第11話 返信は大変だの話
(胸がまだドキドキしてる…
胸にてお当てると押し返すように強く脈打つ心臓。体が火照っている、頬も紅潮してるのがわかる。
夕日の中の自分の行動、自分がなぜそんなことしたのか理由は分からない。
(でもあの顔、ふふ…)
耳まで真っ赤になった
不意に
雛 『─で、罰ゲームの相手誰にするの?』
千 『んー…あ!あの子、広山クンなんてどーかな?』
雛 『なんでよ?』
千 『それは──』
(理由はまだ言えないや…)
帰宅した
「ただいまー」
義務化された文句をやる気なく言い終えると、リビングの方から「おかえりー」と返ってきた。母の声だ。
いつもならリビングに直行するが、今は雨に濡れた後、しかも中途半端に時間が経っているため生乾きのようになっており、とにかく気持ち悪くて仕方がない。
─ポロン♪
突然通知音がしたスマホを、服を脱いで風呂場の扉を開けようとした
『新着のメッセージが1件あります。』
「LIONEにメッセージ?誰だこんな時に?」
LIONEとはメールアプリであり、先程の通知音は誰かが送った
通知の内容を知った
(本当に誰だ…父さんか?)
1番可能性が高い、仕事中の父を挙げてみるも、それも多分違うだろう、とすぐさま否定し、考えあぐねながら、アプリを起動し正体不明のメールを確認する。
そこには驚くべき名前が書いてあった。
ひらがなで表記された『ちなつ』の3文字、隣に表示される『追加』の文字。
「こ、小清水さん?!…っぶね!!」
驚きのあまりスマホを投げそうになるところをギリギリで踏みとどまる
おそるおそる『追加』のマークを押す。
『一応よろしくね〜』
(あばばばば…なんて返せばいいんだぁぁぁ!!!)
たかがメール、されどメール。女子耐性皆無の
(こ、ここはまず気持ちがられないように無難な返しを。でも敬語だと距離置こうとしてぎゃくに失礼なんじゃないか?でもタメ口だと馴れ馴れしくしてきてキモいって思われそうだし…うぉぉぉぉ!!どーすればいいんだぁぁぁ!!!)
たった一言に四苦八苦。そして──
「よ、よし、これでいいよな?─送信っと─」
─ポロン♪
「お、返ってきたかな?」
電車から降りた
「くふふ、なんて返ってくるかな〜」
ニヤニヤとイタズラな笑みを浮かべる。
『よろしくおねがいいたします。』
「あはは、なにこれ固すぎでしょ。普通によろしくだけでいいのに〜。」
「あ〜おもしろ!──よし、次はなんて返ってくるかな。」
イタズラな笑みを浮かべて送信ボタンを押す。
「ぎゃぁぁぁぁ!返ってきたぁぁぁ!!!!」
そりゃ、返ってくるだろ。
─閑話休題─
入浴を終え、タイミング良くできた夕食を姉、母と共に食べている
「ねぇお母さん、
「知らないわよそんなの。」ヒソヒソ
コミュニケーションに四苦八苦したものの初めての女子とのLIONE、その嬉しさが抑えられず溢れてしまった結果がこの気持ち悪い笑みである。それを母と姉はこそこそ話をしながら心底気持ち悪そうに睨んだ。
姉 「ずっと無言でご飯食べてるし、本当に何も知らないの?」
母 「風呂出てからこーなのよ。」
姉 「てことは顔見てからずっとこれ?」
母 「そう、そもそもあんたもご飯の準備してたから私と同じでしょ。」
姉母「「ほっんとキモいわ〜」」
大「ひどくね?」
流石にライン超えだった。
─閑話休題─
────────
─────
──
これといった特別なこともなく毎日は過ぎていき、ついに
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