら

グレディアはこう言った。


「ハッハッハッ、噂話か笑わせる。

自分たちで見もしないで噂と切り捨てるとは

考えが甘いな。」


良いかと、続けるグレディア。

少し、キレ気味になっている。


「確かに、突拍子もない話かもしれない。

だがな、自分たちの先祖だぞ?もし召喚獣では無いとその現場を見たのなら分かるが。

見てもいないで噂と切り捨てるな!

お前ら子孫が信じないでどうする?自分の意思を持て、周りの声に流されるな。

少なくともイリーナは、自分の意思を貫き貫いた挙句、周りを引っ掻き回してばかりだったぞ?」


そう、昔を懐かしみながら言う。

驚きながらも感銘を受けたカティナ。

それと同時にどうしても疑問が浮かぶ。


「ありがとうございます、わたしはご先祖様を、伝承を信じます。

あの、その、そこまで言って頂けてありがたいのですが、あなたはいったい何者なのですか?イリーナ様とはパーティーメンバーとはいったい…」


それに、そのドラゴンとも知り合いみたいですがと続けるカティナ。

その言葉にきたか、と思ったグレディア

内心、冷や汗を掻きなんて言えば良いのか考えながら。


「なに道に迷ったただの旅人だよ、昔話が好きなね。

パーティーメンバーの話は忘れてくれ作り話だ、それにそのドラゴンとも知り合いでは無いぞ?」


過去から来たなんて言ったら信じてもらえないだろうなー、別世界なんてなおさらだ、なんて思いながらそんなことを言う。


「何をおっしゃいますか!?

あなたは、はお……なんでもありません。(ひやり)」


突然、会話に割り込んできたドラゴン。

バラしかけた瞬間に、威圧付きの視線だけで黙らされる。

とんだ根性なしだ。


「今は、それで構いません。

命の恩人ですから、深くは聞きません。

ですが、いつかは教えてもらいますよ?」


微笑みながら言うカティナ(目は笑ってない)に、更に冷や汗をかく、かなり強かな女性だ。

ドラゴンよりよっぽど怖い。


そして辺りが暗くなり野宿の準備をして、後は寝るだけの状況となった最中突然、カティナが話を切り出す。(ちなみに飯はカティナ達のご飯を分けてもらった、パンとスープである。)


「その、デリオースさんを召喚獣にと言うのはありがたい申し出なのですが…やはり、その…出来ないです。」

そんなことを顔をうつむけながら言う。


ん?と首を傾げながらグレディアは問う。


「どうしてだ?確かにレベル差などはあるが召喚獣にするにはそんなもの関係ないぞ?

なにせ、同意すれば一定の魔力で呼び出せるのだからな。」

「いえ、そうでは無いのです。

いや、それも関係あるのかもしれません。

わたくし、魔力が無いのです…魔力検査の宝玉で測っても0となっておりまして。

そのせいで学院でも落ちこぼれで、家でも居場所がありません、お父様達は気にするなと言ってはくださいますがどうしても気がかりでして。」 


その言葉を聞いた瞬間、唖然となるグレディア。

神妙な表情をしながら、俯くガルム。

そして、何かを閃いたデリオース。

三者三様のリアクションをする。


「ほんの少しもか?それはおかしいぞ?

魔力とは所謂、生命線だ。

心臓がないのと一緒なのだぞ?

その歳で魔力欠乏症は無いわけではないが、ほぼあり得ないぞ?」


「はい、ほんの少しもありません。

魔力欠乏症ではないです。

なにせ、元々無いのですから。」


そして、グレディアは何かを思いつく。

だが、デリオースの方が先に気づいていたのかそちらに目線を向けるとものすごい勢いで頷いている。

そして、その事に笑ってしまう。


「ハハ、ハッハッハッハ!

ああ、すまない別に魔力が無い事に笑ったのでは無いぞ?まぁそうと言えばそうだが。」

いきなり笑われたカティナはやはり涙目になってしまい、今にも涙がこぼれ落ちそうだ。


「泣くな、まだ諦めるには早いぞ?

どうやら君には、とてつもない才能が眠っているようだ。

まぁ、確定した訳ではないがな。」


それを聞き驚愕に顔を染めるカティナとガルム。

涙は既に引っ込んでいる。

すると、ガルムがその事を問う。


「それはいったいどう言う事ですか?

カティナ様にとてつもない才能とは…」


「まぁ、まだ確定した訳では無いからななんとも言えないが、魔力検査の宝玉しか使っていないのだろう?」


「ええ、ん?魔力検査の宝玉しか?

他に調べられる宝玉などありませんよ?」


なるほど、アレは知られてない訳か。

まぁ、この世界がどれだけダンジョンを攻略しているのかは知らないが、24個あるダンジョンのうち、アレがドロップするのはたったの一個、道化のダンジョンの最奥部、125階層のボスからドロップからでしか入手できないからな、しかもレアドロップだから中々、手に入らないし。

まぁ、俺が持ってるし使ってやるか。

そう思い、アイテムボックスからあるアイテム(宝玉)を取り出す。


「これは、看破の神眼玉と言ってな相手のあらゆるステータス、心など、森羅万象全てを見通す力を持つ宝玉だ。」



本日はここで終了です!

ここまでお読みいただきありがとうございます😊

いつ街に行くのかという突っ込みはNGですww

カティナが持つ力とは?

次回、乞うご期待!


To be continued……


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