第4話デートの物語Ⅰ
あと一歩出せば
まるでポイ捨てしたゴミに罪悪感を感じているかのような、そんな止まり方だ。
しかしだからこそ鮮明に認識できてしまう。頬、いや、耳まで赤く染め、何かを
「あの、い、一応この前の事は謝る。ごめんなさい。悪ノリとはいえキミにとても悪い事をしたと思ってる。ほんと、ごめんね…」
この発言は
「か、勘違いしないでね!た、ただ私のキャラに関わるからってことだから!じゃあね!」
続いた沈黙に耐えられなくなった
雛との初デートのことは大也の中では正直許してはいなかった。舞い上がって調子に乗っていた自分が馬鹿馬鹿しく見えてしまうから、というのもでかいが、自分が罰ゲームの対象に選ばれ、自分なら簡単に騙されると他人に見透かされている。そう考えるとどうしても憤りを感じてしまうからである。これは誰だって当たり前だ。
しかし今だけは「許す」と感じてしまった。そこに
意志の弱い男とか、チョロいなんて言われても仕方ないとは思うが、それでもいいと思える程、西陽に照らされた
─約束の土曜日─
「
そう言いながら辺りをキョロキョロして探す。心の中には勿論ほんの少しの恐怖はあった。
「──ねぇ」
突然背後から声をかけられ、「へっ?!」と素っ頓狂な声を上げるとともに、飛び跳ねるように振り返る。
そこには
「お、おぉ。おはよう。」
先程の驚きの余波にやられ、歯切れの悪い挨拶をする。
するとしばしの沈黙が訪れる。何かを求める様に
(え?なに?なんでずっと見てくるの?この人?!お、俺が話題振った方が良い的なやつか????)
すると
「キミ…本当にダメダメだね。デートだっていうのに彼女待たせた挙句、会って可愛いの一言もない。あんた男として終わってるよ?」
やれやれと言った風に肩を落とす
さらっと長い足は黒いスキニーにつつまれ、ダボっとしたオーバーサイズな白の上着をそこへインさせ、ベルトと黒い帽子を身につけていた。モノトーンだがボーイッシュでクールな印象を受ける。
(オフの
まじまじと見てしまった事で再確認した
「か、かわ、かわいいよ似合ってる。」
照れて、目線を逸らしつつついどもってしまう
「え、なにその言い方キモ」
「ひどくね?」
──閑話休題──
学校での
しかし初デートの日や先日の体育館裏、そして今日、の彼女の言葉や動作は荒々しいとまではいかないが、学校の彼女と比べるとどこか丁寧さに欠けているというべきか。
どちらの彼女が本物なのかなど考えずとも分かる。勿論だからと言って
だからこそ
というわけで
「思ったけど、
やってしまった…
そう思った。きくにしてももっとオブラートに包む言葉はあったはず。
恐る恐る
「はぁ?何急に。文句あんの?」
(おこってるぅぅぅ…しかも静かにブチギレてるタイプだ!!!)
眉間にはシワが寄り、
「い、いや別にそれを責めようと思ったわけじゃないんだ。ただ気になっただけで…」
「そんなん訊くなんてデリカシーなさすぎじゃない?」
「それに、そういう所も
「へ…?」
その横顔はまるで大理石でできた美しい彫刻に似ている。その綺麗な作品には制作者の意向なのだろう、ほんのりと赤い装飾が施されていた。
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