第一章 神様だって大変

 幼体とはいえ、邪神たちは様々な宗教の悪役になったり舞台裏(?)で活躍をしたりしていた。


 やがて、近代化をして組織的になった。


 例えば、ツァトゥグァは元々『情報処理外事課中央本部分析室室長』という役職にいて百を超える深き者たちやミ・ゴなどを指揮していた。


 だが、ある日。


 ある事件で他宗教が管轄する部署の不手際を会議で発言して大混乱になった。


 元より歴史の浅い邪神だから、反感を持った他宗教の神々がありもしないことをでっちあげてツァトゥグァを『総監副長房付き』という閑職へ追いやった。


 しかし、これを誰よりも喜んだのはツァトゥグァ本人だった。


 普段、動かない彼が家から将棋盤を持ち込み、有り余る時間を将棋の研究に費やす。


「今はねぇ、みんなそうだけど地上の藤井君の将棋が凄いね。特に読みの早さが異常だよ。僕も一手願いたいなぁ」


 現在、彼がいた部署にはアトラック・ナチャが辣腕を振るっている。



 では、今回の主人公であるゴル・ゴロスは何の役職についているのか?


『総務課 環境整備係』


 雑務である。


 庭の草取りから消費されるコピー用紙や鉛筆、点かなくなった電灯の交換、多岐にわたる。


 逆に言えば、ここは、この『狭間の世界』がどういう世界かを知る絶好の機会なのだ。


 そこで、ゴル・ゴロスは初めての気持ちになった。


『沙耶』と名乗る女性がゴル・ゴロスの教育係になったのだ。

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