第21話 お口たんぽぽの話
「あれ?カップル続行じゃないっけ?」
「へ?」
バレてる!?なぜ?情報の出所はどこだ??いやまてよ!これは揺動か?その可能性もある!!!けどじゃない可能性もある!!うおぉぉぉぉ!!どっちだぁぁぁ!!!
パニックである。
「いヤぁ…?、なんの話だか…?」
とりあえず嘘を突き通す方向へ舵を切ったのだが…自分でも分かる!目泳いでるし声裏返ったし!!!
伊&千 ((分かりやす…))
俺(絶対バレた!!!)
──閑話休題──
その後質問攻めに遭いボコボコにされた。俺は誠実に生きることを誓った。
なぜ2人が昨夜の話を知っているかというと…
「ほらこれ、
俺は、そう言って目の前に出されたスマホ画面を見る。
LIONEのグループチャット画面。おそらく
『そういえば結局罰ゲーム続行にしたから』
淡々と事実のみが書かれたメッセージ。時刻を見ると20時56分。多分電車に乗ってた時に送ったのだろう。
(俺の必死の演技はなんだったんだ!!!)
散々2人に辱められたのに、全く無意味だったなんて。腹立ってきた。
なんてことがあったからである。
要約すると、俺に釘刺したにも関わらず
ちなみに今は、2人にくすくす笑われているところである。
「広山クンって嘘下手なんだ」
「演技むしろ上手かった。」
(くそっ!いっそのことなら殺してくれ!)
穴があったら入りたいってはこういう時に使うんだな…今ならこの言葉考えた人にノーベル賞と八つ当たりパンチ与えれそう。
自分でも分かるほど顔が熱い。多分耳まで赤くなってる。
俺が恥ずかしさに身悶えてると、無表情のまま
「まぁ、元気だしなよ。
(おく…?たんぽぽ…?──あ、あぁ、口軽いってことか。)
今日の帰り道で分かったことがある。それは
思考回路が常軌を逸しているのだろうか。あまり口数は多くないものの、雑談している時に時々頓珍漢な言葉を発している。多分俺の姉とはまた違った狂い方してると思う。
そしてもう一つ分かったことがある。それは恐ろしいほどに無表情なのだ。もちろん今回のように口角が少し上がってることはある。多分笑ってはいるのだろう。しかし俺が想像していたよりずっと淡白な反応だ。
ほら見ろよあれ、
「あひ、お腹、お腹、イタイ…」
(そんなおもろいかな…)
余計なものがはさまったが、要は顔のどこかのパーツが動くことはあるが全部は動かない、感情の表現が極めて薄い感じだ。
あと、もう一つ。励ましてくれてるのは嬉しいけど背中ぱしぱし叩くのやめて欲しい。ちょっと痛い。
──閑話休題──
その後、横断歩道で別れた俺はどこかに寄ることもなく家に直帰した。
「ただい…」
「おかえりー」
俺のほぼ発していないに等しいただいまに食い気味で返事する母。
今の時間は晩御飯の支度中だろうか?キッチンの方で音がするし。
毎度のことながら母の異常な聴力には驚かされる。
俺はキッチンに顔を出すことなく自分の部屋に直行した。
(もう暑くないな)
もう11月になりかけているため当たり前だが、帰宅後はいつも蒸し蒸しとしていたのが気づけばなんとも無くなっている。
なんてどうでもいい事を考えながら、制服のネクタイを外そうとした瞬間、スマホが鳴る。
(誰だろう…?)
震え続けるスマホを制服ズボンのポッケから急いで取り出す。相手は…
「も、もしもし?」
女子と初めての電話に恥ずかしさを感じて若干小声になってしまう。
『あ、もしもし。あってる?』
「あってます。」
『なんで敬語なのさ。まぁいいや、少し言い忘れてたことあってさ…』
「言い忘れてたこと?」
『なんかひ、あ、そう。言い忘れたこと。』
やっべ、通信ラグで被った。はず。
『
「、は?、え!?」
『いっつもの場所?らしいから。じゃねー』
「まっ…」
プツン…
き、切られた。聞きたいことたくさんあるのに!!…今からかけ直せば間に合う、、、無理だ!女子にかけるとかしたことねー!!──
──────
───
─
そして流れるように時間が経ち、あっという間に週末になった。
(時間はまだある…)
俺はスマホのロック画面の時間を見る。待ち合わせの時間までまだ10分ある。
そのはずなのにソワソワして落ち着かない。
(変じゃないよな?)
周りに鏡がないので仕方なく上から見下ろす形で服装をまた見直す─
──しばらくして、俺はスマホで時間を確認する。もうこれで何度めだろうか。時間までもう5分は切ってる。
そろそろだろうか。
駅の出口を見る。
休日ということもあり、かなりの人が行き来している。すると…
行き交う人混みの中、交差の隙間でチラリとしかしはっきりと見える。
(やっぱ
人混みの中でもすぐに分かってしまうほど1人だけ輝きの様な、雰囲気の様な、オーラの様な、彼女が纏う何もかもが周りとは明らかに違う。
(あれが休日朝から出せるキラキラかよ…)
改めて俺とは種族レベルで全く違うと感じさせられる。元々低かった自己評価がゴリゴリに削られてしまう。俺、今からあの人の隣で歩くのか…
俺は俯いてクソデカため息と共にこの悩みを捨てる。そして自分を鼓舞するように大きく息吸って顔を上げる。
(あれ、さっきまで…あぁ。)
一瞬驚いたが、人混みに隠されて見えなかっただけだ。すぐ納得した。俺がどこにいるか分からないんだ。
人混みの中できょろきょろとしている
「
俺は彼女に聞こえるように大声で、大きく手を振りながら彼女の名前を呼ぶ。しかし、その瞬間背筋が冷りとする。
(やべッ!別に仲良くもないのに馴れ馴れしく手振ったし、大声出しちゃった!!)
16歳になって最近気づいた。俺は考えなしに咄嗟に行動してしまう悪い癖があるかもしれない。
─彼女と目が合う。
共に焦りが最高潮に達する。
「馴れ馴れしくしないで。」
「恥ずかしいから呼ばないで。」
いつもの仏頂面で怒る
しかし──
目の合った
「おまたせ、行こっか。…て、どうしたの?」
予想とは違う反応に驚きが隠せない俺は数秒フリーズしてしまっていたらしい。
上目遣いでこちらの表情を不思議がる
(いつもと違う。これはまるで、学校の時の
─────────────────────
最後までお読みいただきありがとうございます。少しでも良いと思ったら高評価よろしくお願いします。
お口たんぽぽ。皆さん使ってもいいですよ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます