季節を運ぶワゴン

季節を運ぶワゴンがある。


春は桜色の車体から綿毛を飛ばし夏は潮の香りを漂わせる。


海辺の砂を敷き詰めた車内には星の貝殻が転がり透明な座席の中はまるで水族館。


ワゴンは季節を忘れた人の元へ来る。


例えば今ビルの屋上で靴を脱ぐ僕とか。


プロポーズしたのは夏の海だった。


暫く泣いた後靴を履き直す。

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