16話 ピクニックは芝生の上で
この芝生、ちょっとキモいなぁと内心思いつつもランチにします。
皆の眼前にタコスを広げたらどよめかれた。その反応はいいなぁ!
「フフフ……。私もね、結婚に関して前向きだったので料理裁縫家事一般は得意なのよ。……茶有には開口一番とんでもないセリフを吐かれて結婚に対しての夢と希望を打ち砕かれたけどね!」
とたんに茶有が正座し、
「ごめんなさい」
と、謝ってきた。お義父さんの言いつけを守っているわね。
「ま、いいですけどね」
別に愛人を囲っているとかではなく、異界と顕界では歳のとり方が違うから私を幼女と間違えてとち狂った、っていうのなら許しましょう。
全員にお手拭きとお茶を配っていると、チャーミーが安中ちゃんよりも小さくなって私の太ももに前足をかけ、かわいくねだってきた。
「……猫は、人間と同じ食事ではいけないという話だったけど……」
「顕界の猫はそうなのか? 異界は同じだぞ。我らの異界が産み出したものだからな!」
マジか。でもそんな気はしてた!
チラッと食事風景を見たことがあるけれど、私たちと同じお膳に盛られているのを食べてたから! さすがに中身までは一緒じゃないよな? とか思っていたけれど同じだったか~。
「一応、チャーミー用にごはんを作ってきたから、それを食べてからね」
と言ったが、ミャーミャーとねだる。
ぐ。
かわいすぎる……!
……というわけで、根負けした私はチャーミーにも分けたため、ほとんど食べられませんでしたわ。
ちなみにチャーミー用のごはん、せっかくだから盛りつけたけれど食べてくれないなぁと思っていたら獰十朗氏が、
「普通に美味そうじゃん。いただきまっ」
と、食べ始めたら、
「ミギャアアアア!!」
というものすごい声でチャーミーが吠えかかり見る間に大きくなって獰十朗氏に噛みついた。自分用に盛りつけられていたのであとから食べようと思っていたらしい。獰十朗氏、頭から流血してました。
茶有は「よくやった!」とか言ってチャーミーを撫でています。えぇえええ。
ちなみに獰十朗氏は、まったく気にせずお茶を楽しんでいます。大物だわ……。
「この飲み物も美味いな! 初めて飲んだぞ!」
「水出し香檳烏龍茶のミントシロップ割りね。こういうピリ辛の食事には合うでしょう? ――今、茶有のお父さんのところでカフェメニュー考案していて、いろいろ試してるのよ」
開店したらぜひ来てねーと宣伝しつつ、デザートタイム。
作り置きデザートはカヌレ。プレーンと抹茶と香檳烏龍茶で作ってみた!
カヌレ、好きなんだよねー。お義父さんにもメニューに入れようとめっちゃ勧めてしまった。
……なんとなく生き物っぽかったので、そっとカヌレを芝生の上に置いて「よかったら食べてね」とつぶやいたら、芝生に吸い込まれていった。わぁ……やはり生き物だったか!
そして、お礼なのかなんなのか、芝生がペルシャ絨毯みたいな肌触りになった。わぁ……これもう生き物っていうか異界の摩訶不思議なモノだね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます