第24話 いつもと違うの話
俺は、差し出された
───
──
─
「──でね。それでうちの姉が──」
「──うふふ、お姉さんらしいね。」
目的地に向かう道中の、俺のいつも通りのつまらない話。いつもの
しかし今日は違う。いつもと変わらないクオリティの俺の話に、彼女は鈴を転がしたように可愛らしく笑う。
彼女のあまりの変わりように、俺は最初ぎこちない反応しか返せなかった。理由は彼女におだてられてる様な気がしたからだ。
しかしすぐにそれが俺の勘違いであると気づいた。
多分彼女は盛り上げようとしてくれているんだと思う。
リアクションすることで、笑うことで、目を合わせることで。この場の雰囲気を上げようとしてくれている。
俺1人の力では退屈に感じてしまうんだろう。俺の気づきは否応なくこの事実を肯定してしまう。
だから俺は分かりやすい彼女の煽りに乗じることにした。罰ゲームの相手役としてそれが最大限できることだと思うから。
「──ねぇ。今日は結局どうするの?」
彼女は問いかけると共に、上目遣いで分かりやすく媚びる様な目をする。演技だと分かっていても心臓が止まりそうな可愛さだ。
俺は「かわいすぎる!」と叫び出したい気持ちをグッと堪えて返す。
「本開催まで時間あるから屋台とかで食べ歩き的なのしようかなって思ってるよ。」
今日は俺達が今いる駅の、近くにある公園でお祭りが開催される。それに
今日のお祭りは市が主体となって開催するので、金魚掬いや射的の様な定番のモノだけでなく、体験系のアトラクションや遊具を使った遊びなどかなり規模が大きい。
俺は何度か友達と行ったことがあるが、住む所が離れている
金魚掬い系の遊びが開催されるのは昼過ぎからであり、今より1時間以上先になる。しかし屋台はもう開かれているので、そこで昼ごはんを兼ねて食べ歩きながら時間を潰せればいいなと思っている。
その旨を彼女に端的に伝えた。それを聞いている最中彼女はヨダレを出していた。腹ペコなのかな?かわいい。
──閑話休題──
公園が見えてくると彼女は俺から手を離し、小走りで公園の入り口に駆けていく。相当楽しみだったのだろう。
「大きいねぇーー!!」
腕を大きく広げ、回りながら
去年は、毎年行っていた仲の良い友達が高校受験をするからと言って、行けていなかったのでこのお祭りに参加するのは1年ぶりになる。
自然と浮かび上がる思い出にふけていると、「おーーーい!!」という
(なんだか楽しくなってきたな!)
俺は小走りで彼女の元へ向かった。
「はい、ストーップ!」
「な、何で!?」
「一番乗りは私!」
そう言って公園の入り口をぴょこんと飛び越えた。そしてこちらに、なぜか恥ずかしそうに照れくさそうな笑顔を浮かべながら、手を伸ばす。
「えへへ、…じゃあ行こっか」
(かわいい)
何それ?反則じゃん!かわいいかよ!!
──閑話休題──
屋台にはたこ焼きやかき氷、焼きそばなどのこれぞお祭り!と言わんばかりのレギュラーメンバーだけでなく、ハンバーガーや野菜スティックなど普段は見慣れないものまで売られていた。
「美味しいね〜私たこ焼きすきなんだよ…アチ」
そう言いって
屋台歩きをして気づいたことが1つある。それは
歩く中で目についた物は全部買うし、たこ焼きとか道中にあった全て屋台で買っている。いや!どんだけたこ焼き好きなんだよ!
雛「屋台はいいね〜なんでも、うまいや…」
──閑話休題──
そうこうしている内に本祭開催。
「ねぇ!色々あるよ!全部回ろう!」
まるで子供の様に無邪気に目を輝かす彼女に連れ回される。
スパーボール掬い、射的、金魚掬い、輪投げ、VRお化け屋敷体験…
まるで太陽の様な笑顔で何でも楽しそうにする
笑って
笑って
笑って
友達と来た時とはまた違った楽しみがあった。久しぶりだ、こんなにお祭りが楽しいと思ったのは───
─────
───
─
お祭りのほぼ全てを周り終え、公園のそばの川岸で休憩中。
川岸の階段に腰を下ろし、沈む夕日をぼーっと眺めて、ジュースを買ってきてくれている
段々とオレンジ色が濃くなる空をスクリーンとして今日の光景を投影する。
俺の
美味しそうたこ焼きを食べる姿、楽しそうにスーパーボールを掬う姿。その全てが夕日に負けないほど明るく美しい笑顔。
今日の
結局俺は罰ゲーム役でしかなく、彼女を満足させれて、素顔を拝めるのは俺以外の相応しい誰か。
なら俺が出来ることは────
「──ジュース買ってき…」
「
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ゲホ、ガホ…ゼェゼェ(作業量と脳内容量の不釣り合いによる不具合からくる疲労)
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