第七章 Love Somebody

 沙耶と別れてからゴル・ゴロスは……特に変化なかった。


 決められた曜日に出勤し、仕事をして、暇な休日は、ゴロゴロする。



 今日は日曜日なのだが、アパートの住人は休日に仕事を入れている者もいる。


 彼らと共にいる住人、つまり邪神の幼体たちを預かり食事などの世話をするのは完全週二日制度の下で働く春平が担当していた。


 ツァトゥグァとクトゥルフはテレビにゲーム機を接続して推理ゲームに興じていた。

 既にツァトゥグァは解決、クリアーしているので隣のクトゥルフの様子を見ながら少しずつヒントを出す。


「壁のほうに染みがあるよ」


「どれや?」


「ほら、カーソルの下」


「……ああ、ホンマや!」


 その様子に背を向け、ちゃぶ台の反対側の畳の上で片腕を枕に春平は微睡んでいた。


 生欠伸も出る。


 昨日までに終わらせる翻訳の仕事を徹夜をして職場で行なっていたので、とにかく眠い。


 正午にみんなでカレーを作り食べたが、それでも眠い。


 目線をあげると柱に止めたカレンダー上では、沙耶と別れて二週間になる。


 結魂が成功すれば、今頃、両親などに祝福され名前を付けられているだろう。


「……沙耶お姉さん、大丈夫だよね」


 その言葉は春平の耳にしか届かない、でも、不安と期待の入り交じった。


 下を見れば、ピンク色の邪神がいた。


 ゴル・ゴロスだ。


 空いている腕でゴルを巻いた。


「大丈夫だよ。お前の想いは届いたさ」


「うん」


 

 数分後。



「はぁ、これで半分の六章クリアや」


「まだ、解決する問題点はあるけどね」


 そこに大きないびき声が聞こえた。


 二人(?)が振り返ると、そこには春平に包まれたゴルと、春平が爆睡していた。

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