過去編

第3話  過去

 放課後に委員会だと思って、気持ち早めに荷物をまとめて教室を出る。今日は特に用事がなかったため、委員会が長引いても特に問題はなかった。

 川西先輩との待ち合わせの場所は確か、図書室の前だったよな。教室のある棟とは別の棟にあるため、少しばかり歩く。先輩を待たせていないか不安だった。図書室のある階まで行くとそこには先輩の姿はまだなかった。


 それにしても委員会の仕事で至急やらなきゃいけないことってあったっけ?と思った。今は学期が始まったばかりで、顔合わせと簡単な仕事しかしていないのに何があるんだろうと考えていたら。

「ごめーん!HR長引いちゃって遅れちゃった。宮野くん待った?」

「全然待ってないですよ」

先輩は息を切らしていて急いで来たようだった。


「宮野くん早速行こうか」

図書室の中に入ると図書委員以外は誰も居なかった。まぁ、ほとんどの学生が部活に入っているし新入生なんかはすぐに家に帰って遊んでいる。じゃあ、俺はって?気づかなくてもいいことってたくさんあるんですよ、はい。


「あの先輩。ここで何をするのか聞いてもいいですか?」

「あ、言ってなかったっけ。私が宮野くんと仲良くなりたかったので雑談をと思いまして...。嫌かな?」

そんな不安そうな顔で見ないで欲しい。かなり驚いたが、女子の先輩と仲良くなれるのは大分男子学生からしたらおいしいのでこの機会に仲良くなろう。じゃないと一生こんな機会訪れないかもしれないし...。


「全然嫌じゃないですよ。ちょっと驚きましたけど」

「そう?ほんとに?」

「俺も先輩と仲良くなりたいと思ってたので、よかったです」

先輩の顔から喜んでいるのが伝わってくる。そんなに嬉しいのだろうかと思うが、これほど女子に積極的に行動されたことはなかったので内心凄く嬉しいと感じているしそれ以上に胸の鼓動が大きくなっているのが感じ取れた。


 図書室の隅の方に移動し、会話が周りを気にしないでできる場所に座った。

向かい合わせに座り、先輩が話し出す。

「あの、ね。勘違いしてたらなんだけど、誰に対してもこんなじゃないからね?」

「勘違いはしてませんよ。ただコミュ力凄い先輩だと認識しています」

「あー、よかった~。変な先輩だと思われてたら嫌だったから一安心」

この先輩は、色々と気にしすぎているとは思うが仲がそこまでの男子生徒に対しての行動で勘違いされてもおかしくはないのかとこ頃の中で納得した。


 

ここでそもそもの疑問が生まれる。なぜ、自分なのかと。仲良くなるのならコミュ力たかめな男子生徒の方が楽しいだろうしノリもよいと思う。


「あ、あの。先輩はどうして俺と仲良くしたいと思ったんですか?」

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