第9話雨と傘と告白の話
「呼ばれました!私が
天真爛漫な笑顔を浮かべる
最初こそ遠慮していた
「…できた!もう痛くないよ。」
「あ、ありがとうございます…」
「──で、何か用ですか僕に?」
「あ、そうそう。それなんだけど、キミに話したいことがあるんだよ。」
(俺に???なんか俺怒らせることしちゃったかな??…まさか俺に告白…ないな。)
先程までのハプニングで忘れていたのだろう、思い出したかのように手をぽんっとうつ。
「今、雨降ってるよね?」
「そうですね。」
外を指差す
「キミ、帰ろうとしてたよね?」
「そうですけど…」
先程まで
「傘ないよね?」
「はい…」
「私傘もってるの。ね?」
「え…?」
──────────
──────
──
ビニールに雨粒が弾かれる軽い音。アスファルトに溜まった雨水が、歩くたびに跳ねて時折ズボンの先を濡らす。普段の雨天の下校と何も変わらない。ある1点を除いて…
「雨強いね〜」
隣でニコニコしながら歩く
(んーなんでだ…?)
流れに身を任せていたらいたらいつのまにか
「私相合傘初めてなんだよねぇ〜」
「いいんですか?僕なんかが初めてで。」
「私が誘ったんだから謙遜しないしない。あーぁ
「言い方!乙女がそんな言葉を口にするんじゃありません!!」
「なに?私のママなのキミ…」
からかうつもりだったが、
──閑話休題──
「そういえばね、私今日の授業寝ちゃってさ〜。」
急な話題の転換に半ば呆れ気味で小さくため息をつく
次から次へと言葉が出てくる
(ほぼ初対面なのに凄いなこの人。)
呆れたようにため息はつくものの、
(でも
このまま並行移動していても
「…あ、あのすみません。さっき言ってた俺に話したいことってなんですか?」
(やっべぇ、なんか聞いちゃいけないこと聞いたかも…)
すぐに弁解しようと言い訳の句を必死に探しあたふたする
「─あのね。キミ、
(──?!)
思いもよらない、訳ではなかったが予想内にギリギリ入っていなかった発言に
「ご、ごめんね。別に探りを入れたいって訳じゃないんだよ。どっちかと言えば謝りたくてさ。」
「─謝る?」
未だに目を伏せたままの
この言葉は嘘ではない。直感的だが
そして、少しの間を置いて
「──ごめんなさい。」
突然
「罰ゲームさせたの私なの。」
突然の告白にまたもや
「最初は悪ノリのつもりだったの…3人で罰ゲームして負けたらキミと付き合うって…でも今日
「私、すごくキミにひどいことしたんだなって…だから謝りたくて………」
そう言い終わると
「
許しを乞っているわけではない、懇願するように弱々しく震えた声、垂れた長髪に沿って流れ落ちる雨粒。雨に打たれた小さなその身は微かに震えていた、まるで伝染したように。
やっとそれを認識した瞬間
「俺は、別に嫌いになんてなってないですよ。
「で、でも私はキミに…」
遮るように
「俺みたいななんの取り柄もないような普通の人間からしたら
いつだろうか、
そして、2人とも気づかない。雨がいつのまにか止んでいたことに。
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