第4話 これから
「ふつーに宮野くんと仲良くなりたいなーって思ったからだけど、それが理由じゃだめ?」
そんな可愛くされたら、もうそれでいい気がしてくるじゃないか。あんまり人を素直に信じるタイプではない俺でも可愛いと認識している女子に対しては弱いようだ。思春期がきてから、女子を無駄に意識してしまうせいで理性も何もかも弱くなってしまった。
「それだけなんですか?俺はもっと別に理由があるのかと...」
「ないない、ただ宮野くんの性格が好ましいと思っただけだから」
先輩は笑いながらいう。俺の性格が好ましい?好ましいだと? 自分自身の性格を考えてみると碌な性格ではないと思った。先輩は一体どこが好ましいと感じているのか気になる。
「宮野くんはさ、もっと自分に自信を持っていいと思うんだよね。私が友達になりたいなーって思ったのは、宮野くんが一生懸命委員会の仕事をこなそうとしてたのをみてこの人はなんでも全力で取り組むことができるんだなって思ったから」
そんなことを思っててくれたのか。ただ中学という環境に早く慣れなきゃって焦りがあって行動してただけなのに。
「そんなたいした人じゃないですよ。広報委員の仕事をやって見たら案外楽しかったから積極的に行動できてるだけですから」
「こら、自己評価を低くしないの!宮野くんは、もっと自信をもってもいいと思うんだけどな~」
この人は俺のことを高く評価しすぎてると思う。今まで自分のことを評価してきた人たちは、俺の能力を頼りによってきて煽ててただけだったのだから。
「先輩はよく人を見てますね。俺は誰にでも優しく接してる先輩に憧れてるんです」
「その言葉、お世辞でも嬉しいな」
夕日のせいか先輩は少し頬を赤らめているようにみえる。他の人にも言われなれているように思っていたが違うのだろうか。
それにしても照れている表情が凄く魅力的に見える。これが、夕方の魔法なのだろうか。
「お世辞じゃないですよ。他の人だったら、俺と仲良くなろうなんて普通思いませんから」
「そうかな~。私は見た目とか能力で人を判断しないから分からないや」
その言葉を聞いて救われた気がした。自分をちゃんとみてくれてる人がいると。
その後雑談をしているうちにあっという間に時間がすぎて、最終下校の時間となった。
帰り道、先輩と帰る方向はたまたま一緒だった。
「ずっと気になってたんだけどさ、宮野くんの家で動物何か飼ってる?」
「なんで、そう思うんです?猫が一匹いますけど」
「だって制服にいっつも猫の毛着いてるんだもん」
まさかと思い、制服を確認する。しっかりと猫の毛が何本かついていた。
「今度の休みさ、宮野くん家行ってもいい?」
へ?聞き間違いか俺の家に先輩が?
「お、俺の家に来るってことですか⁈」
「そんな驚かなくてもいいのに、ただ猫ちゃんをモフらせていただこうかと」
「あ、あぁ。いくらでもモフってもらっていいですよ」
明らかに動揺してしまって、恥ずかしくなる。
「じゃ、土曜日の午後にお家に行くね」
「分かりました。家の場所はってこの前一度来てるから分かりますよね?」
「うん、家近いなーって思った」
初めて一緒に帰ったのはちょっと前で、話してたら先輩が家の前まで来てしまうことがあった。お互いの家をその時しった。
「じゃ、土曜日楽しみにしてるね。ばいばい」
「はい、楽しみにしてます。」
お互いに手を振って、分かれ道で別れた。
ということで先輩が家に来ることになった。猫ありがとう。お前にはいいチュールを買ってやろう。
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