24話 封印の儀を執り行います

「とりあえず、反省を促すために封印する。壺を用意して!」

 私が言うと、茶有がすぐさま用意した。

 四逆は嫌じゃ嫌じゃと泣いていたけれど、

「あと二、三発張り飛ばされるのとどっちがいい?」

 って尋ねたらおとなしくなった。

 茶有に頼んで壺にブチ込み封印し、地中に埋めるのは大変なので誰も入らないところに置きたいと言ったら、地下室に置いた。

「美衣が許すまで誰も近寄るな」

 と、茶有が厳命したら、使用人全員が粛々とうなずいていた。


「封印って初めてするんだよねー。とりあえず一日入れといて、反省の色が見られたら出してみようかなって」

 と、カフェでコーヒーを飲みつつお義父さんと茶有に話した。

 お義父さんはドン引きした顔をしている。

「うっわー。私も長い間生きていていろいろなお祓い師に会ったけど、美衣ちゃんが一番凶悪だよ。壺に入れるとか意味わかんないよ。漬物でも作る気?」

 って返された。

「私としては、未遂とはいえ人を殺そうとしていた凶悪犯なんて正直、消滅させたいんだけどねぇ。茶有の顔を立てて温情を与えました」

 だって、そういう奴って顕界とつながったら絶対に顕界で犯罪を犯すじゃん? しかも凶悪なヤツ! 私的には消滅させたかったけれど、嫁入り先の住人、かつ初犯で未遂だったから、ちょっとだけ手緩くしたの。だが次はない。


 茶有は静か~にカフェオレを飲んでいる。

 そして、カップを置くと厳かに言った。

「俺は、たとえ顕界への道が開けたとしても、一人じゃ行かない。美衣と常に行動を共にし、絶対に犯罪は犯さないと心に決めた」


 ヘタレ意見ありがとう。でも、ちょっとは成長したね茶有。いちおう、私が一緒なら顕界に行く気はあるんだ。

「美衣ちゃんレベルはそういないけど、油断してとんでもないお祓い師に遭ったらヤバいから、その方がいいね」

 と、お義父さんも同意していた。


 翌日。

 お義父さんも封印の壺と封印が解かれた後のあやかしが見たいと言ったので、一緒に行って開封の儀を行った。

 三人で壺を覗くと……。

「わー。消滅寸前だなぁ。やはり封印されていると力が弱まるのか」

「でも、私の見立てだとハリセン五回は耐えられない奴だったから、封印での力の減衰は通常のお祓いよりは威力が弱いかも? ま、今回は完全封印じゃなかったけど!」

「そもそも、壺に入れられて地中に埋められるのだろう? 俺なら一日保たないって自信がある」

 三者三様に言いながら壺の中の四逆を見た。

 確か、壺ギリギリに押し込んだはずの四逆は、半分以下の大きさの小鬼になって脅えながら私たちを見つめていた。

 これなら万が一顕界に行っても大した悪さは出来ないし、そこら辺のお祓い師が簡単に祓えてしまえるので解放してあげた。

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